武満徹・音楽創造への旅

立花隆

基本情報

ジャンル
ISBN/カタログNo
ISBN 13 : 9784163904092
ISBN 10 : 4163904093
フォーマット
出版社
発行年月
2016年02月
日本
共著・訳者・掲載人物など
:
武満徹 ,  
追加情報
:
781p;20

内容詳細

恋愛、青春、人生から創作の秘密まで、日本音楽界の巨星に「知の巨人」が迫る、前代未聞の傑作ノンフィクション!

目次 : 1(食糧基地で聞いたシャンソン/ 敗戦とヤミ屋と貸しピアノ/ 下駄をはいた不肖の弟子/ 早坂文雄の棺/ 映画音楽のこと ほか)/ 2(突然の訃報に接し/ 「時間の園丁」/ 夢と作曲の関係/ ブラームスを再評価する ほか)

【著者紹介】
立花隆 : 1940年長崎県生まれ。64年東京大学仏文科卒業。同年、文藝春秋入社。66年退社し、67年に東大哲学科に学士入学。在学中から評論活動に入る。74年の「田中角栄研究―その金脈と人脈」で金脈追及の先鞭をつけ、社会に大きな衝撃を与えた。その徹底した取材と卓抜した分析力による文筆活動で菊池寛賞、司馬遼太郎賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)

(「BOOK」データベースより)

総合評価

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立花隆氏が逝去されました。1996年に武満徹...

投稿日:2021/06/30 (水)

立花隆氏が逝去されました。1996年に武満徹氏が亡くなったときに、NHKの追悼番組に立花隆氏が出演し、いろいろな思い出や音楽について語っていたのは、こういった交流があったからなのだ、ということをあらためて思い起こさせてくれた著作でした。 立花隆氏が一流の批判的精神をもった「自立した個人」であることが、孤独に自分の信じる道を歩んできた「自立した音楽家」武満徹氏と肝胆相照らすところがあったのでしょう、相互に深い踏み込みと信頼と共感の上に成立した奇跡的な著作だと思います。年齢差10歳なので、世代的にも親近感があったのでしょう。お二人の気さくで楽しそうな対話が聞こえて来そうです。 クラシック音楽、現代音楽を聴く人も聴かない人も、日本が戦後歩んできた道と、その中で音楽を愛し続け創造の道を歩み続けた作曲家の真摯な思いに耳を傾けることは、日本の文化の現状とこれからを考える上で大事な視点を与えてくれると思います。 立花隆氏の逝去の報に接し、ぜひ他の方々にもお勧めしたいと筆をとってみましたが、現在は在庫も乏しく絶版なのでしょうか。出版社にもぜひ再版をお願いしたく、一筆を献じたいと思います。

Tan2 さん | 神奈川県 | 不明

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一人の作曲家にいれこんでその曲ばかり聞く...

投稿日:2021/03/17 (水)

一人の作曲家にいれこんでその曲ばかり聞く時期が何度かあり武満徹も3度ほどあった。今は聞き返すたびに昔の聞き方が足りなかったなと思うが、本書を読むとまず人としての魅力に気づかされる。インタビューや著書の抜粋からの間接的なものなので、普段の人間関係とは比べられないが、ものを見つめる深さ(と簡単にかくと違和感があるが)それにもかかわらず、率直さもいろいろな人間らしさも持ち合わせ40年の年齢差からくる理解できない部分があるにもかかわらず惹きこまれる。また終戦時点で14歳ということから、戦中戦後の世相をひとりの人間が感じたままを実感ゆたかに表すさまは読んでいて非常に興味深く面白い。人間の意識、行動などの動機など最も根源的なものを語るさまは、自分の同じものを言葉で語ってくれるようで気が晴れるようで、これは音楽家の伝記的なものであると同時に、一人の人間が世界に語る人というもののさまざまなことといった良い本。立花隆の武満氏逝去のときの男泣きの映像も思い出された。

ぷぅさん さん | 兵庫県 | 不明

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   ページを開くと縦書き2段組でページ...

投稿日:2020/04/17 (金)

