寺院消滅 失われる「地方」と「宗教」

鵜飼秀徳

基本情報

ジャンル
ISBN/カタログNo
ISBN 13 : 9784822279172
ISBN 10 : 4822279170
フォーマット
出版社
発行年月
2015年05月
日本
追加情報
:
278p;19

内容詳細

「宗教が衰退しているのは、死に対する意識が変化しているから、と私は見ている。
葬儀を行わず、墓をつくらない人が増えているのは、死に対する意識の変化だ。
生のみを追及して、死は無意味であるという発想は間違いだと思う」
――作家・元外務省主任分析官 佐藤優(本書「解説」より)

「坊主丸儲け」「寺は金持ち」というイメージは強いが、日本のお寺は、かつてないほどの危機に瀕している。
菩提寺がなくなり、お墓もなくなってしまった――。こんな事態が現実になろうとしている。

中でも地方のお寺の事態は深刻だ。高齢化や過疎は檀家の減少につながり、寺の経営を直撃する問題となっている。
寺では食べていけないことから、地方の寺では、住職の跡継ぎがいない。
しかし、寺は地域住民の大切なお墓を管理しなければならないため、簡単に廃寺にしたり、
寺を移転したりすることはできないのが現実だ。

一方、都会で働くビジネスパーソンにとって、お寺やお墓は遠い存在であり、
お寺との付き合いは「面倒」で「お金がかかる」ばかり。
できれば「自分の代からはもう、お寺とは付き合い合いたくない」と、
葬儀は無宗教で行い、お墓もいらない、散骨で十分という人も増えている。

経営の危機に瀕するお寺と、お寺やお墓はもういらないと言う現代人。
この問題の根底には、人々のお寺に対する不信感が横たわっている。
僧侶は、宗教者としての役割を本当に果たしてきたのか。
檀家や現代人が求める「宗教」のあり方に応えることができているのか。

地方崩壊の根底に横たわる寺の消滅問題について、日経ビジネスの記者が全国の寺や檀家を取材し、
徹底的にルポ。芥川賞作家の玄侑宗久氏らのインタビューを交えてこの問題に迫る。

お寺やお墓、そして地域の縁を守ろうと必死で努力する僧侶たちの姿と、
今だからこそ、仏教に「救い」を求めて集まる現代人の姿が見えてくる。

≪主な内容≫

【1章】 地方から寺と墓が消える
島を去る住職、来る住職 ある在家出身僧侶の奮闘記
地方と都市を彷徨う墓地 福沢諭吉のミイラと改葬
世界遺産の恩恵はどこへ 限界集落の空き寺  ほか

【2章】 住職たちの挑戦
「ゆうパック」で遺骨を送る時代/「本当に感動する葬儀をやりたい」 ほか

【3章】 宗教崩壊の歴史を振り返る
寺は消えてもいいのか/鹿児島が迎えた寺院・僧侶の「完全消滅」 ほか

【4章】 仏教教団の調査報告
浄土宗/曹洞宗/浄土真宗本願寺派/日蓮宗/臨済宗妙心寺派

【解説】 作家・元外務省主任分析官 佐藤優

【著者紹介】
鵜飼秀徳 : 1974年、京都市右京区生まれ。成城大学卒業後、報知新聞社に入社。事件・政治担当記者を経て、日経ホーム出版社(現日経BP社)に中途入社。月刊誌「日経おとなのOFF」など多数のライフスタイル系雑誌を経験。2012年から「日経ビジネス」記者。これまで社会、政治、経済、宗教、文化など幅広い取材分野の経験を生かし、企画型の記事を多数執筆。近年は北方領土問題に関心を持ち、2012年と2013年には現地で取材を実施、発信している。正覚寺副住職(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)

(「BOOK」データベースより)

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読書メーターレビュー

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  • ネギっ子gen さん

    【将来的に、全国の7万7000カ寺のうち3割から4割が消滅する】人口減に伴って衰退する寺院経営の現状を全国の寺や檀家から取材し、地方の困窮寺院の声を伝える書。佐藤優の解説も収録。参考文献も。「坊主丸儲け」「寺は金持ち」というイメージは強いが、厳しい状況。中でも地方のお寺の事態は深刻。高齢化や過疎で檀家は減少し住職の跡継ぎもいないが、地域の墓を管理するため廃寺にもできない。一方、都会では、お寺やお墓は遠い存在。「お寺とは付き合い合いたくない」と、葬儀は無宗教で行い、墓もいらない、散骨で十分という人も――。⇒

  • HANA さん

    地方の寺、主に過疎地の寺院のルポタージュ。地縁というものが消え失せようとしている現在、檀家と菩提寺という形の地縁に根差した寺院が無くなっていくのは世の趨勢かもしれない。とはいえ東京一極化による地方の疲弊は現代日本の宿痾みたいなもので、寺院の力だけでは何ともし難いものがあるのも事実。一つ葬儀が出る毎に檀家が一軒無くなるという過疎地の住職の言葉には愕然とするものがある。新しい方法を模索しようにも、今までの檀家を捨て置くわけにもいかず。答えの出ない問題だな。巻末の各宗派のデーターも更に危機感に拍車をかけている。

  • おかむら さん

    お布施の額になんかモヤモヤしたので、そういえば私は寺や檀家やそもそも仏教ついて何も知らないなーと思って読んでみた。いわゆる坊主丸儲け的な内容ではなく、地方の人口減で寺の経営も成り立たなくなるみたいな内容。思ってたんと違うけどとても興味深いルポ。面白い! 東京と地方では寺との付き合い方がそもそも違うんだな。村の過疎化で無住寺激増とか、震災後の寺の状況とか、尼寺が無くなるとか、廃仏棄釈と農地解放とか、知らないことばかりでした。お布施の額もなるほど東京は飛び抜けて高いわけねー、と納得(してないけど了解)。

  • Miyoshi Hirotaka さん

    仏教は長期的凋落と弱い回復を繰り返している。一向一揆のように自治と武力で武家に対抗していた頃が、ある意味最盛期。徳川時代には寺社奉行により統制され、寺請制度で守らたが、幕府の終焉に伴う神仏分離令により保護がなくなった。戦前、海外布教や戦争協力により小康を得たが、農地解放、政教分離、新宗教の勃興により壊滅的な打撃を受けた。今は、それに少子高齢化が加わった。地方の縮減により、25年後には今の1/3の寺院が消失する見通し。諸行無常、無常迅速。宗教といえども変化の例外ではない。融通無碍に変化することが生き残る道。

  • きいち さん

    丁寧に取材された、一から、いや、ことによるとマイナスの状態から頑張る各地のお寺さんの話がとてもいい。人の死と悩みに向き合うための様々な手法。ゆうパックあり、感動のお葬式あり。ええんちゃうん、こういう人々がどこかで支えてくれてるのなら、あとは成行きに任せても。そんな気になってきた。◇だって正直、寺の経営が成り立たずご住職がおられずとも、信じる人さえいれば祈りの場は成り立つ、在家が代表役員すればいい。もちろん本職がおられたらそれはとても幸せなこと、だから在家のわれらは、真摯な支え手をこそ支えていきたいと思う。

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鵜飼秀徳

京都・嵯峨の正覚寺に生まれる。成城大学文芸学部卒業後、新聞記者・雑誌編集者に。オウム真理教事件、東日本大震災、チェルノブイリ原子力発電所、北方領土など国内外の多くの取材現場に足を運ぶ。2018年に独立。2021年に正覚寺住職に就任(三十三世)。主に「宗教と社会」をテーマに取材、執筆、講演を続ける。近

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