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【中古:盤質S】 リッカルド・ムーティ コンプリートSONY&RCAアルバム・コレクション(28CD)

中古情報

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S
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なし
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未開封
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基本情報

ジャンル
カタログNo
88985474292
レーベル
Italy
フォーマット
CD
その他
:
輸入盤

商品説明

(こちらは新品のHMVレビューとなります。参考として下さいませ。中古商品にはサイト上に記載がある場合でも、封入/外付け特典は付属いたしません。また、実際の商品と内容が異なる場合がございます。)


リッカルド・ムーティSONYボックス(28CD)
コンプリートSONY & RCAアルバム・コレクション


ムーティとミラノ・スカラ座の組み合わせで制作されたアルバムのコレクション。オペラの全曲録音が9点、オーケストラ物が9点という構成で、1991年から2001年にかけてミラノでレコーディングされています。当時のムーティはミラノ・スカラ座の芸術監督を務めており、ムーティらしい凝ったプロダクションで話題を集める一方、コンサート指揮者としても活躍。ミラノ・スカラ座管弦楽団によるコンサート活動を強化、「ミラノ・スカラ座フィルハーモニー管弦楽団」をワールド・ツアーに連れ出し、レコーディングも積極的におこなうなど充実した活動を展開していました。

【オペラ/ライヴ録音】
● ヴェルディ:『トロヴァトーレ』
● ヴェルディ:『椿姫』
● ヴェルディ:『リゴレット』
● ヴェルディ:『ファルスタッフ』
● ボーイト:『メフィストーフェレ』
● プッチーニ:『トスカ』
● グルック:『トーリードのイフィジェニー』
● ケルビーニ:『ロドイスカ』曲
● スポンティーニ:『ヴェスタの巫女』

ムーティ得意のヴェルディと、晩年のヴェルディの協力者でもあったボーイト、ムーティが1990年代になって指揮するようになったプッチーニ、そしてフランス革命前後のパリのオペラ・シーンを彩ったグルック、ケルビーニ、スポンティーニの作品を収録。すべてスカラ座でのライヴ録音で、実際の舞台上演ならではの音のバランスや活気のある演奏が楽しめます。

【オーケストラ/セッション録音】
● ニーノ・ロータ作品集-1
● ニーノ・ロータ作品集-2
● ヴェルディ:序曲集-1
● ヴェルディ:序曲集-2
● プッチーニ:交響的前奏曲、交響的奇想曲、ポンキエッリ:哀歌、他
● マルトゥッチ:『追憶の歌』、ピアノ協奏曲第2番
● カゼッラ:『パガニニアーナ』、ブゾーニ:『トゥーランドット』組曲、他
● ブラームス:セレナーデ第1番、エルガー:『南国』
● ストラヴィンスキー:『妖精の口づけ』、バルトーク:『2つの映像』

ムーティが13歳の時にその才能を認め、ナポリ音楽院への入学へと繋げてくれた恩人ニーノ・ロータのアルバムが2枚、ヴェルディの序曲集が2枚、イタリア人作曲家秘曲企画が3枚、そしてブラームス&エルガー・アルバム、ストラヴィンスキー&バルトーク・アルバムを収録。すべてセッション録音で、会場はスカラ座のオーケストラがふだんリハーサルに使っているミラノの元映画館「テアトロ・アバネッラ」。使い慣れたホールでのセッション録音だけに、音の状態はどれもたいへん良好で、それぞれの作品のサウンドをつぶさに味わうことができます。


【収録情報】


Disc1-2
● ケルビーニ:歌劇『ロドイスカ』全曲
ロドイスカ:マリエッラ・デヴィーア
フロレスキ:ベルナール・ロンバルド
リシンカ:フランチェスカ・ペダーチ
ティツィカン:トーマス・モーザー
ヴァルベル:アレッサンドロ・コルベッリ
ドルリンスキ:ウィリアム・シーメル
アルタモラス:マリオ・ルーペリ
タルマ:ダニーロ・セライオッコ
ミラノ・スカラ座管弦楽団&合唱団
リッカルド・ムーティ(指揮)

録音時期:1991年2月
録音場所:ミラノ、スカラ座
録音方式:ステレオ(デジタル)

