オスマン帝国の解体 文化世界と国民国家 講談社学術文庫

鈴木董

基本情報

ジャンル
ISBN/カタログNo
ISBN 13 : 9784062924931
ISBN 10 : 4062924935
フォーマット
出版社
発行年月
2018年03月
日本
追加情報
:
256p;15

内容詳細

民族・言語・宗教が複雑に入り組み、多様な人々を包み込む中東・バルカン。その地を数世紀の長きにわたり統治したオスマン帝国の政治的アイデンティティ、社会統合、人々の共存システムとはなにか―。帝国の形成と繁栄、解体の実像、そして文化世界としてのイスラム世界の伝統を世界史的視点から位置づけ、現代にまでつながる民族紛争の淵源を探る

目次 : 第1部 民族国家と文化世界(一つの世界の誕生以前/ 民族国家への憧れ/ 「西洋の衝撃」としてのネイション・ステイト)/ 第2部 イスラム世界(イスラム世界の構造/ イスラム世界秩序/ アイデンティティ・統合・共存)/ 第3部 オスマン帝国(イスラム的世界帝国としてのオスマン帝国/ 「パクス・オトマニカ」の構造/ 「西洋の衝撃」とナショナリズム/ 「多宗教帝国」の試み/ 帝国の終焉/ エスニック紛争の「入れ子構造」化)

(「BOOK」データベースより)

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読書メーターレビュー

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  • skunk_c さん

    2000年に筑摩新書で出ていた本の再発。民族(国民)国家、イスラーム社会を丁寧に解説した上で、オスマン帝国の歴史を叙述している。キーワードは「西洋の衝撃」。西アジア〜北アフリカ世界を中心に、「イスラームの衝撃」によって宗教を軸とする国家が出現、オスマン帝国は多くの民族や宗教を抱合しながら、イスラームを支配原理に据えて緩やかな支配の帝国を作った。これが主に言語を軸とする民族間の対立を上手く防いでいた。しかしそこにかつての辺境である西欧の勢力が伸張すると、その民族国家形成という「衝撃」が帝国を揺さぶる見立て。

  • ゲオルギオ・ハーン さん

    オスマン・トルコ帝国の解体について著者が考察した一冊。バルカン半島での独立の動きをメインに取り上げる前に、西欧のナショナリズム、帝国の多民族多宗教統治の制度を紹介しているので構成は丁寧。ただ、バルカン半島の事情に合わせて考察をしているのでアラビア半島を結局はしっかり征服出来ず、サウジアラビアが成立していったことについては数行で済ませているうえに「あっちは民族主義とは関係ない(のであまり取り扱わない)」とテーマの消化が不十分。200頁程度でおとせる内容ではないところを挑戦したのだからやむを得ないところか。

  • さとうしん さん

    第一部・第二部でネイション・テイストやイスラム世界そのものについて解説するなど、本論の前提の解説について多くの紙幅を割いている。本題は第三部となるが、これもオスマン帝国の歴史から説き起こす。多民族帝国であるハプスブルク帝国に対して、オスマン帝国が民族や言語ではなく宗教を軸とする多宗教帝国であり、多種多様な民族と言語を持つ人々がモザイク状に分布するという状況の中で「パクス・オトマニカ」が維持され、「西洋の衝撃」以後もある時期までは宗教を軸に国家統合を図ったという対比が面白い。

  • y_nagaura さん

    オスマン帝国の解体は、直接的には第一次世界大戦の敗北が原因だ。しかし、「西洋の衝撃」によりもたらされたネイションステイト(国民国家)の概念によって、イスラム教による緩やかな統治が揺らぎ、現在のような紛争地域になった、というお話。カトリック国でのプロテスタントへの態度等に比べると、確かに幾分緩やかな様子。未来を考える上での示唆に富む名著。

  • La Principita さん

    トルコの歴史を理解すべく知人から借りたが少しハードル高し。が、国家における言語、文字と文化、宗教の意味は興味深かった。オスマン帝国の例にとどまらず、良くも悪くも「西洋の衝撃」のように、自身の主義、手法、形態を力づくで置き換えてゆく西洋のあり方はどこかで限界に来るのかと思わせられる。その時、著者が結論づけるように「異文化間の相剋」を乗り越える「他民族・他宗教の新しい共存のシステムが成立しえていない」現状、各地で噴出する民族間の対立を収める術はないのだろうか。

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鈴木董

1982年東京大学大学院法学政治学研究科博士課程修了、法学博士。東京大学東洋文化研究所教授などを経て、東京大学名誉教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)

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