白檀の刑 下 中公文庫

莫言

基本情報

ジャンル
ISBN/カタログNo
ISBN 13 : 9784122053670
ISBN 10 : 4122053676
フォーマット
出版社
発行年月
2010年09月
日本
共著・訳者・掲載人物など
:
追加情報
:
16cm,409p

内容詳細

捕らわれた孫丙に極刑を下すのは、西太后の覚えもめでたい清朝の首席処刑人・趙甲。生涯の誇りをかけて、一代の英雄にふさわしい未曾有の極刑を準備する。処刑場には白檀の香りが―。罪人の実父と処刑人の義父、愛人の県知事の狭間で孫丙の娘・眉娘が狂奔する。生は血の叫喚にむせぶ、怒涛の大団円。

【著者紹介】
莫言 : 1955年、山東省高密県に農民の子として生まれる。幼くして文革に遭い、小学校を中退。兄の教科書や旧小説で文学に目覚める。76年に人民解放軍に入隊。85年に『透明な赤蕪』でデビュー。翌86年、『赤いコーリャン』で、倫理を超える農民の生命力を描いて絶賛される。『白檀の刑』で、第1回鼎鈞文学賞を受賞

吉田富夫 : 1935年、広島県生まれ。63年、京都大学大学院修了。佛教大学文学部名誉教授。現代中国研究会会長。中国現代文学専攻(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)

(「BOOK」データベースより)

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読書メーターレビュー

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  • 遥かなる想い さん

    結局最後まで戸惑いを隠せないまま読了。眉娘が登場する場面はいきいきと描かれているが、他はやや冗長。清朝末期らしい物語だが。

  • 長谷川透 さん

    人間の残虐性も列強支配による悲劇も芝居舞台の幕が閉じてしまえば現実の世界から姿を消してしまい舞台を見た観客の記憶に留まるだけである。しかし、史実と虚構の相違を巡る読者の問答は歴史的事実以上に根深く読者の心に残るのかもしれない。「猫腔」の滑稽な音色に乗せて語られる伝承的な物語は何もかもが誇張され、悲劇や残酷性さえも滑稽劇に写ってしまうが、裏舞台に潜む真の悲劇と人間の残虐性を読者は垣間見るかもしれない。誇張も行き過ぎればシビアな現実を浮き彫りにする。これまでに味わったことのない何とも形容しがたい読後感だった。

  • 田中 さん

    章ごとに主人公が入れ替わり彼らの視点で語られるので、心象と情況がいっそう克明になる。地方劇の猫腔(マオチャン)の歌と踊りを舞台に、リズミカルな文体で猟奇的処刑を描く。大きく歴史が転換しようとしている端境期に起きたこの出来事そのものが、ひとつの劇仕立てになっているようだ。悲喜こもごもとした口述芝居のように物語はすすむ。なぜ「孫丙」は命を賭してまで意地を張ったのか、この惨い処刑を通してもその真意はつかめない。でも、彼の最後の一言にとても心が揺さぶられた。清朝末期の壮大な群像劇であり苛烈な事件の連続だった。

  • taku さん

    例えるなら、食傷気味になるほど濃くて高カロリーな本場料理だ。それを完食させる鉄人の調理は冴えてる。一人称、三人称を切り替え、時間を前後させるあざといくらいの語り手法は、入り乱れる心情を把握させ人物の印象を変えていく。強さ、弱さ、交わり。時代と国を越えて人は人であることを訴えかけてくる。中国的な奇想が混濁するマジックリアリズム。処刑が見世物でもあったように、猫腔が現実に重なるように、この小説自体が演劇として幕を引く。次に薄味の本は食えんな。

  • nbhd さん

    内臓がいくつあっても足りないくらいに度胆を抜かれた。今後は「必死」と書いて「モオイエン」、あるいは「莫言」と書いて「ひっし」と読みたい。世にも残虐な公開処刑の大舞台、そこにはもはや敵も味方もなく、処刑する側も処刑される側も、居合わせる面々はみな血管ぶちきれんばかりに必死だ。あまりにも魅力的な5人の語り手が輝く五芒星となって物語宇宙が回転していた。読みながらプンプンと付きまとうのは動物のイメージ。ここには獰猛かつ凶暴なタイガー&ドラゴンだけじゃなく、ウサギも出てくる(⇒小甲)。必死なウサギって見たことある?

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