戦後日本、記憶の力学 「継承という断絶」と無難さの政治学

福間良明

基本情報

ジャンル
ISBN/カタログNo
ISBN 13 : 9784861828140
ISBN 10 : 4861828147
フォーマット
出版社
発行年月
2020年06月
日本
共著・訳者・掲載人物など
:
追加情報
:
333p;20

内容詳細

戦後中期から現代にかけての「継承という断絶」の諸相を描く。霊園・戦跡・モニュメント・新聞・映画・小説・手記など、さまざまなメディアをとおして、戦争記憶の「継承という断絶」が生み出される社会背景やメカニズムを解明する。長年このテーマに取り組んできた注目のメディア研究者による戦争記憶の歴史社会学。

目次 : プロローグ 「継承」の欲望と戦後/ 1 空間の力学―「記憶の場」の構築と齟齬(靖国神社、千鳥ヶ淵―「社」と「遺骨」の闘争/ 広島、長崎―「被爆の痕跡」ポリティクス/ 沖縄・摩文仁―「戦跡というメディア」の成立と変容)/ 2 文化の力学―ポピュラー文化と死者の情念(映画『野火』―「難死」と「嘲笑」の後景化/ 映画『軍旗はためく下に』―覆され続ける「予期」/ 鶴見俊輔とカウンター・クライムの思想―「順法」への懐疑)/ 3 社会の力学―「無難さ」の前景化と現代(鹿児島・知覧―「平和の尊さ」と脱歴史化の現代/ 「慰霊祭」の言説空間と「広島」―「無難さ」の政治学/ 「断絶」の風化とメディア文化―「継承」の欲望を問う視角)/ エピローグ 「ポスト戦後七〇年」と「戦争」をめぐる問い

【著者紹介】
福間良明 : 1969年熊本市生まれ。京都大学大学院人間・環境学研究科博士課程修了。博士(人間・環境学)。出版社勤務、香川大学経済学部准教授を経て、立命館大学産業社会学部教授。専攻は歴史社会学・メディア史。著書に、『「反戦」のメディア史―戦後日本における世論と輿論の拮抗』(世界思想社、内川芳美記念マス・コミュニケーション学会賞受賞)、『「働く青年」と教養の戦後史―「人生雑誌」と読者のゆくえ』(筑摩選書、サントリー学芸賞受賞)など(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)

(「BOOK」データベースより)

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読書メーターレビュー

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  • キミ兄 さん

    戦跡や戦争をめぐる芸術作品に対する民衆の認識の変遷を丹念につづった力作。原爆の被害者に対してホロコースト(聖贄)という認識が広く受け入れられた時代があったとは驚き。そして陸軍航空隊の基地だった知覧に海軍のゼロ戦が展示してある不思議。誰が被害者で誰が加害者なのか。誰かを責める前によく考えることを促される一冊。☆☆☆☆☆。

  • onepei さん

    いい悪いではないが、「震災遺構」をめぐる議論が連想された

  • どさんこ さん

    原爆ドーム及びその周辺は、修復整備されることにより、原爆の悲惨さを思い起こさせるものというよりも、美術品か観光物と化してしまった。同様にして、知覧も完全に観光地化してしまっている。このように、戦争の記憶は、風化するだけでなく、むしろ美化される方向に向かっているのではないか。考えさせられる。

  • 渓流 さん

    社会科学の本で久しぶりの知的興奮を覚える読書となった。表紙の「継承という断絶」なる言葉を見た時、相反する継承と断絶に違和感を持ったが、体験記憶の継承の美名のもと見るべきものを後背化いや荒廃化させている状況を克明に突いた論考に接し、著者がなぜ「継承と断絶」なる熟語を使ったかが分かる気がした。戦後75年、「永遠の0」「男たちの大和」に見る如く、戦争は感傷的なるものに変容している。夏が近づくと繰り返される戦争ものになぜ吾輩が辟易するのか、それは「継承への断絶」と「無難さの政治学」への嫌悪感からくるもののようだ。

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