ケルビーニ[1760-1842]の『ロドイスカ』は、1791年、フランス王政の最期、革命直前の不安な政情の中でパリで上演されて成功を収め、実に200回も上演されたという救出オペラ。しかも初演時のテノールで作曲家でもあるピエール・ガヴォーが7年後に書いた救出オペラ『レオノール』の台本は、この『ロドイスカ』と男女の役割が入れ替わったような似た内容であり、その後、ベートーヴェンの『フィデリオ』の台本の元ネタになったとも言われています。また、ドイツ生まれの作曲家マイール[1763-1845]もこの人気にあやかろうと同じ題材のオペラ『ロドイスカ』を書いて、1796年にヴェネツィアで初演、人気を得ていたといいます。
 ケルビーニは『ロドイスカ』の成功により、1795年に新設されたパリ音楽院の運営委員に指名され、1797年には『メデー(メデア)』でその名声をさらに高め、1800年には救出オペラ『二日間』でも成功を収めています。
 ケルビーニはその後、ナポレオン[1769-1821]からの作曲依頼を断って不興を買い、1814年のナポレオン失脚までのあいだ、社会的に冷遇されることになってしまいます。
 その後、王政復古のもとで名誉を回復したケルビーニは、1814年と1815年の2度、叙勲の栄誉に浴して宮廷礼拝堂音楽監督となり、ルイ18世[1755-1824]の依頼でレクィエム ハ短調を作曲。これは処刑されたルイ16世[1754-1793]を悼んで作曲されたものでした。その後、1822年にはパリ音楽院院長に就任、ベルリオーズと揉めたりしながらも亡くなる直前まで20年ものあいだその地位にありました。その間、弦楽四重奏曲や宗教音楽、オペラを作曲したり、対位法に関する著作も発表、1841年には音楽家で初めてレジオン・ドヌール勲章を授与されています。
 ムーティはケルビーニの宗教音楽を数多く録音して高い評価を得ているほか、2004年にはケルビーニの名を冠したオーケストラ「ルイージ・ケルビーニ・ジョヴァニーレ管弦楽団」まで結成してその偏愛ぶりを示していました。このスカラ座での上演も、後世に影響を与えながら忘れられていた作品の重要な蘇演として話題になったもので、古典派と初期ロマン派の要素を併せ持つち明快で親しみやすい作風が示されています。


Disc3-4
● グルック:歌劇『トーリードのイフィジェニー(タウリスのイフィゲニア)』全曲
イフィジェニー:キャロル・ヴァネス
スキタイ人の王トアス:ジョルジョ・スーリアン
オレスト:トーマス・アレン
ピラード:エスタ・ヴィンベルイ
第1の巫女:アンナ・ゾロベルト
第2の巫女:ミシェラ・ルモール
ディアーヌ:シルヴィ・ブルネ
スキタイ人:アンジェロ・ヴェッチア
司祭:エンリコ・トゥルコ
ギリシャ人の女:スヴェトラ・クラステワ

ミラノ・スカラ座管弦楽団&合唱団
リッカルド・ムーティ(指揮)

録音時期:1992年3月
録音場所:ミラノ、スカラ座
録音方式:ステレオ(デジタル)

『エレクトラ』や『イドメネオ』とも関連のある題材に基づくオペラ『トーリードのイフィジェニー』はグルック[1714-1787]晩年の作品で、『オーリードのイフィジェニー』の5年後に完成しています。ストーリーそのものも『トーリード』は『オーリード』の後日譚で、物語の舞台は1000キロほど離れていますが、どちらも主役はイフィジェニー。
 アガメムノン王と妃クリテムネストラの娘で、エレクトラとオレスト、クリソテミスの姉でもあるイフィジェニーは、前作『オーリード』で、父アガメムノンによって女神ディアーヌに生贄として差し出され、恋人アキレスとも別離、死を覚悟して祭壇に向かいますが、最後は女神ディアーヌによって赦され、遠くトーリードの地にあるディアーヌの神殿で巫女として仕えることに。ここから『トーリードのイフィジェニー』となります。
 第1幕。トーリードで女祭司長となったイフィジェニーは、巫女たちと共に嵐を鎮めるための祈りを捧げ、その甲斐あってか天候が回復、そこにスキタイ人の王トアスがあらわれ、預言により、浜に流れ着いた外国人を生贄として捧げると宣告、そこにギリシャ人ピラードとオレストが連れてこられますが姉弟はまだお互いが分かりません。
 第2幕。母親殺しなどを悔やみ絶望のあまり気絶したオレストの回りを復讐の女神たちが踊りながらその母親殺しをなじり、母クリテムネストラの亡霊まで登場。続いて登場したイフィジェニーは、オレストが弟であることに気づかずに故郷ミケーネの様子を尋ね、アガメムノン王が妃のクリテムネストラとその愛人によって殺され、そのクリテムネストラは息子のオレストによって殺され、愛人エギストはエレクトラが殺したことを知ります。
 第3幕。イフィジェニーはギリシャ人2人の生贄のうち1人に、故郷ミケーネの妹エレクトラへの手紙を託すことで、助けようとします。しかし2人のギリシャ人はどちらも自分が残って死ぬといってきかず、友愛の二重唱を歌いますが、やがてオレストが残ることに決定。旅立つピラードは、戻ってからオレストを救えなかった場合は、自分も一緒に死ぬと決意を歌います。
 第4幕。イフィジェニーとオレストの二人は自分たちが姉弟であることを知り、喜び合いますが、スキタイ人の王トアスはギリシャ人の生贄二人が揃っていないことに激怒、すぐに残った一人を生贄として捧げるように命じ、イフィジェニーが自分の弟だと伝えても聞く耳持たず挙句に兵たちと攻撃してくる始末。そこにピラードがギリシャ人たちを連れてきて両者は戦いになりますが、やがて、天から女神ディアーヌが現れて戦いをやめさせ、イフィジェニーとオレストにはミケーネに帰還するよう告げ、一同喜びのうちに幕となります。
 ムーティのグルックといえば、1981年にEMIで制作した『オルフェオとエウリディーチェ』が有名ですが、この『トーリードのイフィジェニー』にも美しいナンバーが数多く含まれており、同じく高水準な演奏を聴くことが出来ます。ちなみにムーティは2002年に『オーリードのイフィジェニー』を、1996年に『アルミード』をスカラ座でとりあげてもいました。


