98年の前作”A Good Week’s Work”の質実剛健ぶりに比べると、キーボードやコーラスの多用でややゴージャスな線を狙った模様。前作に引続きスウェーデン録音だがリフレッシュメンツの参加はヨアキム・アーネルとの共作曲が1つある程度で、共同プロデューサーのダン・ヒランダーを始め我々にはなじみの薄い名前が並ぶ。が、調べてみると中々の大物ぞろいで、さほど面白みはないがさすがに手堅い演奏。ヴォーカルについては、相変わらず巧い歌ではあるが以前に比べると一本調子の傾向も。とはいえ、よく練られた曲の多い事は従来同様で、この点では大いに楽しめる。ベストトラックはセサミストリートみたいなタイトル曲の他、ニックロウ的なペーソスのあるちょっとくたびれたシャッフル”Get a Job”、キーボードが効果的なバラード”The Picture 〜”、君はまるで読み出したら止まらない本・5つ星の映画・クラシックカーやハーレー、それからそれから・・・と、おもちゃ箱から次々と引っぱり出すように列挙する様がキュートな”I Can’t Name 〜”、シンプルなフレーズを分厚いコーラスとドラムでうまく仕上げた”Only the Sound 〜”。
ロックパイルのライヴ映像で、エドモンズの隣で一番デカい声でがなっていたギタリスト。Seconds of PleasureではHeartとFine〜のリードを歌った。結構多才な人なのにエドモンズとロウの影でかすんでしまったのは気の毒。ギタープレイに於いてはバンドに推進力を与えテンションを保ち、パワフル(過ぎる?)なvoでテナーパートを支え、ビリー・マレーのペンネームで曲を提供した彼の貢献はもう少し評価されていいはず。このアルバムでは大半がウィル・バーチと彼の共作だが、他のライターにはちょっとないような面白い曲を書く人だ。カバー曲は判っている限りではコステロのM3、ディフォード&ティルブルックのM11、ハワード・ワースのM14。