新商品あり

細谷雄一

細谷雄一 | 【HMV&BOOKS online】は、本・雑誌・コミックなどを取り扱う国内最大級のECサイトです!細谷雄一に関する最新情報・アイテムが満載。CD、DVD、ブルーレイ(BD)、ゲーム、グッズは、コンビニ受け取り送料無料!いずれも、Pontaポイント利用可能!お得なキャンペーンや限定特典アイテムも多数!支払い方法、配送方法もいろいろ選べ、非常に便利です!細谷雄一ならHMV&BOOKS online!!

商品ユーザーレビュー

1件

すべてのユーザーレビューを見る(1件)

  • どういった方面であれ、掘り下げて考えようとすれば哲...

    投稿日:2021/04/17

    どういった方面であれ、掘り下げて考えようとすれば哲学が絡んでくるのは自明の理である。本書も正にそうで、第1章で国際秩序の基層としての「均衡の体系」「協調の体系」「共同体の体系」が思想的に誕生した経緯とその内容が論述される。続く第2章以下では国際秩序を巡る十八世紀から現代までの政治史が叙述される。前以て、「まえがき」と「序章」で三つの体系と現実政治の関係性の概略が示され、読者は見通しを持って本論に臨むことが出来る。そして、政治哲学はその時代背景を反映して誕生するという経緯が改めて理解されると共に、「均衡」無しには「協調」は成立せず、「均衡」「協調」無くして「共同体」は成立し得ないことを、実証的に理解出来よう。哲学や歴史理解を欠いた政策立案は先ず間違いなく空理空論の域を出ないだろうし、理想論の創造についても同様である。「国際秩序」という視点が世界史理解に実に有効だという事実を、著者は証明し得たと言える。英国のホッブズが活躍したのは、宗教対立に端を発する十七世紀前半の三十年戦争の時代であった。後の時代の国際政治学者達がホッブズの思想を、「諸国家の社会」での国際政治に応用したのが国際秩序としての勢力均衡であり、「均衡の体系」なのである。国際政治の基本がパワーであり、そのパワーとパワーを均衡させることは国際秩序の最も基本的な原理である。十八世紀に入り、新たな勢力均衡の秩序観が生まれる。英国のヒュームやスミスは国家と国家を結び付ける、リベラリズムの精神に基づいた「商業的社交性」に着目する。経済的繋がりを持つことで諸国の間に「協調」が実現するとした、「協調の体系」としての国際秩序観が生まれる。同じく英国のバークは「ヨーロッパというコモンウェルス」という概念を用いて、価値や文化を共有する同質的なヨーロッパの国際秩序を描き、「協調の体系」に至るのである。「共同体の体系」は東プロイセンのカントによって打ち立てられる。カントが『永遠平和のために』を執筆したのはフランス革命という巨大な混乱と殺戮の時代であり、諸々の独立した共和的諸国が自発的に「平和連合」をつくることによって、永遠平和の確立が可能と考えたのである。カントは「均衡の体系」や「協調の体系」の危うさ・不安定さを嫌い、敢えて思想的理想を提示したのだった。さて、本書での学びの更なる充実を望むならば、國分功一郎著『近代政治哲学』(ちくま新書)を推薦したい。両書の併読が私ごとき素人の浅薄な理解を多少とも深め、立体化してくれたように感じたからである。

    農夫 さん

    0

既に投票済みです

ありがとうございました

チケット情報

現在、細谷雄一のチケットはありません。
お気に入り登録
することで最新情報をお届します。

%%message%%