Disc5
● カゼッラ:『パガニニアーナ』op.65
● マルトゥッチ:『夜想曲』op.70-1
● マルトゥッチ:『ノヴェレッタ』op.82
● マルトゥッチ:『ジーガ』op.61-3
● ブゾーニ:『トゥーランドット』組曲op.41〜6曲
 「処刑、城門、別れ」
 「トルファルディーノ」
 「アルトゥム」
 「女たちの部屋」
 「夜のワルツ」
 「葬送行進曲風に、トルコ風フィナーレ」

ミラノ・スカラ座フィルハーモニー管弦楽団
リッカルド・ムーティ(指揮)

録音時期:1992年12月
録音場所:ミラノ、テアトロ・アバネッラ
録音方式:ステレオ(デジタル)

ムーティ&スカラ座フィルが力を入れているイタリア音楽企画の一枚。イタリア近代の3人の作曲家によるオーケストラ作品のコレクション。
 アルフレード・カゼッラ[1883-1947]は、1917年に「国民音楽協会」を設立し、イタリアにふさわしい明快な様式を模索・確立しようとした作曲家。ディヴェルティメント『パガニニアーナ』は、カゼッラの代表作で、有名なパガニーニのカプリース第24番などを素材展開した躍動的な音楽。
 ジュゼッペ・マルトゥッチ[1856-1909]は、トスカニーニがよくとりあげていたことでも知られるマーラーと同世代の作曲家。8歳でピアニストとしてデビューし、指揮者としても『トリスタンとイゾルデ』のイタリア初演をおこなうなどして活躍したマルトゥッチは、レスピーギの師でもありました。その作風は独墺系初期ロマン派の影響を感じさせる親しみやすいもので、『夜想曲』『ノヴェレッタ』『ジーガ』の3曲共に旋律美の印象的な仕上がりとなっています。
 フェルッチョ・ブゾーニ[1866-1924]もマーラーと同世代の作曲家でピアノの名手、近代的な複雑な技法やひねりの効いた作風、バッハなど有名曲の編曲や引用でも知られた人物です。『トゥーランドット』はもともとは劇音楽として書かれたもので1905年6月に完成、2か月後には演奏会用組曲が書かれ、12年後にはオペラに拡大。劇音楽ヴァージョンの初演は1911年で、会場にはプッチーニもいたので、彼の『トゥーランドット』創作動機に師バッツィーニの『トゥランダ』と共に繋がっていたかもしれません。組曲は8曲からなりますが、ムーティはアルバムとしての雰囲気を保つためか、合唱入りの「踊りと歌」と、中国風な「トゥーランドット」をカットして6曲を演奏。全体に親しみやすい作風で適度にエキゾチックな要素も交えながらメリハリのある音楽を展開、「女たちの部屋」にはグリーンスリーヴズも登場します。


Disc6-7
● ヴェルディ:歌劇『椿姫』全曲
ヴィオレッタ:ティツィアーナ・ファブリチーニ
アルフレード:ロベルト・アラーニャ
ジェルモン:パオロ・コーニ
フローラ:ニコレッタ・クリエル
アンニーナ:アントネッラ・トレヴィサン
ガストーネ:エンリコ・コッスッタ
ドゥフォール:オラツィオ・モーリ
ミラノ・スカラ座管弦楽団&合唱団
リッカルド・ムーティ(指揮)

録音時期:1992年3-4月
録音場所:ミラノ、スカラ座
録音方式:デジタル(デジタル)

1990年4月にスカラ座久々の上演となった『椿姫』(カヴァーニ演出)は、ムーティの指揮だけでも49回、その後もマゼール、モンタナロに引き継がれ2008年まで舞台にかけられるという人気ぶりでした。
 このプロダクションでヴィオレッタ役を1990年から1995年まで歌って成功に導いたのがティツィアーナ・ファブリチーニ。各地のコンクールで実績をあげていたものの無名だったファブリツィーニは、1990年にこの『椿姫』に大抜擢されて成功を収め、スカラ座だけでなく世界各地で計150回もヴィオレッタ役を歌うことになります。
 CDに収められたのは3年目のシーズンにおこおなわれた上演のライヴ録音で、ほぼ1年目と同じメンバーにより十数回に渡って練り上げられた成果を聴くことができます。アルフレード役のアラーニャ、ジェルモン役のコーニも快調です。
 なお、楽譜を尊重するムーティなので、第2幕第1場のアルフレードのカバレッタでも慣習的なカットや最後の音の張り上げなどはおこなっていません。


