音樂は愉し 黎明期音盤収集家随想

野村あらえびす

基本情報

ジャンル
ISBN/カタログNo
ISBN 13 : 9784276200326
ISBN 10 : 4276200326
フォーマット
出版社
発行年月
2014年01月
日本
共著・訳者・掲載人物など
:
追加情報
:
271p;19

商品説明

音樂は愉し
黎明期音盤収集家随想
野村あらえびす 著

わが国音楽評論界の、ことにレコード評論においてのルーツといえる人物である野村あらえびすが残した、貴重なエッセー集。ことに大正から昭和初年のコレクターとしての苦労と喜び、当時の知識階層との交流が格調の高い文章で綴られてゆく。
レコードを通してしかクラシック名曲に触れ得なかった時代の、音楽に対する激しい「渇望」は、現代の、夜ごとの演奏会や次々発売されるCD等に飽食気味の音楽ファンには想像もつかないものであろう。それだけに、その渇望が満たされたときの限りない「至福」の描写に接すると、われわれはむしろそのことに羨望を覚えつつ、「音楽」という娯楽のもつ本来の力をあらためて思い出すのである。
とはいえ、戦前や戦後すぐの時期に書かれた文章ゆえ、古いオーディオ機器や、忘れられた往年の演奏家、当時の有名人士について、注釈を必要とする部分も散見された。そのため、『証言/日本洋楽レコード史』(弊社刊)の著者・歌崎和彦氏の脚注を本文に添えた。4-6判・272頁。

【目次】
この雑文集の意味

蝋管時代
音楽の飢え
音楽の救い
音楽と泥棒
始終かけるレコード
三藐三道楽
レコードと生活
実演とレコード
レコード収集の意義
夏とレコード
邦楽骨董レコード
地球は回転する
最初の「第九」――最初の「ユモレスク」の事
音盤音楽界覚書
帝大コンサートの出発
 喫茶店進出
 幼稚園児から大学教授
 学校の空気
 有料コンサート
 聴衆地方色
K子と野薔薇
大沼魯夫氏の思い出
養老院の老音楽家
 鎮魂曲を口吟みつつ死んで行った彼
珍品レコード
レコード雑誌の生れるまで
収集道中記(上)
収集道中記(下)
野村胡堂とあらえびす
あらえびすの手帳
収集道詭語
レコードの聴き方
レコード懺悔
蓄友上司小剣氏を惜しむ
老芸術家

本書について
年譜

内容詳細

目次 : ●この雑文集の意味 / ■【内容】 / 蝋管時代/音楽の飢え/音楽の救い/音楽と泥棒 / 始終かけるレコード/三藐三道楽/レコードと生活 / 実演とレコード/レコード収集の意義/夏とレコード / 邦楽骨董レコード/地球は回転する / 最初の「第九」−−最初の「ユモレスク」の事 / 音盤音楽界覚書 / 帝大コンサートの出発/喫茶店進出 / 幼稚園児から大学教授/学校の空気 / 有料コンサート/聴衆地方色 / K子と野薔薇/大沼魯夫氏の思い出 / 養老院の老音楽家 / 鎮魂曲を口吟みつつ死んで行った彼 / 珍品レコード/レコード雑誌の生れるまで / 収集道中記(上/下)/野村胡堂とあらえびす / あらえびすの手帳/収集道詭語 / レコードの聴き方/レコード懺悔 / 蓄友上司小剣氏を惜しむ/老芸術家 / ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ / 〜流行作家として「銭形平次」シリーズをヒットさせ、批評家として / わが国新聞紙上初のレコード評も執筆、レコード収集に精魂を / 傾けた著者による名随筆を復刻。〜

ユーザーレビュー

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高年齢かよほどのマニアじゃないと知らんで...

投稿日:2014/03/02 (日)

高年齢かよほどのマニアじゃないと知らんでしょうなあ、野村あらえびす。本書のオリジナルは昭和21年(1946年)刊でありますが、それはあくまでもまとめられた年であり、文が書かれたのはもっと前にさかのぼり、昭和7年とか9年から14年や15年もあります。そういう太古の(!)収集家の書き残した貴重な資料といえましょうか。私もそれなりの古株ですので、出てくる演奏家の名前も結構知っていますし、いろいろ見当をつけながら読み進められます。歌崎和彦氏による注と解題はありますが、それでも大概の人にはなかなか読むのはツライでしょうなあ。といふことで、すみませんが、不満を書いておきます。@今この時期に復刊することの意義をきちんと述べること。現在の音楽状況に照らしてこの本を復刻する意義は、今確かにあるのでしょうか。実演よりも《レコード芸術》の意義を高く評価する文もあり(240〜253ページ)、あらえびす氏は限りない愛着を注いだレコードの意義を強調するのですが、こうした意見は、音楽が様々なメディアで氾濫する現代においてどのように受け取られるでしょうか。海外旅行も容易になり、欧米の歌劇場にひょいっと聴きに行く人すら少なくない現代。一方、ネット配信で音楽をダウンロードし、もはやディスクやジャケットの影も形もない状況で、あらえびす氏の主張は収集家のフェチシズムに傾き過ぎではないかといっても過言ではありますまい。Aあらえびす氏と彼のコレクションに関する説明をもっと入れること。例えばコレクションは「一万枚」と称しておりますが、これはタイトル数なのか、それとも実質枚数なのか、不明ですね。例えばベートーヴェンの第9交響曲はSPでは7枚14面だそうですが(98ページ)、この場合には1なのか7なのか、どっちでしょう?なお、交響曲が全曲ではなくて部分的に販売されていたこと(同ページ)など、現代的には驚愕の状況でありますな。あと、コレクションの傾向について統計的に教えてほしいですね。ジャンルはクラシックだけではないようだし、クラシックならどういう作曲家が多いかとか、また岩手にあるという記念館の情報も知りたいなあ。といふところに不満を持ったのは事実であります。さて最後に一言。あらえびす氏の真剣に音楽に耳を傾けるその姿勢に当方のいい加減さを大いに反省させられるとともに、一方では聴くよりも収集活動に没頭するフェチシズム的姿勢に疑問もあり、ってなとこで、あらえびすさん、なかなか不思議な人物。

ほんず内閣総理大臣 さん | 北海道 | 不明

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読書メーターレビュー

こちらは読書メーターで書かれたレビューとなります。

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  • Susumu Kobayashi さん

    戦前から戦後にかけてレコード蒐集の第一人者だった著者の文章が集められている。戦前で枚数にして1万枚以上というのは驚きだ。SPレコードだから、後のLPレコードのような容量はない。それでも1万枚というのはすごい。蒐集家らしく、「蒐集論」のような文章も多数含まれている。著者の人徳がしのばれ、読んでいると自ずと頭が下がるようになる。著者が音楽を愛していることもわかる。掘り出し物のレコードを発見して10銭と言われ、それじゃ悪いと言って、1円差し出すなど、ぼくには到底できない。大人物である。

  • takao さん

    ふむ

  • qoop さん

    SPレコード収集家である著者のレコード収集にまつわる随筆集。趣味の西洋音楽鑑賞の黎明期を伝える文章の数々は、愛情に満ちていて生々しい。日本に於ける最初の中古レコード屋、レコード雑誌に関する証言、戦時中に音楽を渇望する人々の想い出、レコード収集仲間のエピソードなど、幅広く豊かな内容。蓄音機マニアだった作家の上司小剣、初期宝塚歌劇・松竹歌劇に在籍した作曲家の原田潤への追悼なども興味深く読んだ。

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