この世にたやすい仕事はない

津村記久子

基本情報

ジャンル
ISBN/カタログNo
ISBN 13 : 9784532171360
ISBN 10 : 4532171369
フォーマット
発行年月
2015年10月
日本
追加情報
:
347p;20

内容詳細

芥川賞作家・津村記久子さんの新作は、面白いけれども、きつい仕事に燃え尽きてしまった36歳の女性主人公が、異なる5つの仕事を経て、自分と仕事との健全な関係を取り戻すまでを描いた連作短篇で、まさに全編「おしごと小説」。
津村さんいわく、主人公が「こんな仕事があったらいいな」と思った職場を旅する、"しごとファンタジー"だ。なぜ仕事がファンタジーに? 「『私、普通に仕事してます』と言う一人ひとりの話を聞いてみると、本人はなんとも思わずこなしているルーティンワークでも、私からしたらびっくりするような未知の作業をこなしていたりします。他人の仕事ははかりしれない。ほとんどSF的な世界です」。
もちろん、登場人物が見るもの、聞くもの、食べるもの、好きな映画や音楽などのディテールを微に入り細に入り描写し、独特のおかしみに満ちた津村節は今作でも全開。読者は時にクスッと笑い、時に「アホやなあ」とツッコミを入れながら読み進むうちに、自分と仕事との健全な関係を考えさせられる作品になっている。
また、津村作品といえば、就職活動の厳しさや職場の人間関係によって傷ついた人がしばしば登場し、自らをおびやかすものを乗り越えていく小説が多いのだが、今作ではまわりに嫌な人がいて、といった職場にありがちな対立構造ははっきりと出てこない。津村さんはこう語る。「やりがいのある仕事は人から頼りにされ、誉められもしますから、仕事と愛憎関係にも陥りやすい。その結果、好きな仕事に裏切られると、心身ともにボロボロになってしまいます。そういう人が、やりたい仕事ではなくやれる仕事からやってみて、仕事と自分との関係を建て直す。それが、この連作の通底にあります」。
同世代の特に女性の共感を呼ぶ小説として定評のある津村作品だが、その同世代の女性も今や会社では中堅。彼女たちの境遇の変化をもすくい取っている作風の変化も垣間見える注目作である。
著者について
津村 記久子 (つむら・きくこ)
1978年大阪府生まれ。2005年「マンイーター」(「君は永遠にそいつらより若い」に改題)で太宰治賞を受賞し、デビュー。08年『ミュージック・ブレス・ユー!!』で野間文芸新人賞、09年「ポトスライムの舟」で芥川賞、11年『ワーカーズ・ダイジェスト』で織田作之助賞、13年「給水塔と亀」で川端康成文学賞を受賞。働くこと、生活することの実感をユーモアを交えて豊かに描き出す筆致は同世代の女性を中心に、世代を超えて共感を呼ぶ。著書は多数。最新刊は小説が『エヴリシング・フロウズ』、エッセイ集が『二度寝とは、遠くにありて想うもの』。

【著者紹介】
津村記久子 : 1978年大阪府生まれ。2005年「マンイーター」(「君は永遠にそいつらより若い」に改題)で太宰治賞を受賞し、作家デビュー。08年『ミュージック・ブレス・ユー!!』で野間文芸新人賞、09年「ポトスライムの舟」で芥川賞、11年『ワーカーズ・ダイジェスト』で織田作之助賞、13年「給水塔と亀」で川端康成文学賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)

(「BOOK」データベースより)

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読書メーターレビュー

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  • ヴェネツィア さん

    5話からなる連作短篇を集積して1つの長編化したもの。津村記久子さんの作家生活10周年記念作品とのこと。内容は彼女の得意とするお仕事小説。ただし、今回は5つの仕事のいずれもがちょっと一癖あるものばかり。通常の意味でのリアリティは最初から捨てていると言っていいだろう。この点が従来の彼女のタッチとは微妙に違うようでもあり、また『アレグリアとは仕事はできない』などもあったので、そうした延長上に位置するようにも見える。5話の中では私の好みからすれば、不思議感を最も効果的に活かしたと思える「バスのアナウンスの仕事」⇒

  • 修一郎 さん

    コラーゲン系お仕事に就いてみるっていうフィクションなのに,どの仕事もリアルで本当にあるかもって気になる。おかきの袋裏やバスのアナウンスなんて特に。そこかい?というツッコミに思い切り笑わせてもらった。一度燃え尽きた主人公が、やりこむうちに仕事にやりがいを感じ始める姿に勇気づけられる。モチベーション維持のための食べ物こだわりも面白かった。どこぞのお菓子会社で「ふじこさん」を限定発売してくれないかね。やってみたいお仕事順番1)袋裏2)バスのアナウンス3)森林公園管理人4)「さびしくない」と闘う5)みはり

  • なゆ さん

    お仕事転々小説のようでいて、お仕事復帰プロセス小説。前職を燃え尽き症候群のようになり辞めてしまった主人公が、ちょっと変わった仕事を渡り歩くうちに気付いたこと。はじめのうちは、仕事が面白くなりながらも続けられないことにちょっと苛立ったりしたのだが、最後まで読むと「ああ、全部必要なことだったんだ」とわかった。クスクス笑わせてながらも、少々無駄に一生懸命に取り組んでしまい、さりげなく誰かを助けてしまう。ありそうでなさそうなちょっと変わった仕事も面白く、おかきの袋の仕事なんてのは津村さん好きそう!

  • いつでも母さん さん

    あっという間に読了でした。が、なんだかなぁの感じ。この主人公は共感できそうで出来なかったからです(笑)仕事に、『生きがい・やりがい』を感じる前に暮らしが有る現実。みんな、そこんところ飲み込んで働いているいるのでは?ってね。短期間で色んな仕事をするのを否定してる訳じゃ無いのです。どう向き合うかって事ですよね。自分は一生懸命のつもりでも空回りしていたり、人は一人で生きてはいないからですよね。待て待て、だからタイトルがピッタリなのかぁ!しかし、世の中には色んな『お仕事』が有るもんですね〜

  • HMax さん

    ミステリー!! まさか犯罪?犯人捜し?「みはりのしごと」やってみたい。五つの仕事を短い間で経験、こんな仕事もあるんか、と不思議に思うのまで、フェンスに穴を開けるなんていうの、本当にやってたのかな。いつものオタクっぽいスポーツ、映画の話題、のほほんとしますね。ウィル・フェレルといえばエルフかSaturday Night Liveですが、恐竜ランドと来ましたか。 主人公が少しづつ回復していく姿、じわーっと来ました。ただ祈り、全力をつくすだけ。

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