百田尚樹『殉愛』の真実

角岡伸彦

基本情報

ジャンル
ISBN/カタログNo
ISBN 13 : 9784800237545
ISBN 10 : 4800237548
フォーマット
出版社
発行年月
2015年02月
日本
共著・訳者・掲載人物など
:
追加情報
:
335p;19

商品説明

2014年1月3日、“関西の視聴率王”やしきたかじん(享年64)が、2年にわたる闘病生活(食道ガン)の末にこの世を去った。それから約10カ月後の14年11月7日――全国のたかじんファンが眉 間にシワを寄せるような1冊の本が世に出た。
たかじんとその三番目の妻・さくらの闘病生活を描いた『殉愛』(幻冬舎刊)だ。
著者は、いまや飛ぶ鳥を落とす勢いのミリオンセラー作家・百田尚樹。「かつてない純愛ノンフィクション」とうたわれた同書は、発売当日に「中居正広の金曜日のスマたちへ」(TBS系列)で2時間にわたる特番が組まれ、勢いに乗って32万部(編集部調べ)に達するベストセラーとなった。
この『殉愛』に疑惑の眼差しが向けられている。
“ノンフィクション”と大見得を切ったものの、事実からかけ離れた“創作”“嘘”が盛り込まれているからだ。1カ所や2カ所ではない。全編にわたって事実誤認が見られる、出版史上まれに見る“事故本”とさえいっていい。
この物語――“ヒロイン”さくらを天使のごとき「聖人」に磨き上げるための物語――には、さくらを辛い目に遭わせる“悪役”が欠かせなかった。百田尚樹は、その“悪役”を、こともあろうにたかじんの実子である長女や親族、前妻、そしてたかじんの「ガン撲滅チーム」のメンバーとして2年にわたる闘病生活を支えたマネージャーのK氏、音楽プロデューサーのU氏に担わせたのだ。直接の取材がいっさいないままに――。
本書は、およそ“ノンフィクション”とは呼べない『殉愛』を、あたかも“ノンフィクション”であるかのように書き、偽装し、販売し、そのいかがわしさに気づいている読者が大量に存在するのに、本格的な追及の動きがないことに苛いら立ったプロフェッショナルによって執筆・編集されている。
中核となったのは「角岡伸彦」「西岡研介」の2人。いずれも関西出身の講談社ノンフィクション賞授賞作家である。そこに大手週刊誌の記者・編集者、テレビ・音楽業界関係者、法曹界関係者、ネット系ニュースサイト運営者が加わり、月刊誌『宝島』編集部が“管制塔”となって、業界横断的なネットワークを組んだ……百田さん、これが本物のノンフィクションやで!!!!!

内容詳細

【目次】
まえがき
プロローグ 殉愛騒動のてん末 百田尚樹の暴走
 美談≠ノ吹き荒れる逆風
 ネットに暴かれた婚姻歴の隠ぺい
 さらに噴出した疑惑≠フ数々
 最大の疑惑「たかじんメモ」の真贋
 百田の大炎上劇場
 長女の提訴と百田のさらなる暴走
 報道合戦から訴訟合戦へ