Disc8-9
● ヴェルディ:歌劇『ファルスタッフ』全曲
ファルスタッフ:フアン・ポンス(Br)
アリーチェ:ダニエラ・デッシー(S)
フォード:ロベルト・フロンターリ(Br)
クイックリー夫人:ベルナデッテ・マンカ・ディ・ニッサ(Ms)
メグ:デローレス・ジーグラー(Ms)
ナンネッタ:モーリーン・アフライン(S)
フェントン:ラモン・ヴァルガス(T)
ピストラ:ルイージ・ローニ(Bs)
バルドルフォ:パオロ・バルバチーニ(T)
医師カイウス:エルネスト・ガヴァッツィ(T)
ミラノ・スカラ座管弦楽団&合唱団
リッカルド・ムーティ(指揮)

録音時期:1993年6月
録音場所:ミラノ、スカラ座
録音方式:デジタル(デジタル)

ファルスタッフ初演100周年記念公演のライヴ録音。このプロダクションはもともと、1980年にストレーレル演出で上演されたもので、プレミエからしばらくはマゼールが指揮を担当、主役のフアン・ポンスは容姿の効果もあって待望のファルスタッフ歌いと絶賛されていました。SONYから登場したこの記念公演音源では、主役は同じくポンスが受け持っていますが、指揮はスカラ座音楽監督のムーティが受け持ち、晩年のヴェルディが描いた軽やかな愉しさ、力強いヒューマニズムと多彩な表情の音楽を、端正なアンサンブルと明確な様式感で打ち出しています。


Disc10
● ブラームス:セレナーデ第1番ニ長調op.11
● エルガー:序曲『南国にて(アラッシオ)』op.50

ミラノ・スカラ座フィルハーモニー管弦楽団
ダニロ・ロッシ(ヴィオラ)
リッカルド・ムーティ(指揮)

録音時期:1993年7月
録音場所:テアトロ・アバネッラ
録音方式:デジタル(デジタル)

ムーティ&スカラ座フィルのキャラクターにぴったりの愉しい選曲。セレナーデ第1番はブラームスが25歳の時の作品。ハイドンやモーツァルトの作品研究もおこなっていたブラームスは、かつての「オーケストラのためのセレナーデ」というジャンルを復活させるべく作曲に取り組んだということで、第1楽章からハイドン風な楽想がロマン派的に響いてとても魅力的です。当時のブラームスは、ピアノ協奏曲第1番を作曲した頃でもあり、エネルギッシュで壮大な音楽への志向も強かったようですが、ここでは古典派の精神に学んで日常の心に訴求する繊細な美しさやユーモアを持った音楽が書かれています
 『南国にて』は、すでに成功を収めていたエルガー40代なかばの作品。北イタリアの景勝地、アラッシオで家族と共に冬の休暇を過ごしていた際、同地の風景や街並み、兵士たちの戦いと羊飼いのコントラストといった古代の歴史に刺激を受けて書いたもので、力強さとメランコリーの交錯する音楽となっています。特に中間部でのヴィオラ・ソロが活躍するセレナーデの美しさは心に残るもので、のちに『月明りで』という歌曲や、『カント・ポポラーレ』という器楽曲に転用されています。
 ムーティはどちらの作品も実演で何度もとりあげていますが、ここではセッション録音の克明なサウンドで、オーケストラのサウンドを聴くことが出来ます。首席ヴィオラ奏者でソリストとしても活躍するダニロ・ロッシの弾く美しいセレナーデは聴きものです。


Disc11-12
● スポンティーニ:歌劇『ヴェスタの巫女』全曲
ジュリア:カレン・フフシュトット
リチニオ:アンソニー・マイケルズ・ムーア
シンナ:パトリック・ラフテリー
巫女の長:デニス・グレイヴズ
大祭司長:デミトリ・カヴラコス
ミラノ・スカラ座管弦楽団&合唱団
リッカルド・ムーティ(指揮)

録音時期:1993年12月
録音場所:ミラノ、スカラ座
録音方式:デジタル(デジタル)

ローマでの喜歌劇上演によって知られるようになったイタリア人作曲家スポンティーニは、1803年、ナポレオン時代のパリに活動の場を転じ、オペラやカンタータなどで成功、ナポレオン夫妻からも注目され、1805年にはフランス帝国宮廷作曲家に任命、1807年にはジョゼフィーヌ皇后からの依頼で書かれた『ヴェスタの巫女』の成功で名声を確立。1811年にはピアノ製造のエラールの娘との結婚にまで至りますが、ナポレオンが失脚すると同時にスポンティーニも不遇の身となってしまいます。
 その後、1820年にベルリン王立劇場の初代音楽監督として招かれ、プロイセンに移ります。プロイセンはナポレオンに国土を半分に減らされたものの、領土奪還に成功して国力を回復しており、スポンティーニも指揮者として作曲家として活躍しますが、1842年、宮廷を侮辱した嫌疑で解雇され、22年間に渡るベルリン暮らしを終えてイタリアに帰ります。
 ナポレオンのおかげで失脚し、その後名誉を回復したケルビーニ、ナポレオンのおかげで名声を高め、その後失脚してパリを後にしたスポンティーニ、対照的な存在ではありますが、どちらも古典派最後のオペラ・シーンをパリで盛り上げたという意味では、ルーツのオペラ改革者グルックともども、音楽史上重要な存在となっていると思います。
 『ヴェスタの巫女』は200回も上演されるなどスポンティーニ最大の成功作となり、同時代のケルビーニや、後のベルリオーズ、マイヤーベーア、ワーグナーも称えたという傑作。題材は古代ローマの火の神ヴェスタに仕える巫女とローマの将軍をめぐるもので、美しい旋律と劇的な展開、重みのある様式感が聴きものとなっています。
 初演当時は大ヒットだった『ヴェスタの巫女』も、その後、ロッシーニの軽快なオペラの流行で忘れられてしまいますが、1954年、ムーティの師でもあるアントニーノ・ヴォットーの指揮とマリア・カラスによるスポンティーニ生誕180周年を記念した蘇演では注目を集めることとなります。また、同じくムーティが多くを学んだ指揮者ヴィットリオ・グイが1954年に蘇演したスポンティーニの『アグネス・フォン・ホーエンシュタウフェン』については、1970年にムーティ自身も取り上げていました。


