相楽総三とその同志 講談社学術文庫

長谷川伸

基本情報

ジャンル
ISBN/カタログNo
ISBN 13 : 9784062922807
ISBN 10 : 4062922800
フォーマット
出版社
発行年月
2015年02月
日本
追加情報
:
600p;15

内容詳細

相楽総三は幕末に尊王攘夷の志をもち、薩摩の西郷隆盛らと往来して倒幕運動に従事した男です。戊辰戦争の際には「赤報隊」を結成。「年貢半減」を掲げて東山道を進軍していったところ新政府の方針変更(裏切り)によって「偽官軍」とされ下諏訪で刑死しました。享年30。

作家・長谷川伸は相良の軌跡を追い、草莽の志士たちの生死をたどることで「歴史」というものの姿をあらわしました。明治維新について記された書物はあまたありますが、その叙述の志の高さにおいて本書をこえるものはまずないでしょう。
以下は長谷川による「自序」の一部です。すべてはこれに尽きています。軽薄で声高な「改革史観」がはびこりつつある昨今、本書がふたたび多くの読者に迎えられることを切望します。

相楽総三という明治維新の志士で、誤って賊名のもとに死刑に処された関東勤王浪士と、その同志であり又は同志であったことのある人々のために、十有三年間、乏しき力を不断に注いで、ここまで漕ぎつけたこの一冊を、「紙の記念碑」といい、「筆の香華」と私はいっている。

明治維新の鴻業は公卿と藩主と藩士と、学者、郷士、神道家、仏教家とから成ったの如く伝えられがちであるが、そして又、関東は徳川幕府の勢力地域で、日本の西は討幕、東は援幕と印象づけられがちだが、その二ツとも実相でないことを『相楽総三とその同志』は事実に拠って弁駁表明している。士・農・工・商という称呼で代表している、全日本のあらゆる級と層から出て明治維新の大業が成ったのが実相で、そういう観かたを余りにもしないわれらの習癖に対し、無言の体当りを食わせた意味をもたない訳でもないのである。

[著者紹介]
長谷川伸(はせがわ・しん)
1884年(明治17年)~1963年(昭和38年)。大正・昭和時代の劇作家、小説家。大衆文学の父ともよばれる。1884年(明治17年)横浜に生まれる。幼くして母と別れたのち、家の没落によって小学校を三年で中退。さまざまな職業を転々として辛酸をなめる。軍隊を除隊後、新聞記者となり猛勉強を重ね、劇評などで頭角をあらわした。やがて小説、戯曲の執筆に手を染める。「沓掛時次郎」「瞼の母」「一本刀土俵入」など次々にヒットをとばし、世にいう「股旅物」ジャンルを確立する。また文学勉強会「新鷹会」を主宰し、門下生には村上元三、山手樹一郎、山岡荘八、戸川幸夫、池波正太郎、平岩弓枝らを輩出した。その一方で「荒木又右衛門」など、入念な考証に基づき「史実」の意味を問う作品を世に送りだしており、本書『相良総三とその同志』は維新の動乱のなかで圧殺されていった「草莽の志士」たちの姿を刻んだ「紙の碑」「筆の香華」である。

【著者紹介】
長谷川伸 : 大正・昭和時代の劇作家・小説家。大衆文学の父ともよばれる。1884年、横浜に生まれる。幼くして母と別れたのち、家が没落して辛酸をなめる。新聞記者となり、やがて小説、戯曲の執筆に手を染める。「沓掛時次郎」「瞼の母」「一本刀土俵入」など世にいう“股旅物”ジャンルを確立する一方で、「相楽総三とその同志」など、入念な考証に基づき「史実」の意味を問う作品を世に送りだした。また、門から村上元三、山岡荘八、池波正太郎、平岩弓枝らを排出した。1963年没(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)

(「BOOK」データベースより)

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読書メーターレビュー

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  • 優希 さん

    赤報隊を率いた相楽総三の実録小説という印象を受けました。それだけ史実に忠実なのでしょう。ノンフィクションとは異なれど、どこまでも歴史を追いかけているのが分かります。

  • かっぱ さん

    【図書館】巻末の解説で長編小説とされていますが、小説というより記録という印象。相楽総三の孫が仏壇の中から血で固まった遺髪を発見する「泣血記」(孫・木村亀太郎著)で始まる。尊王攘夷派の相楽総三をリーダーとする赤報隊第1組。官軍の最先鋒であらんとして先を急ぎ過ぎて疎んじられたのか、はたまた政治的な意図が働いたのか。赤報隊は偽官軍とされ、その多くが、逆賊の汚名を着せられて殺される。相楽総三も下諏訪にて斬首刑に処せられ非業の死を遂げる。その裏には、岩倉具視か西郷隆盛だかの力が働いていたことは間違いなさそうである。

  • 金吾 さん

    ノンフィクションではありませんが、史実を忠実に再現しようとしているように感じる力作です。歴史は綺麗事ではないと思いました。

  • 叛逆のくりぃむ さん

     相楽総三の動向を通して、関東に於ける討幕運動の展開を記述している。武州の郷士を中核とし、京で活躍した新撰組とは、また異なる”草莽の悲劇”がここには描かれている。

  • 紫 さん

    赤報隊事件で有名な相楽総三の事跡をたどる実録風歴史小説。実説重視の著者らしく、史実にもとづく展開ではことあるごとに典拠を提示するというこだわりぶりであります。ただ、ノンフィクションや論文とは違うのだから、発表から六十年が経過して、学術文庫というレーベルから出版されるというのはいかがなものでしょう。逆にいえばこの六十年間に学術研究は進んでいなかったことになるのか。偽官軍事件の原因は年貢半減令の取り消しのためとは説明があるものの典拠の提示はなく、参考資料のつもりで読む場合には取り扱いに御注意を。星5つ。

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人物・団体紹介

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長谷川伸

1884年、神奈川県横浜市生まれ。1963年、没。小学校を中退後、様々な職を転々とし、新聞記者のかたわら創作を開始する。1928年に発表した「沓掛時次郎」が話題となり、いわゆる“股旅物”の流行作家となる。代表作「瞼の母」「一本刀土俵入」は今に至るまで繰り返し上演・映画化されている。1956年『日本捕

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