「太平記読み」の時代 近世政治思想史の構想 平凡社ライブラリー

若尾政希

基本情報

ジャンル
ISBN/カタログNo
ISBN 13 : 9784582767759
ISBN 10 : 4582767753
フォーマット
出版社
発行年月
2012年11月
日本
共著・訳者・掲載人物など
:
追加情報
:
435p;16

内容詳細

江戸前期、大名らに『太平記』を講釈する者たちのタネ本は出版されるやベストセラーとなり、その主張は、武家や思想家のみならず、民衆レベルにまで浸透した。楠正成を理想的な為政者=仁君に仕立て上げ、戦国の衣を脱いだ大名たちに統治のマニュアルを、民衆たちに修身斉家の指針を与え、共通の政治常識を涵養した『太平記秘伝理尽鈔』の思想こそ、江戸の秩序の根幹である!―大胆かつ綿密な論理と実証によって、近世史、思想史の通念を一新した画期的論考。

目次 : 「太平記読み」研究序説―近世初期における「国家」と「仏法」/ 第1部 「太平記読み」と近世の政治思想(近世初期における楠正成像の転換/ 「太平記読み」の忠と佐藤直方/ 「太平記読み」における政治と学問)/ 第2部 「太平記読み」と領主層の思想―幕藩領主の思想史的研究序説(金沢藩制の確立と「太平記読み」/ 岡山藩制の確立と「太平記読み」/ 池田光政の思想形成と「太平記読み」)/ 第3部 「太平記読み」と民衆の政治意識―「太平記読み」を軸とした政治思想史(幕藩制の確立と民衆の政治意識)/ 「太平記読み」から安藤昌益へ

【著者紹介】
若尾政希 : 1961年、岐阜県生まれ。東北大学大学院文学研究科博士後期課程単位取得退学。現在、一橋大学教授。専攻、日本近世史・思想史(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)

(「BOOK」データベースより)

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読書メーターレビュー

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  • HANA さん

    『太平記』ではなく『太平記評判秘伝理尽鈔』が如何に社会の各階層に影響を与えていたかを論じた一冊。「名君」としての楠木正成像や注釈としての政治思想が山鹿素行、熊沢番山等の思想家や金沢藩、岡山藩という支配階層、そして民衆に与えた影響が、豊富な資料と共に解き明かされていく様は圧巻でもあった。そして行き着く先としての安藤昌益。封建制度という横の繋がりで理解される時代の中で、一つの本が持つイデオロギーが縦糸の役割を持っていたと考えると面白いな。もちろん各階層によって受容の方法は違っているのだけれども。

  • かんがく さん

    太平記の注釈書を用いた講釈、そんな「太平記読み」を軸に領主、民衆、思想家の思想をトータルに扱う政治思想史。太平記の楠木正成に見られる理想的な君主像が、江戸期の社会に大きな影響を与えたことがわかる。蕃山、昌益についてはもっと詳しく学びたい。

  • MUNEKAZ さん

    「太平記」講釈の種本『太平記秘伝理尽鈔』が、近世政治思想に与えた影響について。軍事に関する事柄を政治や統治の内容に読み替えることで領主層に受け入れられ、さらにそれが修身に置き換わることで民衆層にも受け入れられていく。江戸時代を貫く「仁政イデオロギー」の背景に迫る内容で大変おもしろかった。また『理尽鈔』が受け入れらていく中で、理想の『名君』として持ち上げられる楠木正成の姿も興味深い。様々な思想を仮託され、理想化されていく様は、まるで現代における信長像や竜馬像を見るようであった。

  • アメヲトコ さん

    『太平記』そのものではなく、近世に登場した太平記の註釈書(「太平記読み」)に光を当て、それがいかにオリジナルのテキストを換骨奪胎し、領主層と民衆双方の政治意識を支えるイデオロギーとして機能してきたかを明らかにした論考。全体として隙のない構成ですが、特に見事な流れの序章、金沢藩の『偉訓』の緻密な考証の光る第4章、岡山藩についての地道なフィールドワークの成果である第5章は白眉。

  • OKB さん

    「太平記読み」という着想と、そのための実証は見事に感じた。第二部はタイトル通り「研究序説」という印象を受け、その後のタテ・ヨコ両方での事例研究の積み重ねがあれば知りたく、著者の他の専論も読みたいところではある。終章で触れるように前田勉の兵学論と突き合わせてみるとさらに理解が深まりそうなので、その上で再読したい。

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