Disc14-15
● ヴェルディ:歌劇『リゴレット』全曲
リゴレット:レナート・ブルゾン
マントヴァ公爵:ロベルト・アラーニャ
ジルダ:アンドレア・ロスト
スパラフチーレ:ディミトリ・カヴラコス
マッダレーナ:マリアーナ・ペンチェーヴァ
ミラノ・スカラ座管弦楽団&合唱団
リッカルド・ムーティ(指揮)

録音時期:1994年5月
録音場所:ミラノ、スカラ座
録音方式:デジタル(デジタル)

クリティカル・エディション使用によるムーティ2度目の『リゴレット』。前回もスカラ座との演奏で、EMIによって1988年に制作されたものでした。わずか6年の間隔ですが、ライヴとセッション、歌手の人選が異なることで雰囲気も違っています。リゴレット役のブルゾンは、独特の滑らかな渋みのある声で、嘆きや苦悩、怒りといった感情を父親の包容力で表現、可憐な美声のアンドレア・ロストのジルダ役との組み合わせも好印象。マントヴァ公爵役のロベルト・アラーニャも力強い声で傲慢なキャラクターを演じていて申しぶんありません。ムーティ指揮するスカラ座管弦楽団も細部まで見事で、旋律的要素とリズム的要素の交錯がすごい精度で実現されています。


Disc16
● ヴェルディ:歌劇『運命の力』序曲(シンフォニア)
● ヴェルディ:歌劇『アッティラ』前奏曲
● ヴェルディ:歌劇『ナブッコ』序曲
● ヴェルディ:歌劇『椿姫』第1幕前奏曲
● ヴェルディ:歌劇『ジョヴァンナ・ダルコ』序曲(シンフォニア)
● ヴェルディ:歌劇『椿姫』第3幕前奏曲
● ヴェルディ:歌劇『レニャーノの戦い』序曲(シンフォニア)
● ヴェルディ:歌劇『群盗』前奏曲
● ヴェルディ:歌劇『仮面舞踏会』前奏曲
● ヴェルディ:歌劇『ルイザ・ミラー』序曲
● ヴェルディ:歌劇『アイーダ』前奏曲
● ヴェルディ:歌劇『シチリア島の夕べの祈り』序曲(シンフォニア)

ミラノ・スカラ座フィルハーモニー管弦楽団
リッカルド・ムーティ(指揮)

録音時期:1995年9月
録音場所:ミラノ、テアトロ・アバネッラ
録音方式:デジタル(デジタル)

ムーティ&スカラ座フィルの演奏で、ヴェルディの序曲と前奏曲を聴けるアルバム。有名曲が中心となります。


Disc17
● ロータ:バレエ組曲『道』
 1. 田舎の結婚『ザンパノの到着』
 2. 3人の演奏者と張り綱の上の『マット』
 3. サーカス(ザンパノの音楽−ジャグラー−『マット』のヴァイオリン)
 4. ザンパノの怒り
 5. ザンパノ、『マット』を殺す−ジェルソミーナの苦痛
 6. 最後の雪の場面『さらば、ジェルソミーナ』
 7. ザンパノの孤独と涙
● ロータ:弦楽のための協奏曲
 第1楽章 プレリュード:アレグロ・ベン・モデラート・エ・カンタービレ
 第2楽章 スケルツォ:アレグレット・コモド
 第3楽章 アリア:アンダンテ・クアジ・アダージョ
 第4楽章 フィナーレ:アレグリッシモ
● ロータ:映画『山猫』よりダンス
 1. ワルツ・ブリランテ
 2. マズルカ
 3. コントルダンス
 4. ポルカ
 5. カドリーユ
 6. ギャロップ
 7. 別れのワルツ

ミラノ・スカラ座フィルハーモニー管弦楽団
リッカルド・ムーティ(指揮)

録音時期:1994年4月
録音場所:ミラノ、テアトロ・アバネッラ
録音方式:デジタル(デジタル)