   ページを開くと縦書き2段組でページ余白もかなり狭く、小さい活字でびっしりと書かれてあるヘビー級の内容。戦後から武満徹が、そして日本の音楽芸術がどのように育っていったのかが生き生きと書かれている。    私が購入し聴いてきたCDの中で武満徹は「弦楽のためのレクイエムはストラヴィンスキーに激賞された。ノヴェンバー・ステップスで世界におどりでた」という「過去形」で書かれていた部分が現在進行形で話が進んでいく。  もちろん編集の妙もあるだろうが、立花隆との対談も相当馬が合ったのだろう。話のテンポは快適、内容は実に興味深く、本人だからこそ語れる話と、それを裏付ける立花隆の綿密な取材と資料収集がうまく混在して武満徹の半生や作品、時代の流れを読むことができる。音楽一辺倒にならずバランスよく話が盛り込まれている点は、立花隆が音楽の専門家でないのが功を奏しているように思える。立場も仕事の拠点も異なるが、その時代の空気を一緒に吸っているからこそ語り合える… そんな、ちょうどよい距離に両者がいるおかげでこれだけの大作が著されることになったのだろう。    戦後日本の音楽界、作曲などの芸術、文化・思想の変遷、社会の動向がリンクして書かれているのでどれかに興味を持つ方であれば誰でも本書に入り込み、さらに違う分野にも視野が広がることは間違いない。    ざっくり要約するなら、武満徹の音楽作品に焦点をあてるというより、戦後日本の歴史の様々な諸行の中で「武満徹」にスポットライトを当ててその旅路を追うということになると考える。残念ながら武満徹の逝去でインタビューは完結しなかったがそれでもこの著作の価値が下がることはないだろう。

うーつん さん | 東京都 | 不明

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読書メーターレビュー

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  • どんぐり さん

    武満徹の音楽で知っているのは、琵琶を用いた音色が不穏な空気と緊張感をもたらす『切腹』の映画くらいである。そんな知識しかないまま400頁まで読み進め、さて、残り400頁をこのまま読み進めるべきかどうか迷い、結局パラパラと拾い読みをして、本を置くことにした。最初は人物本位の興味から読んでいたが、途中から音楽創造の深みにはまって読む気力を失った。約800頁、それも2段組みの文字がびっしり詰まっている。立花隆が武満にロングイタンタビューし、いろいろな資料を駆使して音楽創造に迫っているが、武満音楽に深い関心をもつ者

  • bX さん

    武満の下積み時代?の話がまさに抱腹絶倒。戦後の混乱の残る時代の中、金もコネも楽器すら持たず、結核という当時まだ完治の難しい病を抱えながら、わずか5、6年の歳月の中で幸運としか言いようのない知己に助けられながら、恐ろしいまでの才能を開花させる。「創造の旅路」は辿れても、なぜそんなことが出来たのかの謎はさすがに解明されてはいないけど、まあそんなことは武満自身わからないかもしれないし、月並みだが「天才」とはそういうものなのか。立花の聞きぶりがいい。居ても立っても居られずCDを購入、何十年ぶりかで武満作品を堪能。

  • 松本直哉 さん

    稀代のインタヴュアー立花隆を得て創作の秘密や交友関係を率直に明かす武満の語り口に引き込まれる。楽譜にほとんど指定を書かず楽器すら指定しないバッハを、細かく指定せずにいられない自らと引き比べて、多様な解釈の演奏にも関わらずゆるぎないバッハの音楽への自信に対する嫉妬を隠さない。バッハと異なり同時代人と共有するエクリチュールなしに孤独に自らの音を耕した武満は、しかしつねに特定の「だれか」のために音楽を書いた。個人的でありながら他者とのかかわりのなかで生まれる音楽であるゆえに、多くの演奏家から愛されたのだろう。

  • パブロ さん

    立花隆が書いた武満徹の評伝なんて、面白くないはずがない! 確かにとっても面白いんだよ、後半までは…。立花隆が本人やさまざまな関係者からインタビューを重ね、いかにして武満徹は稀代の作曲家になったのかを掘り下げていく、評伝の醍醐味を思う存分堪能させてくれるこの本。でも、武満徹が死ぬことによって、後半から急激に失速する。この本からは、本人からとことんまで話を聞いた上でしか書けない立花隆の限界が見い出せるのかもしれない。立花隆としては不本意だったんだろうな〜。だから20年お蔵入り。でも、面白いですよ、後半までは。

  • Bartleby さん

    立花隆による武満徹への膨大なインタビューをまとめた1冊。武満の音楽のファンとしてはかなり贅沢な本だった。武満は作曲もピアノも独学だと聞いていたがその詳細も分かった。技術がないかわりに彼にはよい耳と直感、意志、そしてこれこそギフト言うべきだろうが彼を音楽へと駆り立てた戦中のきっかけがあった。私の印象では妖精のような人。作曲はささくれた気分ではできないというくだりが頭から離れない。ほんとにそうだと激しく共感。楽器の練習でも不機嫌な時はしないほうがまし。

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立花隆

昭和15(1940)年、長崎県生まれ。39年東京大学仏文科卒業。49年「田中角栄研究―その金脈と人脈」(「文藝春秋」11月号)で金脈批判の先鞭をつけ、以後精力的に腐敗政治批判を続けた。知的関心は幅広く、その徹底した取材と卓抜な分析力による文筆活動で、58年菊池寛賞、平成10(1998)年司馬遼太郎賞

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