矢代秋雄&デュティユー:ピアノのためのソナタ/岡田博美
矢代秋雄とデュティユーへのオマージュ
2003年から行われている岡田博美リサイタル「ふらんすplus」。「フランス」をキーワードに様々な作品を紹介しています。この度CD化されるのは、2006年に行われた「ふらんすplus」のライヴ録音がメインとなっています。収録されている作品は、アンリ・デュティユーと矢代秋雄。岡田博美の驚くほど完璧なテクニックと澄み切った音色が、デュティユーのイメージ豊かな響きを、そして矢代秋雄のアカデミックで論理的かつ独創的な音楽を切れ味良く聴かせてくれます。
岡田博美は昨年に引き続き、今年も「ラ・フォル・ジュルネ・オ・ジャポン」に出演、アルベニスの「イベリア」全曲を一夜で演奏し、その熱演に会場が大いに沸きました。(カメラータ・トウキョウ)
デュティユー:
・3つのプレリュード
暗がりから、静寂から
同一の和音上に
逆さま遊び
・ピアノのためのソナタ
矢代秋雄:
・ソナティネ
・ノクチュルヌ
・ピアノのためのソナタ
・夢の舟
岡田博美(ピアノ)
録音:2006年10月 、他 東京(ライヴ)
【岡田博美】
富山県出身。安藤仁一郎、森安芳樹、マリア・クルチオの各氏に師事する。桐朋学園大学在学中、第48回日本音楽コンクールで第1位優勝。桐朋学園大学を首席で卒業後、1982年の第28回マリア・カナルス国際コンクールで第1位(スペイン音楽解釈賞を併せて受賞)、1983年の第2回日本国際音楽コンクールにてピアノ部門第1位、1984年の第2回プレトリア国際コンクールにて第1位(リサイタル賞を併せて受賞)と、次々に優勝を果たし注目を集める。
1984年よりロンドン在住。翌1985年、ロンドンでデビュー・リサイタルを行い、「まさしく来るべきスター」(デイリーテレグラフ紙)、「図抜けて確かなテクニックで、創造力に富む情熱的な音楽性」(タイムズ紙)と絶賛された。以後、ロンドンを中心に世界各地で演奏活動を続け、日本国内においても、1993年のショパン・エチュード全曲演奏に対して第20回日本ショパン協会賞を受賞している。
オーケストラとの共演も多く、これまで1987年にフィルハーモニア管弦楽団とロイヤル・フェスティヴァル・ホールにてデビューを果たした後、BBC交響楽団、ロイヤル・フィルハーモニック管弦楽団、イギリス室内管弦楽団と、また日本では読売日本交響楽団、日本フィルハーモニー交響楽団、東京都交響楽団ほか、多数のオーケストラと協演。古典から現代曲までの極めて幅広いレパートリーを持ち、2000年には横浜で開かれた「アジア音楽週間」において、イスラエルの作曲家 A.ベン=シャベタイのピアノ協奏曲を世界初演するなど、新作の初演も多い。
各地の音楽祭へもたびたび出演しており、ラ・ロック・ダンテロン国際ピアノ・フェスティヴァル(フランス)、グレイト・ロマンティクス・フェスティヴァル(カナダ・ハミルトン)、イスタンブール国際ピアノ・フェスティヴァル、シュタインバッハ音楽祭(オーストリア)、東京の夏音楽祭、草津音楽祭などに出演している。
EMI、ビクターなど多くのレーベルに録音があり、カメラータからは継続的にアルバムが発売され、いずれも高い評価をもって迎えられている。またNAXOSから湯浅卓雄/アルスター管弦楽団と共演した「矢代秋雄:ピアノ協奏曲」が発売され好評を博すなど、ますます活躍の幅を広げている。(カメラータ・トウキョウ)
デュティユーと矢代秋雄、その書法成熟の軌跡を辿ると同時に、血肉そのものとしてのフランスと、洗練化フィルターとしてのフランス、二つのソノリティの質的な差異と作品世界の特質を鮮やかに弾き分けた快演。動きのキレ、音の艶、響きの煌めき。めざましい!(中)(CDジャーナル データベースより)