映画『道』と『山猫』の名旋律と、ニーノ・ロータがイ・ムジチ合奏団のために書いた『弦楽のための協奏曲』を、ムーティ&スカラ座フィルの演奏で味わえる豪華な企画。


Disc18
● ストラヴィンスキー:バレエ音楽『妖精の口づけ』(1950年改訂版)
● バルトーク:『2つの映像』op.10,Sz.46

ミラノ・スカラ座フィルハーモニー管弦楽団
リッカルド・ムーティ(指揮)

録音時期:1993年4月
録音場所:ミラノ、テアトロ・アバネッラ
録音方式:デジタル(デジタル)

チャイコフスキー作品を翻案したストラヴィンスキーのパリ時代のバレエ音楽『妖精の口づけ』と、バルトークがブダペスト音楽院の教授時代に書いた『2つの映像』の組み合わせ。どちらも手の込んだオーケストレーションが施された作品なので、ムーティ&スカラ座フィルとの相性も良好です。


Disc19-20
● ボーイト:歌劇『メフィストーフェレ』全曲
メフィストーフェレ:サミュエル・レイミー
ファウスト:ヴィンチェンツォ・ラ・スコーラ
マルゲリータ/エレナ:ミシェル・クライダー
マルタ/パンタリス:エレオノーラ・ヤンコヴィッツ
ワグネル/ネレオ:エルネスト・カヴァッツィ
ミラノ・スカラ座児童合唱団
ミラノ・ヴェルディ音楽院合唱団
ミラノ・スカラ座管弦楽団&合唱団
リッカルド・ムーティ(指揮)

録音時期:1995年3月
録音場所:ミラノ、スカラ座
録音方式:ステレオ(デジタル)

晩年のヴェルディの協力者でもあった作曲家ボーイト[1842-1918]が書いた野心作。26分を超えるプロローグでは、壮麗雄大な天上界が描かれ、第1幕は広場とファウストの書斎、第2幕はマルタの庭とハルツ山の頂、第3幕は牢獄の独房、第4幕は花が咲乱れる草原、エピローグはファウストの書斎と物語が進みます。
 メフィストーフェレ役は当たり役のサミュエル・レイミー、ファウスト役は美声のヴィンチェンツォ・ラ・スコーラ、マルゲリータ役はエレナ:ミシェル・クライダーという配役。ムーティの指揮は起伏が大きく、作品をメリハリたっぷりに聴かせます。


Disc21
● マルトゥッチ:『追憶の歌』
 第1曲「いいえ、色の褪せてしまった夢」
 第2曲「小川が歌う大地の歌」
 第3曲「エニシダの花」
 第4曲「海上に小舟が」
 第5曲「漠然とした私のつぶやき」
 第6曲「深い森に」
 第7曲「いいえ、色の褪せてしまった夢」
● マルトゥッチ:ピアノ協奏曲第2番変ロ短調 op.66

ミレッラ・フレーニ(S)
カルロ・ブルーノ(p)
ミラノ・スカラ座フィルハーモニー管弦楽団
リッカルド・ムーティ(指揮)

録音時期:1995年1月
録音場所:ミラノ、テアトロ・アバネッラ
録音方式:デジタル(デジタル)

マルトゥッチ[1856-1909]はトスカニーニがとりあげたことでも有名な作曲家。『追憶の歌』は後期ロマン派風な29分ほどの音楽で、『トリスタンとイゾルデ』やR.シュトラウス『4つの最後の歌』の雰囲気も感じさせる美しい作品。メゾ・ソプラノで歌われることも多いですが、フレーニの澄んだソプラノの美声、ムーティ&スカラ座フィルの濃密な伴奏も魅力的です。
 ピアノ協奏曲第2番は、最晩年のマーラーがニューヨーク・フィルとの最後の演奏会でとりあげた作品でもありました。44分近くかかる大作で、どこかブラームスを思わせるロマンティックな第2楽章は聴きものです。


Disc22
● ヴェルディ:歌劇『2人のフォスカリ』第1幕への前奏曲
● ヴェルディ:歌劇『運命の力』第3幕
● ヴェルディ:歌劇『仮面舞踏会』第2幕への前奏曲
● ヴェルディ:歌劇『リゴレット』第1幕への前奏曲
● ヴェルディ:歌劇『オベルト、サン・ボニファッチョ伯爵』序曲(シンフォニア)
● ヴェルディ:歌劇『マクベス』第1幕への前奏曲
● ヴェルディ:歌劇『王国の一日(にせのスタニスラオ)』序曲(シンフォニア)
● ヴェルディ:歌劇『十字軍のロンバルディア人』第3幕への前奏曲
● ヴェルディ:歌劇『海賊』第1幕への前奏曲
● ヴェルディ:歌劇『アルツィラ』序曲(シンフォニア)
● ヴェルディ:歌劇『エルナーニ』第1幕への前奏曲
● ヴェルディ:歌劇『スティッフェリオ』序曲(シンフォニア

ミラノ・スカラ座フィルハーモニー管弦楽団
リッカルド・ムーティ(指揮)

録音時期:1995年12月
録音場所:テアトロ・アバネッラ
録音方式:デジタル(デジタル)

