冷血 下 新潮文庫

高村薫

基本情報

ジャンル
ISBN/カタログNo
ISBN 13 : 9784101347264
ISBN 10 : 4101347263
フォーマット
出版社
発行年月
2018年10月
日本
追加情報
:
448p;16

内容詳細

井上克美、戸田吉生。逮捕された両名は犯行を認めた。だが、その供述は捜査員を困惑させる。彼らの言葉が事案の重大性とまるで釣り合わないのだ。闇の求人サイトで知り合った男たちが視線を合わせて数日で起こした、歯科医一家強盗殺害事件。最終決着に向けて突き進む群れに逆らうかのように、合田雄一郎はふたりを理解しようと手を伸ばす―。生と死、罪と罰を問い直す、渾身の長篇小説。

(「BOOK」データベースより)

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この物語は犯人は捕まって終わりではなく、...

投稿日:2021/07/09 (金)

この物語は犯人は捕まって終わりではなく、その動機についての捜査をして、さらにはそれに行き詰まる過程が丁寧に書かれているのが興味深いです。犯意らしいモノが見つからず、事件が起きた理由が分からないと苦悩する合田刑事は、自分への問いかけを続ける内に自身の行動原理や生意味まで考えだします。正や死といった人間の根底にあるモノに光を当てた作品で、まさに圧巻のラストと言えるでしょう。

イック さん | 大阪府 | 不明

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読書メーターレビュー

こちらは読書メーターで書かれたレビューとなります。

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  • ヴェネツィア さん

    下巻は調書と公判。ほとんどは調書を読むほどに混迷を深める合田を描くが、彼がこの事件を自分自身に納得させたいゆえの執念と、それを執拗に描いてゆく作家のそれとがなんとも凄まじい。供述は思いつくままに語られるので断片の集積のようだが、それがまた生々しいリアルを浮かび上がらせる。そして、読者である我々も人間であることの統体とは何かに自信が持てなくなりそうだ。例えば『パリ・テキサス』のエピソードがそうだ。タイトルの「冷血」は、犯人たち2人2だけのものではない。国家機関の執行者としての検事の冷血、バッジの下の弁護士⇒

  • yoshida さん

    恐らくは、世田谷一家殺害事件に着想を得たのではと思う。歯科医師一家強盗殺人事件。下巻では犯人二人の調書を作成するが、動機が軽く安易過ぎて警察は困惑する。限られた時間のなか、犯人である戸田と井上の生い立ちや、成長の過程を掘り下げる。戸田の独白の悲しさ。親から愛されなかった寒々しさと孤独。戸田を待っていた井上への「仲間」意識に涙する。双極性障害を疑われる井上。彼の自他への無関心。壮絶な生い立ちが徐々に明かされる。勿論、彼等が罪を犯したことは変わらない。極刑となる二人を洗う真摯な警察の姿に非常に考えさせられた。

  • KAZOO さん

    今回は高村さんの上下にわたる長編ですが比較的早く読み終えました。というのは、最近の闇バイトによる強盗事件などがあってそれを先取りして書かれたような気がしたからです。第1章では被害にあうある程度の中流以上の4人の家族の様子と犯人の二人組の様子が描かれます。そこで4人の殺人事件が起き、2章では捜査の様子が描かれ犯人は比較的早く捕まります。合田刑事も出てきます。3章では、なぜこのような事件が起きたかと犯人と刑事のやり取りを中心として書かれていますが、結局は理由もあまりない殺人ということなのでしょう。

  • papako さん

    上巻よりも時間がかかった。しかし、歳をとって係長になった合田はつまらない。かと思うと、不思議と惹かれる。鬱々と綴られる犯行に至る動機云々に辟易しながらも、合間に挟まれる合田の心情が知りたくてがんばった。不思議と記憶もあり、そうだった、加納は上巻の1文だけだったと残念に思ってしまった。絶対人にはススメないけれど、たまに読みたくなる合田シリーズ。『太陽を曳く馬』の坊さんのはっちゃける場面と高い傘を買う合田にも会いたくなってしまった。あー、苦しい読書でした。しかし、この二人は老後を共に過ごすのかね?

  • NAO さん

    合田刑事についてはかなりモヤモヤしたものが残ったが、話そのものは、なかなか読み応えがあった。殺すぐらいだからよほど深い動機があるに違いない、よほど強い恨みをもちよほど強い感情に突き動かされてのことだったのだろう、と誰もが考える。だが、現代は、この犯人たちのように、これといって動機となるようなことがない、そういった事件も起こる世の中になってきてしまっているのかもしれない。だからこそ、こういった一見不可思議な行動をとってしまう犯人たちを「冷血」と呼ぶしかないのだろう。

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