ふしぎなイギリス 講談社現代新書

笠原敏彦

基本情報

ジャンル
ISBN/カタログNo
ISBN 13 : 9784062883177
ISBN 10 : 4062883171
フォーマット
出版社
発行年月
2015年05月
日本
共著・訳者・掲載人物など
:
追加情報
:
352p;18

内容詳細

本稿には、2つのテーマがある。メインテーマは、近代合理主義を育み、世界に議会制民主主義などのお手本を示したイギリス人がなぜ、世襲制の君主制を支持するのかという「エニグマ(謎)」を読み解き、グローバル化する世界における国家、社会とは何なのかについて考えることだ。民主主義の機能不全とアイデンティティの問題は今後、各国に共通する悩みとして深まっていくだろう。グローバリゼーションの最先端を行くイギリスの抱える事情は、多くの国にとって他人事ではないはずだ。
サブテーマは、イギリスとアメリカという「2つのアングロサクソン国家」が主導してきた世界の在り方だ。(中略)
このサブテーマは一見、メインテーマである「王室を通して見たイギリスという国家、社会」とは別次元の話しに思えるかもしれない。しかし、この2つのテーマは密接につながっている。なぜなら、市場経済と自由な社会を両輪とするグローバリゼーションを含め、20世紀以降の世界の歩みは、英米両国の共同プロジェクト的な側面が強いからである。
本稿は、イギリスとその王室を通して、グローバル化する世界の一側面を描くことを試みたものだ。グローバル化時代のガバナンス(統治)を考える一つのヒントとなり、同じように立憲君主制を敷く日本にとって少しでも参考になればという思いを込めて。
(はじめにより)


笠原敏彦(かさはらとしひこ)
毎日新聞編集編成局編集委員。1985年3月東京外国語大学卒。同年4月毎日新聞社入社 徳島支局、大阪本社特別報道部勤務。95年4月外信部配属 97年10月~02年9月ロンドン特派員。ブレア政権の政治・外交、ダイアナ後の英王室、北アイルランド和平など英国情勢のほか、遊軍記者としてアフガン戦争、コソボ紛争などを現地で長期取材。2002年10月 外信部副部長。04年米国務省のIVプログラム(研修)参加。05年4月~08年3月ワシントン特派員 。ブッシュ政権の外交を担当。大統領の外遊先約20カ国に同行。主な課題はイラク戦争、北朝鮮核問題など。08年大統領選前半も取材。08年4月外信部副部長。09年4月~12年3月 欧州総局長(ロンドン)として欧州7支局を統括。12年4月~外信部編集委員。13年4月~ 編集編成局編集委員(オピニオンG統括)

【著者紹介】
笠原敏彦 : 1959年福井市生まれ。東京外国語大学卒業。1985年毎日新聞社入社。京都支局、大阪本社特別報道部などを経て外信部へ。ロンドン特派員(1997〜2002年)として欧州情勢のほか、アフガニスタン戦争やユーゴ紛争などを長期取材。ワシントン特派員(2005〜2008年)としてホワイトハウス、国務省を担当し、ブッシュ大統領(当時)外遊に同行して二〇ヵ国を訪問。2009〜2012年欧州総局長。滞英8年。現在、編集委員・紙面審査委員(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)

(「BOOK」データベースより)

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読書メーターレビュー

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  • 佐島楓 さん

    王室、王室と政治の関係、階級社会、スコットランドやEU問題と、長年イギリスが抱えてきた問題の「いま」が見える。確かに日本人の感覚ではわかりにくいポイントを説明してあって興味深く読めた。歴史を重んじながらも同時に世界最先端の要素も持ち合わせる。その両方の融合が魅力的かつふしぎに見えるのだろう。

  • mazda さん

    イギリス王室は、1066年フランスノルマン人による征服により即位したウィリアム1世から始まります。いわゆるアングロサクソンというのも、現在のドイツから移ってきた人たちです。イギリス王室は基本的には政治に介入しないとなっているようですが、実際は王室が介入することもあるようです。統帥権は国王が持っているし、クラウンステートとして1兆円を超える資産があるしで、その優遇ぶりがうかがえます。階級社会のあるイギリスでは、王室という名の貴族が今でも存在しているということでしょうか。

  • masabi さん

    合理的な国イギリスでなぜ世襲制王室が存続するのか。その答えの一端はグローバリズムにより従来の国家・アイデンティティが揺らぐなかで女王を戴く国家連邦、女王に忠誠を誓う臣下として国民統合の機能を果たす。多文化主義、開かれた社会を標榜するイギリスにおいて人種や地域に根差したアイデンティティではなく女王への忠誠の形を取る。また王室は国民の望む幸せを反映する幸福産業でもある。王室のもたらす経済効果もバカにできない。

  • ちくわん さん

    イギリスについてのあれこれ。憲法が成文化されていない。週一回、女王陛下と首相が二人っきりで意見交換。「グレートブリテン及び北アイルランド連合王国」なのに「イギリス」なのか。イギリス王室の成り立ちは。スエズ動乱やイラク戦争。政治・経済・文化・民族などあらゆる観点から「イギリス」を解説している。小学校にはすでに「イギリス」は習っていたのに、これほどまでに「イギリス」を知らないとは思わなかった。日本との相似性も興味があるので、再読したい本、作者、テーマである。

  • hanagon44 さん

    イギリスかぶれやイギリス大好き人間でなくても,どこか惹かれてしまう国。国力が衰えようとも,歴史の試練を経て蓄積してきた外交の知恵を駆使して"KEEP CALM AND CARRY ON(静かに,前に進め)"で乗り越えてきた国の奥深さと底力を感じ取れる本でした。「国家,社会とは,そこに住む人々の想像力の産物であるということを,イギリス立憲君主制の強靭さは示している」という一文が印象的。「地方分権と欧州統合の深化,移民の大量流入により,アイデンティティが揺ら」いでいるイギリスの今,これからも目が離せません。

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