ムーティ&スカラ座フィルの演奏で、ヴェルディの初期と中期の作品からの序曲と前奏曲を聴けるアルバム。


Disc23
● ロータ:映画『ゴッドファーザー』
 I.シシリアの田園風景
 II.移民(Part II)
 III.ピックアップ
 IV.ケイのテーマ(Part II)
 V.愛のテーマ
 VI.新しいカーペット(Part II)
 VII.ゴッドファーザー・ワルツ
 VIII.エンド・タイトル(Part II)
● ロータ:映画『8 1/2』〜「別れの桟橋」
● ロータ:映画『甘い生活』〜「ポリドールのトランペット」
● ロータ:映画『オーケストラ・リハーサル』
 I.嘲笑
 II.うりふたつの双子
 III.小ワルツ No.72
 IV.ウェイティング
 V.ギャロップ
 VI.嘲笑(フィナーレ)
● ロータ:映画『若者のすべて』
 I.タイトル
 II.バーリのカンツォーネ(『わが故郷』)
 III.ミラノとナディア
 IV.遥かな大地
 V.フィナーレ − ナディア
● ロータ:映画『山猫』
 I.タイトル
 II.(No.6)ドンナフガータへの旅
 III.(No.19)アンジェリカとタンクレディ
 IV.(No.11)アンジェリカとタンクレディ
 V.(No.7)公爵の夢
 VI.(No.3)タンクレディの出発
 VII.(No.21)恋と野心
 VIII.(No.22)避難所にて
 IX.フィナーレ

ミラノ・スカラ座フィルハーモニー管弦楽団
リッカルド・ムーティ(指揮)

録音時期:1997年6月
録音場所:テアトロ・アバネッラ
録音方式:デジタル(デジタル)

ニーノ・ロータの名旋律をムーティ&スカラ座フィルで味わえる豪華な企画。ロータの音楽にとっての生命線が旋律表現であることを痛感させる魅力的なアルバムです。


Disc24
● ポンキエッリ:『哀歌』
● カタラーニ:『スケルツォ』
● カタラーニ:『瞑想』
● プッチーニ:『交響的前奏曲』イ長調 SC32
● プッチーニ:歌劇『妖精ヴィッリ』〜間奏曲
● プッチーニ:『交響的奇想曲』SC55

ミラノ・スカラ座フィルハーモニー管弦楽団
リッカルド・ムーティ(指揮)

録音時期:1997年1月
録音場所:ミラノ、テアトロ・アバネッラ
録音方式:デジタル(デジタル)

ムーティ&スカラ座フィルが力を入れているイタリア音楽企画の一枚。ポンキエッリ、カタラーニ、プッチーニというオペラ作曲家によるオーケストラ作品のコレクション。目玉は甘美で劇的なプッチーニですが、珍しいポンキエッリとカタラーニも心地よい作品です。
 アミルカーレ・ポンキエッリ[1834-1886]は、ブラームスと同世代の作曲家で、オペラ『ジョコンダ』の成功のほか、ミラノ音楽院で作曲科教授を務めてプッチーニやマスカーニを教えたことでも有名。『哀歌』は、ポンキエッリがスカラ座のオーケストラのために書いた12分ほどの作品ですが、長く埋もれており、出版されたのは1980年のことでした。曲調はタイトル通り哀切な情感が表現されたもので、抒情的な部分が主体ですが、中間以降ではドラマティックな山場も形成され、ラフマニノフやプッチーニを先取りしたような音楽が聴きごたえがあります。
 アルフレード・カタラーニ[1854-1893]は、プッチーニと同世代の作曲家ですが、39歳で亡くなってしまったため作品数は多くありません。『スケルツォ』と『瞑想』はどちらも20代のころの作品でメンデルスゾーンやワーグナーの影響の色濃い中に、メロディアスな魅力の感じられる作品です。
 そのカタラーニと親交もあったジャコモ・プッチーニ[1858-1924]の作品からは3曲収録。1882年、23歳の時にミラノ音楽院在学中に書いた『交響的前奏曲』イ長調は冒頭からとろける美しさの主題と和声で魅せますが、盛り上がりぶりもなかなかのもの。曲中の素材がのちに『妖精ヴィッリ』と『エドガール』にも転用されていることからも、プッチーニの力の入れ具合がわかります。その『妖精ヴィッリ』からは間奏曲を収録。婚約者アンナを裏切り、都会の妖婦と過ごしてやがて捨てられ、故郷に向かうロベルトの旅を描く間奏曲。このあとロベルトは妖精ヴィッリたちの踊りの中に引き込まれ、疲れ果てて死んでしまいます。1883年、24歳の時にミラノ音楽院卒業作品として書いた『交響的奇想曲』は、のちの『ラ・ボエーム』の素材が効果的に使用され、場面変化の面白さ、オーケストレーションの巧さが面白い傑作。
 ムーティの指揮は素晴らしいもので、数ある『交響的前奏曲』と『交響的奇想曲』の録音の中でも最高の存在感を示す仕上がりとなっています。繊細をきわめたアーティキュレーションに、各パートの出入りとバランスのコントロール、フォルティッシモでの壮麗な響かせ方、そして絶妙というほかない「タメ」のつくり方等々、凄いとしか言いようのない世界です。


