蝶の羽は空を飛べる構造をしてないのだと云う。予測出来ない羽ばたきをする蝶が、花の馨が消えぬうち鬱蒼とする都会の街中に迷い込み、迷走し羽ばたきを繰り返す。其処はどこだろう。此処はなんだろう。迷いの中で蝶の羽音は感情と云う旋律を生む。そして其の一見迷走して見えるルゥトには正しく標された強い意志と定まりが有ることに気づく。決して計算出来ないような蝶の其の行方を何故か知るように音は溢れて次の道を開く。確信をするのだ。脳内に直接触れるような、感情を弄られるような、いつの間にか苦さを快に換えて仕舞う、其の手を。