読書メーターレビュー

こちらは読書メーターで書かれたレビューとなります。

powered by

• ちなぽむ and ぽむの助 @ 休止中 さん

  読了日：2020/05/07

  今日は目が覚めるとすこしもの昏い。昨夜からつめたい雨が降っているのだった。こんな日には尾生の屍骸もよく流れるだろう、やさしいこのうえない灰色の世界で。ブラッドオレンジ木綿のバッグにいれて持ち歩きたいしとしと雨の昼に紅茶をいれてみる。山のような匂いと花のかおり。ハンドクリームはすこし百合のような。つめたい雨がすき。橋の下で水に濡れるあなたにこの紅茶をひとくちあげたい。でもあなたは首を振るだろう静かに愛するひとを待つだろう。すこしさみしいような満たされるような。

• 青蓮 さん

  読了日：2019/09/07

  あまり読んだことの無い作品をと思い、こちらを手に取りました。短編・掌編20編収録。｢ひょっとこ｣｢煙管｣｢MENSURA ZOILI｣｢蜜柑｣は既読でした。芥川による人の心理的な描写は流石。｢虱｣は読んでいると自分の肌にも虱がぞわぞわと這っているような錯覚に襲われる。｢野呂松人形｣で語られる｢あらゆる芸術の作品は、その製作の場所と時代を知って、始めて、正当に愛し、且、理解し得られるのである｣が刺さりました。知的好奇心が刺激されます。白眉は｢二つの手紙｣と｢影｣。自己幻視の不可思議さが恐ろしくも興味を惹く。

• Willie the Wildcat さん

  読了日：2018/03/09

  芥川作品で最も好きな『蜜柑』は別格、加えて『老年』も再読してその良さを再認識。これら2作品以外という観点でまず『猿』と『煙管』。人の持つ美徳・悪徳を、時に軽妙に描写。共通項は政治性も、前者は人としての尊厳を問いかけ、後者は人の持つ欲の無意味さを悟らせる。『黒衣聖母』と『女』の対称性も興味深い。共通項は母性も、”優厳”の描写比が差異。同じ女性の観点でも、『女体』は”美”が主眼。『変身』を彷彿。「当たり前」の日常に見出す気づき、そして感謝、敬愛という感。

• mii22. さん

  読了日：2021/07/24

  2021年河童忌に。短編集というより掌編ぐらいの文字数の作品が多いがどれも味わい深く何かしら心に切なさや淋しさや温かさを残していく。お気に入りは表題作の2篇。「蜜柑」の一瞬の出来事に世界が変化した刹那の驚きと戸惑いそして優しさに心をほぐされる。また「尾生の信」は「夢十夜」や「沼」のような読み心地ではじめから不穏で死の匂いのするような幻想と恐れを持ちながらも美しい絵画を観るようにその光景が鮮やかに目の前に現れる。この2篇は何度でも読み返したくなるかなりのお気に入り。

• 藤月はな（灯れ松明の火） さん

  読了日：2017/07/05

  「蜜柑」の思わず、イラっとしてしまう語り手が一転する、見送りに来てくれた弟たちへ少女が投げた蜜柑に晴れがましさを感じる。「女体」は「火星の運河」（江戸川乱歩）を連想しましたが、実は盛大な惚気話なのに笑っちゃいました。そして「尾生の信」の静けさも好きだ。

レビューをもっと見る

(外部サイト)に移動します

• 中国で社会現象となったアジア最大級のSF小説『三体』 オバマ、ザッカーバーグ激賞 シリーズ合計2100万部突破、現代中国最大のヒット小説！物理学者の父親を文化大革命で惨殺... |3日前
  
• K-POPアイドルたちの努力と苦悩を綴った豪華インタビュー集『それでも... J-HOPE、HOSHI、LEO、チョンハ、イ・チェヨン などK-POP界で今まさに大活躍をしているアイドルたちの努... |2024年04月19日 (金)　00:00
  
• 完全版Testosteroneバイブル『365日、絶好調で超ハッピーに... 毎日365日、身近なところに置いて読み続けるだけで、自然とTestosterone哲学が染み込んでいく！10周年メモ... |2024年04月18日 (木)　15:00
  
• 50年の時を経て文庫化『百年の孤独 新潮文庫』6月26日発売 100年の傑作が50年の時を経て文庫化。6月26日発売決定。世界46言語に翻訳され、5000万部を売り上げている世界... |2024年04月17日 (水)　00:00
  
• 『レーエンデ国物語 夜明け前』4月17日発売 シリーズ累計15万部突破！絶賛続々の王道ファンタジー。 完結に向けて、物語はきしみを上げて動き出す。 |2024年04月16日 (火)　10:00
  
• 誉田哲也の警察×社会派小説『首木の民』6月19日発売 著者の進化が止まらない――。警察小説のトップランナーが日本の暗部を鋭く抉る警察×社会派小説。 |2024年04月15日 (月)　00:00