反=日本語論 ちくま学芸文庫

蓮実重彦

基本情報

ジャンル
ISBN/カタログNo
ISBN 13 : 9784480092243
ISBN 10 : 4480092242
フォーマット
出版社
発行年月
2009年07月
日本
共著・訳者・掲載人物など
:
追加情報
:
15cm,340p

内容詳細

フランス文学者の著者、フランス語を母国語とする夫人、日仏両語で育つ令息。そして三人が出会う言語的摩擦と葛藤のかずかず。著者はそこに、西欧と日本との比較文明論や、適度や均衡点などを見出そうとするのではない。言葉とともに生きることの息苦しさと苛立ちに対峙し、言語学論理を援用しつつ、深遠なる言葉の限界領域に直接的な眼差しを向ける。それは、「正しく美しい日本語」といった抽象的虚構を追い求める従来の「日本語論」に対して、根源的な意義申し立てを行うことでもある。

目次 : 序章 パスカルにさからって/ 1 滑稽さの彼岸に(歓待の掟/ 人の名前について ほか)/ 2 「あなた」を読む(S/Zの悲劇/ シルバーシートの青い鳥 ほか)/ 3 文字と革命(萌野と空蝉/ 海王星の不条理 ほか)/ 終章 わが生涯の輝ける日

【著者紹介】
蓮實重彦 : 1936年東京生まれ。60年東京大学仏文学科卒業。同大学大学院人文研究科仏文学専攻修了。65年パリ大学大学院より博士号取得。東京大学教養学部教授(表象文化論)、東京大学総長を歴任。東京大学名誉教授。仏文学にとどまらず、映画、現代思想、日本文学など多方面で精力的な評論活動を展開し続けている(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)

(「BOOK」データベースより)

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読書メーターレビュー

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  • saga さん

    朝の情報バラエティ番組で林修先生が紹介した本。口語と文語の相違は、対談集や議事録を思い浮かべて得心がいった。しかし、彼の妻曰く「日本には海もなければ田舎もない」に賛同する筆者には失望した。漱石を引き合いに出して排除と選別の説明がなされた時に、本書の面白さと著者の主訴を感じたような気がした。いかなる国でも言葉と文字がなければ文明を築き得なかったのだから、本書の論点は亀に追いつけないアキレスを論じるがごとく問題の微分としか思えず。論文というよりはエッセイだ。

  • シッダ@涅槃 さん

    今年に入って、というか下半期ハスミ先生3冊目。ひえーっ!ハスミ先生は「抽象」をやたら批判するが、ハスミ先生の言ってること自体が抽象的じゃない?ってひそやかに思っていたのだが、藤枝静男氏の評で「差異」と「同一性」が混濁した「曖昧さ」に「懐かしい」と感じると書いてあるところで、ハスミ先生の求めているものが少しだけ知り得た気がする。ちょっと同義反復的なところが口説く、全部が全部面白いと思ったわけではないが、家族エッセイ風でもあるので、一番読みやすいハスミ評論だと思います。

  • しゅん さん

    読んでいてとても気持ちがいいのに、時間はとにかくかかる。それだけ充実した読書ができている証左だろうか。バイリンガルとして育っていく息子との関わりを出発点に、外国語を我がものにすることの根本的な滑稽さ、フランス語と日本語の人称の齟齬から露出するヨーロッパ言語の選別・排除性、音声言語中心主義に対する豊かな反証となり得るはずの日本語の可能性(とそれを無視する日本語論の貧しさ)などなど、鋭い批評が全編を通して刺さってくる。蓮實の著作はどれも刺激的だが、本著は特に素晴らしかった。全ての日本人に読まれてほしい。

  • ザフー さん

    たとえば日本語論、言語論、つまり言葉について言葉で語ることが陥る誤謬を、日仏の言葉と文化が同居する著者の日常の驚きから立ち上げ、暴きつつ、それを驚異的に面白い一冊の本に仕立てて見せている。それは「声」による「文字」の抑圧であった西欧の歴史を悟るフーコーやデリダの苦闘を顕揚するのでもなく、もちろん日本語論者の杜撰を批判したいものでもない。そうではなく、蓮見が「書くまいとして書いてしまった夢のような」ものとは、言葉の「二元論そのものを遥かに超えた豊かな混沌」、つまり表層がそれとして触れる生の手触りを思わせる。

  • ザフー さん

    蓮實重彦をやりすごすこと。「漱石に不意打ちするために、漱石をやりすごすこと」という、入手してまだ冒頭しか読んでない著者の『夏目漱石論』と重なる。何が言いたいかというと、本書はその名を伏せて読んでも良書に見えるということ。フランス人の妻と息子との日仏の日常から綴られる、抽象(観念的論議)から逃れていくような日本語=日本論。抽象観念的な議論を知悉している著者が「書くまいとして書いてしまった夢のような」文群は、普遍的に読み易いのにそれでいて言葉と人への考察の奥行きがある。言語論に不意打ちをかけるかの筆致に驚く。

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人物・団体紹介

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蓮実重彦

1936年東京に生まれる。東京大学文学部フランス文学科を卒業の後、パリ大学に留学、フローベール『ボヴァリー夫人』に関する論文で65年博士号。東京大学教養学部教授を経て、同学部長、副学長をつとめ、99年4月に東京大学26代総長に就任。『凡庸な芸術家の肖像―マクシム・デュ・カン論』で88年芸術選奨文部大

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