平成音楽史

片山 杜秀

基本情報

ジャンル
ISBN/カタログNo
ISBN 13 : 9784865592009
ISBN 10 : 4865592008
フォーマット
発行年月
2019年04月
日本
共著・訳者・掲載人物など
:
追加情報
:
216p;19

内容詳細

目次 : ■「オレたちの音楽史」へようこそ! 片山杜秀 / ■平成の始まり、昭和の終わり / ■1989年の世界情勢 / ■カラヤンとバーンスタイン / ■バブル期CD花盛り / ■冠コンサート・象の≪アイーダ≫・三大テノール / ■#MeToo運動−−女性目線のクラシック / ■マーラー全曲演奏会 / ■朝比奈隆のブルックナー / ■死せるカラヤン、『アダージョ・カラヤン』を流行らす / ■オウム真理教オーケストラ「キーレーン」 / ■阪神・淡路大震災五日後、朝比奈隆、都響に降臨 / ■米同時多発テロ後の世界 / ■民族派&超ジャンル / ■昭和を代表するピアニスト中村紘子逝く / ■オイル・マネーとオーケストラ(1) ドゥダメルとエル・システマ / ■オイル・マネーとオーケストラ(2) クルレンツィスとムジカエテルナ / ■3.11−−無力感と復興ソング / ■佐村河内事件とポストモダンの完成型・新垣隆 / ■ハッタリ・キッチュ・まがいもの / ■グローバリズムに反撃するヨーロッパ古学ブーム / ■ピリオド楽器による≪春の祭典≫ / ■戦後日本の最高傑作−−小澤征爾 / ■本土決戦としての東京オリンピック / ■Column:平成の指揮者/平成のレコード店 / 平成の作曲家/平成のオーケストラ / 平成の音楽書/平成の演奏家/平成の音楽祭 / ・おわりに 群雄割拠の音楽史を振り返って 山崎浩太郎 / ・平成音楽史年表

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 思想史・音楽評論の片山杜秀、演奏史に詳...

投稿日:2021/04/23 (金)

 思想史・音楽評論の片山杜秀、演奏史に詳しい山崎浩太郎が、「平成のクラシック音楽」を熱く語り合った。元号で区切ってはいるものの、話題は世界を見据える。「帝王」カラヤンの死去、古楽運動など代表的な現象をカバー。教養や権威の象徴だったクラシック音楽がサブカルチャー化し、スタンダードとは一線を画した「オレの巨匠」「オレの名盤」が出現するまでの流れは、興味が尽きない物語となっている。  注目すべき話題の一つは「朝比奈隆のブルックナー」現象。長大な交響曲で知られる作曲家が昭和の終わりに人気を博したのには、指揮者・朝比奈の貢献が大。本書は平成に入ってからの大ブームを「信者の広がり」と捉え、東京から大勢のファンが関西公演に足を運んだ平成前期の様子を紹介。朝比奈によるブルックナー演奏の価値をいち早く説いた評論家・宇野功芳氏を「預言者」と呼ぶなど、さえわたる表現で笑いを誘うとともに、鋭く本質を突く。  佐村河内守のゴーストライター騒動を巡る記述も興味深い。創造的な作曲が難しくなっている音楽界の状況、東日本大震災後の重いムード、佐村河内氏の天才的とも言えるプロデュース能力など、騒ぎが大きくなった背景を、新鮮な視点も交えつつ解説。クラシック音楽がサブカルチャー化した流れの総決算的な出来事と位置付ける。  音楽ジャーナリズムの多様化についても言及される。音楽関連の書籍などを出版する「音楽之友社」が権威であった時代から、その後の批評家批判へ。ここでも、サブカルチャー化が事象を読み解く鍵となっている。  このほか、神戸出身で戦前から1950年代初頭に活躍した名作曲家・大澤壽人(おおさわ・ひさと)の復活劇など、縦横無尽の音楽談議が続く。2氏の音楽への愛の深さが、本書を格段に面白くしている。

座頭 さん | 兵庫県 | 不明

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読書メーターレビュー

こちらは読書メーターで書かれたレビューとなります。

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  • trazom さん

    クラシックオタク2人の雑談を聞くような軽いノリの一冊。平成の始まりは劇的。1989年のニューイヤーコンサートはカルロス・クライバーだった!。7月にカラヤンが亡くなり、12月にバーンスタインの壁崩壊の第九。平成2年にバーンスタインが没し、クーベリックの「わが祖国」の凱旋。それに比べて後の30年間は冴えなかったなあという印象。平成に大流行した古楽器運動を「音楽の歴史に対する反動」と断じるロストロポーヴィチの気持ちもわかる。二人の無責任な発言が面白い:「プーチンとゲルギエフ、宇野功芳と司馬遼太郎が似ている」?!

  • しーふぉ さん

    テレビ番組の対談が基になっているようです。クラシックの世界の平成の動きを小澤征爾や佐村河内までフランクに語り合っている。佐村河内のゴーストライターの新垣のことは、彼は職人なんです。自分がやりたいことではなくオファーされたことをやるのが上手。中身は最後はマラーのそのまんま。みたいなことが書いてあって、クラシックの世界ではそういう認識なんですね。

  • izw さん

    2018年8月19日に放送された片山杜秀と山崎浩太郎の対談が元になっている。時代を語るには10年単位では短すぎる、50年、100年ではその年代を通して体験した人が少ない。平成は、長さとしても丁度よく、ベルリンの壁崩壊の年から始まり、日本だけでなく世界の歴史の区切りとなる重要な30年間だった。その中で、クラシック音楽の変遷について語る二人の造形の深さに感服する。阪神大震災、サリン事件、東日本大震災、佐村河内事件と平成に起こった大事件に関わるトークを通じてクラシック音楽の変遷がよく分かる。

  • Susumu Kobayashi さん

    衛星デジタル音楽放送「ミュージックバード」の121チャンネル、「ザ・クラシック」で放送された4時間番組を基にして構成された本とのこと。平成という時代の日本および世界における音楽をたどっている。片山:「作曲家の箕作秋吉が戦前に書いていますが、アマチュアのピアニストのベートーヴェンやショパンは聴いていられないのに対して、大学のアマチュア・オーケストラの弦楽合奏はそれと同じくらいかもっと下手なのに、不思議と音楽として聴いていられると」(p. 62)。確かにそうだ。古書山たかし氏がどのような感想を抱くか興味津々。

  • 横丁の隠居 さん

    なぜ朝比奈ブルックナーなのか、ブルオタはどこから来たのか、室内管弦楽団流行りの由来、古楽ブームの寄ってきたる所以などなど、いろいろ不思議に思っていたことの謎が解けた。ぼーっと生きてきた音楽好きにはありがたいご本です。

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人物・団体紹介

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片山 杜秀

1963年宮城県仙台市生まれ。政治思想史研究者、音楽評論家。慶應義塾大学法学部教授。慶應義塾大学法学部政治学科卒業、同大大学院法学研究科後期博士課程単位取得退学。大学時代からライター生活に入り、『週刊SPA!』で1994年から2003年まで続いたコラム「ヤブを睨む」は『ゴジラと日の丸―片山杜秀の「ヤ

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