1995年ライブ録音。アルバム「Song Is My Story」の解説にある自由運動の非公式テーマ曲にもなった「マネンバーグ(Mannenberg)」が演奏されている。Abdullah Ibrahim は自作を結構何度も再演するが、何故かこの曲はほとんど演奏していないので貴重なアルバムである。アルバム全体としては、サイドメンのサポートも手堅い=強い印象ではないとも言え、初期の作品と比べると地味な印象であるが、それゆえに夜寝る前でも気軽に聴ける。

1965年ライブ録音。ボーナストラック含め全9曲中6曲が自作、残りはモンク作曲とモンクも演奏したスタンダード。マルチプレーヤーであるAbdullah Ibrahimの作品としては珍しく（？）ピアノに集中している。なおCDに付属している解説だが、同時発売の4作分の解説がひとつのブックレットとして収録されているという、お得なのかお得じゃないのかよくわからない仕様である。

デュオアルバムだがAbdullah Ibrahim (Dollar Brand)がピアノのみならずフルート、ボーカルも演奏し、Johnny Dyani もベースのみならずボーカル、ベルを演奏しているため、たった二人とは思えない豊かな音楽世界が広がっている。なお、装丁について、廉価版CDとはいえ「enja REAL JAZZ CLASSICS」シリーズとして一貫したデザインであり好感が持てる。

当たり前だけれどもホーンがいる分、自身のピアノは控えめで一歩下がっている。曲の美しさが印象に残るが、やはり彼の音楽に浸りたいのならば、ソロ少なくともトリオぐらいが限界なのではないか…。実は、セロニアス・モンクにも同じ意見を持っている。もちろんこのアルバムが駄目ということでは無いが、もしソロアルバムを聴いたことが無い方がおられれば是非。

紙ジャケの日本盤かボーナストラック入りの輸入版か悩むところ。内容は悩む必要はありません！cecil mcbeeがいるようにスピリチュアルジャズが好きな人には間違いないでしょう。同じくenjaから出ているafrican sketchbook（こちらはソロ）と一緒に大好きなアルバムです。

静謐な音楽なので、かったるいと思うひともいよう。初めて聞くピアニスト。

本物の音楽というのはジャンルを問わずどんな曲でも､音自体､聴けば聴くほどのめり込んでしまえば本物であり､或は本当の音楽であると思う｡それを見事に感じさせるｱﾙﾊﾞﾑは数多くあれど､このｱﾙﾊﾞﾑもその中の1枚と言っていいだろう｡あの『ｹﾙﾝｺﾝｻｰﾄ』が名盤ならば､このｱﾙﾊﾞﾑは､下手するともっと上を行くのでは…と､聴き終えた後そう感じた｡

Radioheadの天才ギタリストJonny Greenwoodが大きな影響を受けた、と自ら公言していたこのアルバム。おひとついかがか？