幣原喜重郎 国際協調の外政家から占領期の首相へ 中公新書

熊本史雄

基本情報

ジャンル
ISBN/カタログNo
ISBN 13 : 9784121026385
ISBN 10 : 4121026381
フォーマット
出版社
発行年月
2021年04月
日本
共著・訳者・掲載人物など
:
追加情報
:
274p;18

内容詳細

戦前に外相を4度務め、経済重視の国際協調を主導、戦後は占領下、首相として日本国憲法制定に尽力した幣原喜重郎。外交官の中枢を歩み、欧米との関係を重視した「幣原外交」は、軟弱と批判されながらも中国への不干渉を貫き、政党政治を支えた。満洲事変後の軍部台頭に引退を余儀なくされるが敗戦後、昭和天皇に請われ復活。民主化や憲法9条の成立に深く関与する。激動の昭和期、平和を希求し続けた政治家の実像に迫る。

目次 : 序章 生い立ち―幣原家の次男/ 第1章 秀才から能吏に―組織人としての自覚/ 第2章 外務次官までの道程―一九〇八〜一九年/ 第3章 対英米協調路線の模索―「新外交」時代へ/ 第4章 幣原外交の始動―一九二〇年代の日中関係/ 第5章 満洲事変と第二次幣原外交/ 第6章 帝国日本の崩壊―失意の元外相/ 第7章 老政治家の再起―米占領下と制度改革/ 終章 挫折を超えて―幣原の遺訓

【著者紹介】
熊本史雄 : 1970(昭和45)年山口県生まれ。93年筑波大学第二学群日本語・日本文化学類卒業。95年筑波大学大学院博士課程歴史・人類学研究科日本史学専攻中退。外務省外交史料館外務事務官を経て、2004年に駒澤大学文学部歴史学科専任講師、08年に同准教授、14年より同教授。博士(文学)。専攻は日本近代史、日本政治外交史、史料学(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)

(「BOOK」データベースより)

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読書メーターレビュー

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  • trazom さん

    歴史上の人物で、その評価を躊躇する代表例が幣原喜重郎。対英米協調・中国内政不干渉で軍部に抵抗した姿勢を評価しつつも、満州事変への対応の中に、満蒙権益に拘る帝国主義者の匂いを感じていた。敗戦直後の日本を支えた首相だけれど、憲法九条の発案者としての振舞いに胡散臭さも覚えたものだ。本書は、明治・大正・昭和の日本の外交史が非常に綿密に分析され、幣原の行動の背景にあった状況が見事に説明されている。「幣原外交」「憲法九条の発案者」という虚像の霧が晴れ、幣原喜重郎という政治家の本当の姿が浮き彫りになる。とてもいい本だ。

  • skunk_c さん

    昭和初期を代表する外交官で、戦後は首相を務めた人物の評伝。いわゆる他の評伝や他者の評価をベースにするのではなく、生の外交文書からの読み取りから人物像を描き出している。そのためか、従来の教科書的な評価とは少し異なるイメージとなった。特に次官時代にリーダーシップを発揮していたが、外相時代、特に満州事変に関してあまり有効な手立てがうてなかったという評価は、しっかりとした史料考証に基づいており説得力がある。また憲法9条はマッカーサー由来だが、幣原が自分が由来となるように「演じていた」という説はとても面白かった。

  • nishiyan さん

    毀誉褒貶、評価が相半ばする外交官・政治家である幣原喜重郎の実像を膨大な外務省記録を読み解くことから描き出した評伝。「幣原外交」と呼ばれたものが小村寿太郎以来の正統な「霞ヶ関外交」であるという指摘は興味深かった。「国際協調主義」という面でいえばウィルソン米大統領が提唱した新外交への反応の遅さも含めて良くも悪くも官僚機構の中で育った彼らしいといえる。これは外相ではなく次官在任時の活躍が目覚ましかったことと一致する。手法は正統派でありながらも省内では傍流に近い立ち位置だったことが不幸だったのかもしれない。良書。

  • MUNEKAZ さん

    幣原喜重郎の評伝。所謂「幣原外交」の独自性を否定し、本質は英米協調と共に大陸での利権も追求する日本の伝統外交であるとする。また外務省内での基盤も弱く、次官としては辣腕を振るっても、大臣としては上記の利権追求もあって、軍部の暴走の中で埋没することに。戦後も占領軍の意図を読み誤り、図らずも憲法9条の「生みの親」になってしまう。こうまとめると幣原が今一つの人物に思えるが、その限界を描くことで誠実な外交官たろうとした彼の苦悩が浮き彫りになり、むしろ魅力的に思えたり。単なる善玉でない、等身大の幣原がうかがえる一冊。

  • みなみ さん

    幣原外交・協調外交として評価される幣原喜重郎の評伝。幣原は外交のタイプとしては小村寿太郎の系譜であり、ほかにも海外の誠実な外交官や政治家の薫陶を受けている。それ故彼は正直な外交を目指すのだが、エリート育ち故の人の良さと性善説を信じる気質は彼の欠点にもなったようだ。とくに植民地状態からの独立を目指す中国と、じっくり中国を育てていきたい(みたいな)幣原の路線には齟齬があった……ここは、穏健な人ほどうまくいかない一例かもしれない。幣原のよいところも悪いところも評価しようとする良書だった。

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熊本史雄

1970(昭和45)年山口県生まれ。93年筑波大学第二学群日本語・日本文化学類卒業。95年筑波大学大学院博士課程歴史・人類学研究科日本史学専攻中退。外務省外交史料館外務事務官を経て、2004年に駒澤大学文学部歴史学科専任講師、08年に同准教授、14年より同教授。博士(文学)。専攻は日本近代史、日本政

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