第1章 『殉愛』の嘘 元マネージャーが語った「最後の741日」
 たかじんとさくら氏の「出会い」
 たかじんとK氏の師弟関係がわかっていない
 フェイスブック騒動の後日談
 「余命半年」の宣告はさくら氏だけが聞いていた?
 「順子」の替え歌をめぐる謎
 たかじんが最後には入籍した真意
 生前から出版を準備していたのではないか?
第2章 『殉愛』に貶められて たかじん前妻の述懐
 『殉愛』の短絡的なたかじん像
 「殴り合いの喧嘩」はたかじんの作り話
 「結構グロいよ」なんて言ってません
 こんなでたらめをよくも書けるものだ
第3章 『殉愛』が汚した歌手やしきたかじん
 私たち親族とファンを傷つけた『殉愛』
 入院直前まで続いていた親族との交流
 〈見舞いに来なかった〉のではなく「行けなかった」
 わずか20分間の遺骨参り
 ふさぎ込む義母を励まし続けた前妻
 「偲ぶ会」から親族を排除≠オようとしていた人々
 「さくらさんが呼んでます。挨拶に来てください」
 9月、さくらからの深夜の電話
第4章 後妻「さくら」という生き方 前編
 「たかじんさんを知らんなんて嘘、ですよ」
 中高時代から不思議と男の子にはモテた
 看護師コンプレックス
 〈単身アメリカに〉など渡っていなかった
 二番目の夫が明かした本当のさくら
 「5000万円をポンと出してくれた」伯父の正体
 突然、目の前で人格が豹変して倒れる
 イタリア人男性との離婚日を巡るミステリー
第5章 後妻「さくら」という生き方 後編
 「愛だけに生きた女」の第一の誤算
 第二の誤算――1億円工作の失敗
 「私が大阪に帰ってマンションの金庫を開けます!!」
 2つの金庫のミステリー
 1億円をさくらにバックしてほしい……見破られたメモの真贋
 百田&さくら「あかるクラブ遺贈」2億円回収工作の内幕
 百田尚樹が口にした致命的な一言
 疑惑の「温井メモ」を筆跡鑑定してみた
 「偽造私文書等行使罪」(刑法第161条)に問われる可能性
第6章 たかじんのハイエナ 関西テレビ界の罪
 「冠番組」を残したいテレビ局
 他界してもカネを生み出す打ち出の小槌
 さくら夫人を支える2人のキーマン
 幻のシングル曲がお蔵入りしたままに
 テレビ業界にとっての邪魔者
第7章 週刊誌メディアの作家タブー
作家タブー≠抱える週刊誌の醜態
 新聞社系週刊誌、そのスクープの立役者
 さくら夫人に記事の改ざんを許した『週刊新潮』
 百田の圧力で長女手記を潰した『週刊文春』
 夫人の手記をめぐって『WiLL』編集部内で不協和音
エピローグ 作家「百田尚樹」終わりの始まり
 保守論壇のヒーローに祭り上げられ
 つかみ≠ニオチ≠フ意識に敏感なテレビ屋
 直木賞コンプレックスと「安倍礼賛」
 朝日批判以降、調子に乗りすぎた
 業界ぐるみで甘やかしたツケ
「殉愛騒動」年譜

【執筆陣】
角岡伸彦(かどおか・のぶひこ)
1963 年兵庫県生まれ。関西学院大学社会学部を卒業後、神戸新聞記者などを経てフリーライターに。『カニは横に歩く 自立障害者たちの半世紀』(講談社)で第33 回講談社ノンフィクション賞受賞。『ゆめいらんかね やしきたかじん伝』(小学館)で第21 回小学館ノンフィクション大賞優秀賞受賞。

西岡研介(にしおか・けんすけ)
1967 年大阪市生まれ。同志社大学法学部卒。『神戸新聞』『噂の眞相』『週刊文春』記者などを経てフリーランスの取材記者に。『マングローブ――テロリストに乗っ取られたJR東日本の真実』(講談社)で第30 回講談社ノンフィクション賞受賞。盛力健児・元山口組盛力会会長の自叙伝『鎮魂 さらば、愛しの山口組』(宝島SUGOI 文庫)を構成・執筆。

家鋪渡(やしき・わたる)
1955 年大阪市生まれ。関西大学社会学部中退。兄、やしきたかじんの影響で音楽のプロを目指すが、たかじんの歌を聞いて自分とは格が違うと断念。77 年父の経営する会社に入社。94 年に倒産するがスポンサーが現れ再建。97 年社長就任、現在に至る。

宝島「殉愛騒動」取材班
 月刊誌『宝島』編集部を“ 管制塔” としたフリーランス記者、週刊誌編集者、テレビ・音楽業界関係者、法曹界関係者、ネット系ニュースサイトの横断的ネットワーク。



【著者紹介】
角岡伸彦 : 1963年兵庫県生まれ。関西学院大学社会学部を卒業後、神戸新聞記者などを経てフリーライターに。『カニは横に歩く―自立障害者たちの半世紀』(講談社)で第33回講談社ノンフィクション賞受賞。『ゆめいらんかね―やしきたかじん伝』(小学館)で第21回小学館ノンフィクション大賞優秀賞受賞

西岡研介 : 1967年大阪市生まれ。同志社大学法学部卒。『神戸新聞』『噂の眞相』『週刊文春』記者などを経てフリーランスの取材記者に。『マングローブ―テロリストに乗っ取られたJR東日本の真実』(講談社)で第30回講談社ノンフィクション賞受賞

