質で繊細。
でも心地よい音楽。
それを可能にしているのが、アコギ主体のバンドサウンドだ。
「シャッフルデイズ」の流れるようなメロディはこれだけでも心地よいが、アコギ主体のバンドアレンジと荒井さんの伸びのある歌声が加わることで、そこに爽快さだけを残す。
もはや一つの完成系と言ってもいいくらい文句のつけようがない一曲だ。
このアルバムではこういう心地よさやポップさも一つの魅力ではあるのだが、一方でゲストアレンジャーを迎え、違う一面で魅せているの大きな特徴だろう。
例えば、江口亮さんが編曲した「メビウスループ」ではエレクトロサウンドを、三浦康嗣さんが編曲した「マボロシ」ではピアノの音が大胆に取り入れられていて、荒井さんの歌声がこういったサウンドの中でも活きることを改めて感じさせてくれる。
全体を通してthe band apartとは違う荒井岳史さんとしての音楽を聴かせてくれるのだが、その違いにあえて直球で挑んだ「Blk 1, Silver Cat City」も聴き逃せない。
the band apartの「銀猫街1丁目」の英語詞でカバーした曲なのだが、アコギが前面に出たアレンジもあり、原曲よりも上品で落ち着いた聴かせる楽曲に仕上がっている。
このアレンジは荒井岳史さんのソロだからこそ出来たものだろう。
初めから終わりまで荒井岳史さんのソロとしての魅力が堪能できる一枚。
the band apartを知っている人も知らない人も一度聴いて、その魅力を感じてもらいたい。