小説集 吉原の面影 中公文庫

永井荷風

基本情報

ジャンル
ISBN/カタログNo
ISBN 13 : 9784122069367
ISBN 10 : 412206936X
フォーマット
出版社
発行年月
2020年09月
日本
共著・訳者・掲載人物など
:
追加情報
:
283p;16

内容詳細

「明治三十年代の吉原には江戸浄瑠璃に見るが如き叙事詩的の一面がなお実在していた」。消えゆく遊里の情緒を追い求めた永井荷風の名随筆「里の今昔」。荷風がその最後の面影を残すと評した、樋口一葉「たけくらべ」、広津柳浪「今戸心中」、泉鏡花「註文帳」とともに収める。

【著者紹介】
永井荷風 : 1879(明治12)年東京生まれ。1903年より08年まで外遊。帰国後『あめりか物語』『ふらんす物語』(発禁)を発表。主な作品に『〓東綺譚』『断腸亭日乗』がある。59(昭和34)年没

樋口一葉 : 1872(明治5)年東京生まれ。半井桃水に師事し、生活苦のなか『たけくらべ』『にごりえ』『十三夜』などの作品を発表。文壇から高い評価を得るが、肺結核にて96(明治29)年没

広津柳浪 : 1861(文久元)年長崎生まれ。東大医学部予備門を中退。『女子参政蜃中楼』でデビュー。主な作品に『残菊』『黒蜥蝪』があり、社会の暗黒面を描く「深刻小説」と称された。1928(昭和3)年没

泉鏡花 : 1873(明治6)年石川県生まれ。91年に尾崎紅葉門下となり、『夜行巡査』『外科室』で評価を得る。主な作品に『草迷宮』『高野聖』『歌行燈』『夜叉ケ池』がある。1939(昭和14)年没(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)

(「BOOK」データベースより)

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読書メーターレビュー

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  • shizuka さん

    荷風おじさまの案内でめぐる、吉原の「面影」それこそ、今は昔、実しやかに流れていた情緒は薄れ、浅草観音の裏手もだいぶ様変わりしたのかもしれないが、この本を開くとその息遣いが、艶やかな色が、ありありと目に浮かんでくる。テクノロジーに伸されている近未来も、進化のない人間の根本。男と女が出会って情にほだされ別れていく。小さな営みにも壮大なドラマがあるのがこの地球の掟。感情に溺れ、むき出しにして、そして気づきを得て、至るは涅槃。それまでのプロセスをおおいに、楽しもう。振り返り嘆くのは棺桶に入ってからでも遅くない。

  • SIGERU さん

    心急く年の瀬に、江戸は吉原遊郭の賑わいを偲ぶ。そんな風雅もわるくない。吉原にまつわる、文豪たちの達意の文藻を蒐めた本書は、最適の一冊だ。まず荷風『里の今昔』。往時の遊郭に存した、たおやかな風情を遺漏なく追想してみせる随筆は、さるにても名文。 そして、泉鏡花『註文帳』。雪の一夜の怪異を、墨痕淋漓とも云うべき名調子で描いた、鏡花得意の怪譚だ。遊女お縫の霊が、剃刀研ぎの五助の前に卒然と出現する場面は、あざやかの一言。「『五助さん』。蒼ざめた掌に、毒蛇の鱗の輝くような一挺の剃刀を挟んでいて、『これでしょう』」。

  • まさ さん

    吉原を懐古する永井荷風の随筆と、それに纏わる樋口一葉「たけくらべ」、広津柳浪「今戸心中」、泉鏡花「註文帳」3作。遊里で生きる人、通う人、界隈の風俗描写を「吉原」が大人になるための通過地であることと合わせて3作それぞれ想像した。荷風はその風景が消えかかる中で懐かしみ、その随筆を読む現代ではまた違うものが見えているのだろうけど、人の往来に思いを馳せた。この地を知っているとさらに思いは強くなるのだろう。

  • かふ さん

    永井荷風が遊廓「吉原の面影」をまとめたアンソロジー。最初に解説随筆「里の今昔」が良かった。荷風が思春期の頃に一度吉原に行ったそうだが、まだ行ってはいけない場所で後に大人になって行ったら水害や大火事の後に明治の文明開化ですでに昔ながらの吉原は消えていた。江戸風情の「吉原」を伝える最後の面影として3つの作品、樋口一葉『たけくらべ』、広津柳浪『今戸心中』、泉鏡花『註文帳』とまさに荷風の吉原「文学空間」に彷徨い歩くことになる。『たけくらべ』は子供時代の喪失、『今戸心中』はまさに「吉原心中」、『註文帳』は幽霊話。

  • マカロニ マカロン さん

    個人の感想です:B+。『里の今昔』(荷風)は昭和2年には華やかな遊里としての吉原は滅亡していたとして、昭和初期の大音寺界隈の様子が描かれ、興味深い。明治30年『今戸心中』(広津柳浪)は『たけくらべ』と前後して世に出ているが、荷風は正にその年初めて吉原に登楼したという。『今戸心中』は実際の事件を基にしているとのことだが、花魁に入れあげて店が倒産し人手に渡り、妻を離縁するという展開自体は『にごりえ』と共通するものがある。吉原の年末すす払いの様子など興味深い習わしも書かれている

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永井荷風

1879(明治12)年東京生まれ。1903年より08年まで外遊。帰国後『あめりか物語』『ふらんす物語』(発禁)を発表。主な作品に『〓東綺譚』『断腸亭日乗』がある。59(昭和34)年没

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