意味深なタイトルは気にせず読み始め、しだいに物語にグイグイ引き込まれました。悲しく、切ない内容でしたが、誉田ワールドに炊き込まれるきっかけになりました。

何年かぶりに読み返しましたが、充分に楽しめました。 姫川シリーズ同様、続編のスタートを心より熱望します。

ここまでエグい内容だと思わなかったのでめちゃめちゃ気分が悪くなりました。特に被害者が女性なので女性は辛いかも。ゾッとするし、吐き気がするくらい。でも続きが気になって読みました。状況が目に浮かぶような細かな表現。サイコパス怖い。

確かに目を背けたくなるような描写が多いですが、目を逸らさず直視することで、フィクションでありながらも物語に説得力が加わります。 登場人物が全て実写ドラマのキャストに置き換わるのはこの作品だけです。

この人の作品では少数になる、誰も人が死にません。 基本的に青春小説ですが、そこは誉田哲也、ミステリーテイストも あります。 そしてこの作品がロック小説です。楽器を演奏したりバンドを組んだりしている方なら、 もっと楽しめると思います。 それから、７０〜８０年代の洋楽ミュージシャンやアルバムが結構出てきます。これも楽しいです。

今回はライトな誉田さん。タイトルからして解決したらもう聞こえなくなるのかと思ったら、とんでもないオチが。 菊田の嫁さんも他の作品では嫌な印象だったんだけど、まぁそれは玲子目線だったからかな。

割とライトな姫川玲子シリーズ。どうしても竹内結子さんを思い出しながら読んじゃうな。擬音の推理のとこるが笑えた。

３章あるうちの２章まではあっさりと終わりました。 しかしダークなことで定評のある誉田先生、このままでは 済まないはず。 案の定、第３章からは一気に誉田先生の世界になりました。 お得意の正体不明の人物も登場。 だんだんと読むのが止まらなくなりました。 主役２人の警察官の決意のようなものが感じられて、 とてもおもしろかったです。 １つ注文をつけますと、いかにも誉田先生らしい女性をひどい目に 合わせる描写が今回も出ます。誉田先生はすでに大人気作家ですし、 人が死なない小説、いわゆる青春小説やお仕事小説もうまいです。 ですので、ミステリーものでも悲惨な描写はなくても十分に おもしろい作品が描けるのではないかと思いました。

最初から非常にグロテスクな表現と後の伏線になる描写から 始まるので初めのうちはなかなか読み進まなかったのですが、 序盤を乗り切ると話のテンポがよくストーリーにもぐいぐいと 引き込まれていく感じでハマっていきます。おすすめです。

本作も息をつかせぬ展開で一気読みしてしまいました。 しかし、途中で犯人や犯行動機がおおよそ見当がついてしまったのが、ちょっと残念で欲を言えば、最後にもう一ひねり欲しかったところです。よって総合点は1マイナスの４点です。