Disc25-26
● プッチーニ:歌劇『トスカ』全曲
トスカ:マリア・グレギーナ
カヴァラドッシ:サルヴァトーレ・リチートラ
スカルピア男爵:レオ・ヌッチ
アンジェロッティ:ジョヴァンニ・バッティスタ・パローディ
堂守:アルフレード・マリオッティ
スポレッタ:エルネスト・ガヴァッツィ
シャルローネ:シルヴェストロ・サンマリターノ
看守:エルネスト・パナリエッロ
牧童:ヴィルジニア・バルキ
ミラノ・スカラ座管弦楽団&合唱団
リッカルド・ムーティ(指揮)

録音時期:2000年3月
録音場所:ミラノ、スカラ座
録音方式:デジタル(デジタル)

トスカ役は当たり役と評価の高いドラマティック・ソプラノ、マリア・グレギーナ、カヴァラドッシ役はスカラ座初登場となるサルヴァトーレ・リチートラ、スカルピア役はレオ・ヌッチという配役。


Disc27-28
● ヴェルディ:歌劇『トロヴァトーレ』全曲
マンリーコ:サルヴァトーレ・リチートラ
レオノーラ:バルバラ・フリットリ
ルーナ伯爵:レオ・ヌッチ
アズチェーナ:ヴィオレータ・ウルマーナ
フェランド:ジョルジオ・ジュゼッピーニ
ミラノ・スカラ座管弦楽団&合唱団
リッカルド・ムーティ(指揮)

録音時期:2000年12月
録音場所:ミラノ、スカラ座
録音方式:ステレオ(デジタル)

2001年はヴェルディ没後100年の『ヴェルディ・イヤー』でもあり、そのシーズン・オープニングの公演の主役をだれが歌うのかオペラ・ファンの間で話題になっていました。その大舞台に、ムーティがその才能を絶賛するリチートラが抜擢されたこの公演は、共演にバルバラ・フリットリ、ヴィオレータ・ウルマーナ、そしてベテランのレオ・ヌッチを迎え、演奏内容も素晴らしいものとなりました。
 リチートラは、1968年8月10日、イタリア人を両親にスイスのベルンに誕生しミラノで成長。最初イタリアのヴォーグ誌でグラフィック・デザイナーとして働いていましたが、歌への情熱が強かったため、19歳でその仕事を辞め、パルマ音楽院などで声楽の勉強を本格的に始めます。
 8年に及ぶ努力の末にまず合唱団員となりますが、リチートラは満足せず、ブッセートにあるベルゴンツィの声楽アカデミー『コルジ・ヴェルディアーニ』の一員となって頭角を現し、学内でおこなわれた『仮面舞踏会』の公演でデビュー、これによりヴェローナでの『アイーダ』『リゴレット』『仮面舞踏会』の出演契約を獲得、成功を収めることとなります。
 1998年にはムーティ指揮スカラ座の新プロダクション『運命の力』のアルヴァーロ役オーディションに受かり、1999年3月、同役でスカラ座デビューを果たします。同年6月と7月にはヴェローナで『トスカ』と『蝶々夫人』も歌い、2000年3月には再びムーティの指揮で今度は『トスカ』を演じ、これはソニーからもリリースされることになりました。
 そして2000年12月には、ヴェルディ・イヤーの幕開けを飾るスカラ座初日の晴れの舞台、『トロヴァトーレ』に起用されて素晴らしい歌唱を披露しますが、厳格なムーティにより、『見よ恐ろしい炎を』の最高音の慣習的なハイCへの変更が拒否され、楽譜通りの歌唱となってしまったため、スカラ座の聴衆から盛大なブーイングがわきおこるなど話題を提供することに。ちなみにリチートラは、半年後のヴェローナでの『トロヴァトーレ』では、ハイCを歌い、アンコールまでして大喝采を博していました。
 その後、2002年5月にはメトロポリタン歌劇場でキャンセルしたパヴァロッティの代役として『トスカ』でメトに出演し、『妙なる調和』で43秒、『星は光りぬ』で46秒に及ぶ盛大な喝采を受け、終演後のリチートラへの拍手も2分半以上続くという、近年最も成功したメト・デビューといわれるほどの大成功を収め、以後、世界中の歌劇場から出演依頼が舞い込むトップ・テノールとして大活躍を見せてきました。
 しかし、2011年8月27日、両親の故郷でもあるシチリア島への滞在中、スクーターを運転していた際に壁に激突、頭部や胸部などを強く打ち、搬送先のカターニアのガリバルディ病院で昏睡状態が続き、9月5日朝、脳波計などの測定結果により、医師が脳の機能が停止していることを確認。6時間の経過観察の後、死亡が宣告され、家族が臓器提供に同意、施術後、遺体はカターニアのマッシモ・ベッリーニ劇場に安置されることとなりました。まだ43歳の若さでした。(HMV)

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