これははっきり言って戦争映画です。しかし見事！

日常の中に突然起きた非現実が実によく溶け込んでいて最高のﾘｱﾘﾃｨｰを演出している。非常事態宣言発令下、日本が戦場と化し、国内で難民が発生するなど現実的な問題に着眼した点が素晴らしい。逃げ惑うｴｷｽﾄﾗ達は、単なるｵﾌﾟｼｮﾝではなく、その世界の市民として描かれている。だからこそそうなる人々の運命を背負った軍人達のﾄﾞﾗﾏも引き立ってくるし、本当の恐怖というものがﾀﾞｲﾚｸﾄに伝わってくる。特撮ｼｰﾝは�Vには多少劣るとも、ｽﾄｰﾘｰのﾘｱﾙさに対し、決してひけはとらない。�Vはその点ｱﾝﾊﾞﾗﾝｽだったのが残念だが…。

これぞ日本が世界に誇れる怪獣映画！日本SF大賞を受賞した作品だけあって内容の濃さ、設定の緻密さ、ｽﾄｰﾘｰの完成度といい、どれをとってもﾄﾘﾌﾟﾙA間違いなし!!DVDも出た時点で即買いしました。大谷幸氏手懸けるｽｺｱもイチ推しです。ｷｬｽﾃｨﾝｸﾞで目についたのは官房長官役に徳間社長自ら出てたのと、仙台のﾜﾝｶｯﾄでｶﾞﾒﾗ3主演の前田愛の妹、前田亜紀ﾁｬﾝが出てます。この頃すごく可愛らしい子役がハマってました。

平成ｶﾞﾒﾗｼﾘｰｽﾞの三部作の中ではｽﾞﾊﾞ抜けた出来を誇る傑作。特撮技術は正に最高水準。従来までの作品と異なり、ｽﾄｰﾘｰの主体が政府側及び自衛隊の視点という、実にﾘｱﾙな設定が本作を単なる怪獣映画の枠で片付けられないものにしている。ｺﾞｼﾞﾗと違い、ｶﾞﾒﾗは人類の味方であり、かつ、子供達のﾋｰﾛｰであるというｺﾝｾﾌﾟﾄを崩さないｽﾀｲﾙも見事。利根川河川敷の戦車部隊、仙台の崩壊ｼｰﾝ、当時のﾆｾ村山首相(笑)など見所につきない。

第一作以上に設定のリアリティにこだわった傑作｡その意味では､’54ゴジラを除けば日本怪獣映画の最高傑作とも言える｡これで､特撮のレベルが第三作レベルなら､と惜しまれる｡