Sotho Blue

アブドゥーラとEkayaとの共演。Ekaya とは、家という意味。原点は、黒人差別政策に強いられている人々に訴えるものとして80 年代中期から活動を続けている7人編成のグループ。アブドゥーラ氏が幼少のころより聴いていたという讃美歌や、黒人霊歌の世界が色濃く現れるサウンドはゴスペル的な響きが温かく深く響きます。

メンバーは、時代ごとに変わって今回も新メンバー。しかし、曲は、往年の名曲も多分に織り込んで、新たに演奏されるという構成になっています。オープニングCalypso Minor はリミックスなどもされてリリースされたこともある曲ですが、ここでは、生霊を感じさせるようなミステリアスなムードで。NHKドキュメンタリーでも演奏されていたThe Mountai nでは、究極のピアノ･イントロに導かれて、厳かで敬虔な世界が。

続く、Weddi ngも紛れもない名曲。ジャズ･ファンの間では、結婚式に使う、演奏する人もいるという曲ですが、今回はピアノ無しの管楽器アンサンブルで、至高のハーモニーを再現。また、ラストのケープ･タウン･フラワーは、言わずもがな、生まれた土地、アフリカ･ケープタウンへのオマージュ･･。数々のライブ公演でも、必ずと言って、ハイライトで演奏される曲で幕引き。いかにもアブドゥーラ氏のアブドゥーラ氏らしい作品構成と言えましょう。ちなみにタイトルのSotho Bl ue 南アフリカ、ソト( 族、語) の青、という意味とのことです。

今回は新進のメンバーを率いての若い演奏ですが、いつの時代も、自身の大きな世界観、音楽をバックに、その時代その時代の才能を迎えて演奏してきたのも、このアブドゥーラ氏。その氏の音楽性が広く次の世代にも伝わって行ってほしいとの願いも感じる演奏です。

Abdullah Ibrahim(p), Belden Bullock(b), George Gray(ds), Cleave Guyton(as, fl), Keith Loftis(ts), Andrae Muchison(tb), Jason Marshall(bs)