NHK「現代の音楽」アーカイブシリーズ/湯浅譲二
本来は外科医志望であった湯浅譲二、作曲は趣味で行っていたといいますが、1950年代の、当時としては最新鋭の「現代音楽」に触れるうち、自分でもこのくらいは書けるのではないかと思ったのだそうです。そんな湯浅が本格的に創作活動を始めたのは1952年、「実験工房」に参加してからのことでした。彼がどんな道を歩んだか、そしてどんな音楽を書いたのか。それは実際に解説を読み、音楽を聴くことで理解できることでしょう。
過去に何人かの作曲家が試みてきた「邦楽器と西洋のオーケストラの融合」をより深く発展させた、筝とオーケスト
ラのためのプロジェクション『花鳥風月』、数字で書かれた楽譜から生まれる不確定的な音楽を追求した『インター・ポジ・プレイ・ションI』など楽器と奏法の追求、果ては、ホワイト・ノイズによる『プロジェクション・エセムプラスティク』まで、時間を越えた音を求めた作曲家による、新たな地平線がここにあります。(NAXOS JAPAN)
【収録情報】
湯浅譲二:
1. 箏とオーケストラのためのプロジェクション『花鳥風月』(1967)
菊池梯子、他(箏)
読売日本交響楽団
若杉弘(指揮)
録音時期:1971年2月10日
録音場所:東京厚生年金会館(「現代の音楽展'70」より)
録音方式:ステレオ
2. フルート、ピアノ、2人の打楽器奏者のための『インター・ポジ・プレイ・ションI』(1971)
小泉浩小泉浩(フルート)
高橋アキ(ピアノ)
山口恭範(打楽器)
録音時期:1972年12月7日
録音場所:東京文化会館(「Sound Space Ark I」より)
録音方式:ステレオ
3. クラリネットのための『クラリネット・ソリテュード』(1980)(初演)
森田利明(クラリネット)
録音時期:1980年9月19日
録音場所:東京ドイツ文化研究所ホール
録音方式:ステレオ
4. 楽曲解説〜湯浅譲二
5. 2つのフルートのための『相即相入』(1963)
吉田雅夫、野口龍(フルート)
録音方式:モノラル
放送日:1964年3月29日
6. ホワイト・ノイズによる『プロジェクション・エセムプラスティク』(放送初演)
NHK電子音楽スタジオ
放送日:1964年3月29日
仕様:HQCD (Hi Quality CD)
解説:湯浅譲二、川崎弘二
【NHK「現代の音楽」アーカイブシリーズ】
NHKの協力のもと、戦後の日本現代音楽の時代の空気が当時の演奏で甦る!
「NHK「現代の音楽」アーカイブシリーズ」は、戦後の日本音楽シーンを代表する邦人作曲家に焦点をあてたCDシリーズです。収録音源は全て、NHKラジオ番組「現代の音楽」で過去放送された番組のマスターテープから編集・リマスタリングを行い、マスターの再現性においてきわめて評価の高いHQCD(Hi Quality CD)でリリースします。NHKの協力の元、希少価値の極めて高い録音のアーカイブ化を実現しました。代表作の初演や未発売作品のライヴ録音を中心に収録。日本人の創りだした音楽が、作曲当時の時代の空気とともに今ここに甦ります。
【NHKラジオ番組「現代の音楽」について】
戦後間もない1947年のラジオ番組「日本の音楽」などを前身として、1957年より日本の現代音楽の有り様を今日まで伝えている番組。現在の放送時間は、毎週日曜18:00-18:50。柴田南雄、上浪渡、白石美雪、西村朗などが歴代の解説を務め、2009年からは猿谷紀郎が担当。邦人作曲家から海外の著名な作曲家まで、音楽祭や作曲賞本選会などのライヴ録音を中心に放送。(NAXOS JAPAN)
60年代から70年代、まだ“前衛”という言葉が生彩を放っていた頃の作品。あらためて聴いてみると懐かしい響きでもあるが、作曲家と演奏家が音を追求する熱いひたむきさに、忘れていたものを思い出す。湯浅のアイディアの豊かさにも感銘を受けるし、彼自身による作品の解説も貴重である。(教)(CDジャーナル データベースより)