ジャズのことは全然詳しくありませんが、いつも新刊を楽しみにしています。旅をして、コンサートをして、また旅に出るという一見単調な流れが繰り返されるのに、何か心が動かされるのは、人との出会いと人の感情そのものを濃く描いているからでしょうか。

待ちに待った新刊！日本、ヨーロッパ、そしてアメリカと、いよいよジャズの本場で活動し始めた大、また下積みからの出発ですが、今後どのように活躍していくのか、とても楽しみです。30年のジャズファンですが、ジャズの音圧を感じられる漫画を読める喜びに浸っています。

まだ何者でもない高校生がジャズに出会って、ひたむきにジャズを演奏し始める。そのひたむきさに勇気を貰えます。

独学でジャズに取り組んでいた主人公が、師を得て少しずつ新しい学びを得て、花開いて行く。高校生としての馬鹿馬鹿しく楽しい日常と、真剣な練習の中の成長の喜びが見られて、こちらまで楽しくなる。

BLUE GIANTの初期の頃、ガソリンスタンドでバイトをしていたエピソードとも、アメリカの車文化ともかけ合わさり、新たな地でゼロからまた始める主人公の状況を上手く表していると思わされました。いつでもゼロから始められる主人公の謙虚さと清々しさが素敵です。

ラファとブルーノの加入。癖のある実力者はかっこいい。リズム・セクションとテナーサックスという王道の布陣が揃い、いよいよバンドが始まる。

全くダメだった初ライブ、恩人の期待に応えられない歯がゆさが伝わってくる。そこから少しづつかみ合い始める歯車。誰も知らないヨーロッパツアーの始まりの巻。

手作りのジャズフェスは、しかしたかがオーディションにグランドピアノを用意してやがった、という意気込みの入れように期待が高まる。気難しいプロの描写はいやにリアル。

初のジャズフェスで成功を収める面々を見ていると清々しい気分になる。一方、強烈なライバルが登場したのに負ける気がしない。むしろ仲間のリアクションが気になる。

新キャラがボロいワゴンでユーライア・ヒープを流す。さながら70年代ロックバンドのアメリカ大陸横断ツアーのようで、楽し気。バンドが出来上がっていく過程がとてもいい。