ジャッカ・ドフニ 海の記憶の物語

津島佑子

基本情報

ジャンル
ISBN/カタログNo
ISBN 13 : 9784087716610
ISBN 10 : 4087716619
フォーマット
出版社
発行年月
2016年05月
日本
追加情報
:
459p;20

内容詳細

遺作
津島文学の頂点であり、最後の長篇小説


アイヌの母と日本人の間に生まれたチカップ。
16世紀日本、キリスト教への圧迫が強まる中、幼くして孤児となり、キリシタンに拾われたチカップは、兄と慕う少年・ジュリアンらキリシタン一行と共に海を渡り、新天地マカオを目指す。
数奇な運命に翻弄され、異国からまだ見ぬ蝦夷の地に想いを馳せ、母から聴いたアイヌの歌を支えに生きる女性の一生を、壮大なスケールで描いた物語。


【著者紹介】
津島佑子 : 1947年、東京都生まれ。白百合女子大学卒業。『寵児』で第17回女流文学賞、『光の領分』で第1回野間文芸新人賞、『黙市』で第10回川端康成文学賞、『夜の光に追われて』で第38回読売文学賞、『火の山』で第34回谷崎潤一郎賞、第51回野間文芸賞、『黄金の夢の歌』で第53回毎日芸術賞受賞。2016年2月18日逝去(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)

(「BOOK」データベースより)

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読書メーターレビュー

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  • 翔亀 さん

    ジャッカ・ドフニとはサハリン(樺太)先住民族ウィルタ語で「大切なものを収める家」の意味。17世紀の切支丹迫害で日本を脱出し、マカオさらにジャワまで流離ったアイヌ人女性・チカップ(アイヌ語で鳥の意)の一生が語られる(史実に基づき歴史上のモデルもいるようなので歴史小説といってもよい)。民族・宗教に対する差別/非寛容の日本社会を拒否し、全てを許しあえる親密圏=家を求め続け世界を漂泊した一生。と書くと、悲壮な覚悟や壮絶な生活が想像されるが、心地よい物語の<語り>に乗せられて、暖かで親愛に満ちた気持ちに満たされる。

  • ちょき さん

    太宰治の娘という宿命を背負い、自らの死期を自覚しつつ全身全霊で書いた小説であると感じた。アイヌという出自の娘の一生、存在感を小説内に止めたかったのだろう。問題は自分のアイヌへの憧憬が足りないことと、読書力の弱さだと思う。ただ風景が流れただけの小説となってしまった。文学史上には残るかも知れない小説だが私の心には残らない、そんな印象で誠に申し訳ない気持ちで一杯になってしまった。津島さんの背負ってきた荷物が重すぎる故に私には背負いきれない。これからも恐らくは津島さんの小説は読むことはないだろうなと自覚した。

  • yumiha さん

    『ジャッカ・ドフニ』は、大切なものを収める家、という意味を持つ。世間では見向きもされず見過ごされてきたけれども、作者津島佑子にとっての大事にしたい物や記憶を書き残したかったのが、本書なのではないか?「ノックルンカ」というカムイ・ユカラで歌われる老巫女に自分を重ねていたのかもしれない。「ここはアイヌ・モシリ、人間の大地、わたしはシサム(隣人)」と繰り返しながら、自分はアイヌではないけれども、アイヌの暮らしや思想の豊かさを残しておきたいという思いだったのではないか。

  • yamahiko さん

    自分の根っこを最期まで大切に守り抜いた女性の一生を豊かな言葉で紡いでいる作品でした。

  • だろうぇい さん

    キリシタンの少年と異国へとさすらう17世紀のアイヌの少女の物語に、私小説風の現代の挿話が挟まれる。2つは直接関係しないが、アイヌの歌のかすかな記憶以外辿れるルーツがない少女と、アイヌ文化と亡き息子の記憶を辿る現代のシサム(隣人の意、日本人のこと)が響きあうことが伝わってくる。しかし、著者の作品をほとんど読まずに本書を読んでしまったのは、登山を飛ばして山頂に立つようなものだったかも。私小説風の部分の背景はもちろん、2つの物語に込められたメッセージを十分理解するには、他の作品を読む必要がありそう。

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