家鋪渡 : 1955年大阪市生まれ。関西大学社会学部中退。兄、やしきたかじんの影響で音楽のプロを目指すが、たかじんの歌を聞いて自分とは格が違うと断念。77年父の経営する会社に入社。94年に倒産するがスポンサーが現れ再建。97年社長就任(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)

(「BOOK」データベースより)

ユーザーレビュー

総合評価

☆
☆
☆
☆
☆

0.0

★
★
★
★
★
 
0
★
★
★
★
☆
 
0
★
★
★
☆
☆
 
0
★
★
☆
☆
☆
 
0
★
☆
☆
☆
☆
 
0

読書メーターレビュー

こちらは読書メーターで書かれたレビューとなります。

powered by

  • 修一郎 さん

    殉愛反駁本というフレコミだが,それは前半で後半は芸能人版後妻業ドキュメンタリという構成だ。前半はまぁそうだろうな,そりゃぁ後攻が有利に決まっている…と楽しくもない文章,後半は一転後妻業人生レポートだ。「後妻業」や「京都後妻業事件」を彷彿させるようなことが,芸能人妻で起こった。そっち側につかざるを得なかった関西のTV局,出版社は,うまく立ち回れずに下手を打ったと思っていることだろう。百田氏は地雷を踏んでしまったが,その後の彼を巡る騒動を見ればそういう素地があったということ。小説を凌駕する現実…がまたひとつ。

  • starbro さん

    昨年末に『殉愛』を読みましたが、これに全面反論している本書を読まないのは片手落ちなので読みました。各々の主張の真実性を検証することは私には不可能ですが、8:2程度の割合で本書が真実に近いのではないかと考えます。それにしても10億円以上の遺産と利権があると魑魅魍魎が群がってくるものですね。司法裁定もありますが、一層のこと「後妻業」を書いた黒川博行に両方を徹底取材いただき、「百田尚樹『殉愛』の真実の信実」を出版して欲しいと思います。こうした本を出版する男気のある出版社は果たして日本に存在しているのでしょうか?

  • ハイランド さん

    これは呪いの本です。読んだ感想をネットにアップすると、ある日裁判所から損害賠償訴訟の訴状が届くという・・・おや、誰か来たようだ。(閑話休題)無償の愛を貫いたヒロインのはずが、流行語にもなった「後妻業」の金の亡者であることを暴いたというドキュメンタリー。真実は奈辺にあるのか、その辺はあまり興味がないのだが(もともとやしきたかじんなる人物をほとんど知らない)ネットの強さそして怖さを感じさせる一冊。なにしろさくらなる人物の過去がネット民により白日の下に晒されたのである。ちなみにこの事件は「現在進行形」である。

  • 厩戸皇子そっくりおじさん・寺 さん

    あえて今読むこんな本。しかし面白い事この上ない。ご存じ百田尚樹がやしきたかじんの最後の妻・家鋪さくらを聖女の如く書いたベストセラーノンフィクション『殉愛』。私は未読だが『殉愛』を元にした『金スマ』をテレビで観た。感動的な内容だった。しかしその『殉愛』が嘘八百である事を全力で暴いたのがこの本である。百田尚樹の甘さはもちろんだが、恐ろしいのは家鋪さくら(旧名、S・Y子)である。本書の『後妻「さくら」という生き方』を読めばその恐さがよくわかる。さくら氏には壇蜜の名言「リア充なんて幻想だから」を噛み締めてほしい。

  • 再び読書 さん

    読んで不快感の残る書物でした。本来このような本が出版されない事が望ましい。これだけ2冊の本で印象が違うさくらという人も理解し難い。しかし、この本が出るという遺族との確執を残した事は家鋪隆仁が一番、あの世で悲しんでいるであろう。読んで不快感が募る時間を過ごしました。「殉愛」が、ノンフィクションでは無い事だけは理解出来ました。一方的な目線で創作された出来の悪い小説だったのがわかる。百田尚樹氏は作家としては、楽しい時間を過ごさせてくれた作家なので残念に思います。ここまで書かれるネタがある事に驚きを禁じ得ない!

レビューをもっと見る

(外部サイト)に移動します

文芸 に関連する商品情報

おすすめの商品