富屋大介
知り合いがアニメ化された本作についてコメントしていたのと、アニメを見た中学生の子が「面白い!」と言っていたので読んでみようと思い立ちました。
昔ながらの駅前の本屋で探すも、シリーズ最新作『ふたりの距離の概算』しかなく、「アニメ化されている以上、絶対置いてないわけないんだけどなぁ…」と店の親父に聞くと、ラノベコーナーへ。帯にアニメキャラくらいは覚悟してたんですが、まさかカバー全部がアニメバージョンに巻き直されているとは…角川の商魂たくましさと、予\想以上なアニメ表\紙に年甲斐も無くうろたえてしまいました。
(角川が、映画化を機にカバーを映画仕様に巻き直すのは知っていましたし、、一昔前に集英社文庫がジャンプ系のマンガ家にカバー画を描かせてたりしていたのも知っていました。明らかに太宰に興味の無い女子学生がカバー画だけで『人間失格』を手に取り、キャーキャー言ってる姿を本屋で見かけたときは、何とも言えない複雑な気持ちになりました。本をジャケ買いするという発想がなかったもので…というか、『人間失格』をジャケ買いさせるって、それ作品や作者のことを考えた時にOKなのか、と。
でも、新潮文庫の山本周五郎『さぶ』のカバー画を池上遼一が書いていたのにはさすがに度肝を抜かれました。やるならここまでやってくれた方がいっそ清々しいです。
って、余談が過ぎました)
内容は、高校の古典部を舞台にした日常に潜むミステリー。人が死なないミステリーと言えば北村薫の『空飛ぶ馬』を思い出すのですが、それよりも軽いタッチで読みやすかったです。
何でもないような小さな謎を、省エネをモットーとする主人公が解いていく様は、何となく『涼宮ハルヒの憂鬱』のキョンがかぶって見えました。勿論キャラ設定は違うんですが、「草食系男子」的というか、受け身系・巻き込まれ系の覇気のない男子というのが何となく気になりました。
そう言えば、以前従兄が「『ハルヒ』は平成の『うる星やつら』だ!」論を展開していて、妙に納得したのを思い出しました。自分たちの日常生活にラム=ハルヒという異世界のトラブルメイカーがやってきて、その取り巻きと一緒に日常にとんでもないハチャメチャを起こすという構\造で見れば、確かに『ハルヒ』と『うる星やつら』はよく似ていると言えそうです。そこで際立つのが、諸星あたるとキョンのキャラクターの相違でして、キョンの淡泊さを見ていると「草食系男子」というレッテルが生まれたのも何となく理解できるような気がします。(だけど、じゃあ女性としては諸星あたるみたいな粉かけまくりの「肉食系男子」がいいのか?本当に? と女の子苦手芸人みたいな疑問が次に浮上してくるわけですが…また余談が過ぎました)
古典部創設当時の事件、千反田えるの叔父・関谷純のこと、そして古典部の機関誌『氷菓』に込められた謎―\―\収集した資料と文献から過去に何があったか整合的な推論を形成していくところは引き込まれました。
「たまにはミステリーを読んで『ほぅ、なるほど!』とか言ってみたいんだけど、あんまり本格的なのはちょっと…」
という方には是非オススメの一冊です(勿論それ以外の人でもOKです)。