ルガーノ・コンサート&ベルン・レコーディングス1961(2CD)
バルビローリ&ハレ管弦楽団
バルビローリのスイス録音を収めた2枚組アルバム。Disc1は、ルガーノでのコンサートのライヴ録音で、Disc2は、ベルンでコンサートホール・レーベルのためにおこなったセッション録音のCD化。
【ルガーノ・コンサートのライヴ録音】
以前からエルミタージュ・レーベルなどでリリースされている有名な録音。ヴォーン・ウィリアムズの交響曲第8番は、バルビローリが1956年に初演し、作曲者からの献呈も受けているという作品。各楽章ごとに大きく楽器編成の異なる音楽が特徴で、バルビローリの演奏はときに荘重にときに滑稽にと、非常に表情が豊かなのがポイント。
『エリザベス朝組曲』は、バルビローリが1942年に書き上げた編曲作品。友人の作曲家、アーサ・ベンジャミンに触発されて接した『フィッツウィリアム・ヴァージナル曲集』から感銘を受け、それらの中からバードやファーナビーなどによるいくつかの曲をオーケストラ用にアレンジしたというものです。その音楽は、冒頭からまさに英国的としか言いようのない荘重かつ気品に満ちた雰囲気が素晴らしく、編曲は近代でも精神は昔の大英帝国といった風情が、ゆったりした部分はもちろんのこと、快活な部分に至るまで十分な品格を与えていて美しい限り。
続くスペインつながりの2作品では、好調時のバルビローリならではの激しくエネルギッシュな演奏が楽しめます。モノラルながら音質も良好です。
【コンサートホール・レーベルのセッション録音】
メンデルスゾーンの『イタリア』は、だいぶ以前にCDで発売されていたもののリムスキー=コルサコフはおそらく今回が初のCD化。『イタリア』は冒頭かエネルギッシュな演奏として有名なものなので、今回のバルビローリ・ソサエティからのリリースは非常に歓迎されるところです。
【バルビローリ・プロフィール】
イタリア人の父とフランス人の母のもと、ロンドンに生まれたジョン・バルビローリ[1899-1970
本名:ジョヴァンニ・バッティスタ・バルビローリ]のスタイルは、その血筋もあってか、英国人指揮者の一般的なイメージとは大きく異なるものでした。そのアプローチの根幹を成すのは情熱的かつ情愛豊かなパーソナリティであり、ときに大胆なデフォルメも辞さずに思い切った表現を志向するその芸風は今も数多くのファンから愛されています。
祖父も父もヴァイオリニストだったというバルビローリ一族ですが、ジョンはチェロを学び、チェリストとしてデビュー、オーケストラのほか、弦楽四重奏団でも活躍、やがて25歳のときには、みずから室内オケを組織して指揮者に転向し、以後、表現に工夫を凝らした「バルビローリ・サウンド」を武器に、指揮者としての名声を確立、やがて30代なかばでトスカニーニの後任としてニューヨーク・フィル首席指揮者に就任するほどの活躍をみせることとなります。(HMV)
【収録情報】
Disc1
・ヴォーン・ウィリアムズ:交響曲第8番ニ短調
・バルビローリ:エリザベス朝組曲
・リムスキー=コルサコフ:スペイン奇想曲 op.34
・シャブリエ:狂詩曲『スペイン』
録音時期:1961年4月11日
録音場所:ルガーノ、テアトロ・クルザール
録音方式:ライヴ
Disc2
・メンデルスゾーン:交響曲第4番イ長調 op.90『イタリア』
・リムスキー=コルサコフ:スペイン奇想曲 op.34
録音時期:1961年4月13日
録音場所:ベルン、クルトゥア・カジノ大ホール
録音方式:セッション
ハレ管弦楽団
ジョン・バルビローリ(指揮)