狂うひと 「死の棘」の妻・島尾ミホ

梯久美子

基本情報

ジャンル
ISBN/カタログNo
ISBN 13 : 9784104774029
ISBN 10 : 4104774022
フォーマット
出版社
発行年月
2016年10月
日本
追加情報
:
666p;20

内容詳細

島尾夫妻それぞれの日記や手紙、草稿、ノート、メモなど、膨大な未公開資料によって妻・ミホの生涯を辿る、渾身の決定版評伝。

目次 : 「死の棘」の妻の場合/ 戦時下の恋/ 二人の父/ 終戦まで/ 結婚/ 夫の愛人/ 審判の日/ 対決/ 精神病棟にて/ 奄美へ/ 書く女へ/ 死別/ 最期

【著者紹介】
梯久美子 : 1961(昭和36)年熊本県生れ。北海道大学文学部卒業。編集者を経て文筆業に。『散るぞ悲しき』で2006(平成18)年に大宅壮一ノンフィクション賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)

(「BOOK」データベースより)

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読書メーターレビュー

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  • 遥かなる想い さん

    第39回(2017年)講談社ノンフィクション賞。 「死の棘」の妻 島尾ミホの真実を追った作品で ある。特攻隊長と 島の娘の恋で始まる二人の 関係は、「死の棘」では見えない事実が 蘇り、興味深い。 本当に 「死の棘」で書かれたようなことが あったのか?すべては島尾の創作なのか? その後の二人の人生も丹念に描かれた、 労作だった。

  • ゆいまある さん

    夫の浮気をきっかけに妻が発狂。閉鎖病棟に入院。介護する内に夫も精神が不安定になり「共狂い」となった様を書いた「死の棘」。島尾敏雄、ミホ夫婦を新たに調べ直し検証した評伝。肉体関係には愛が伴う筈だという幻想から心が引き裂かれるからか(単に膀胱が一杯になったから自宅の外で排尿したような浮気もあると思うんだが)、夫の不貞行為を契機に発病する人は今も多い。当時は持続睡眠とか謎の治療しか無かったが、結局は今度は夫が妻に支配されることで、妻の精神の均衡は回復していく。今の抗精神薬があったらどうなっていただろう。

  • 藤月はな(灯れ松明の火) さん

    『死の棘』を読んだ時、勝手すぎる二人には怒りが先立ち、どんどん、荒んでいく子供達の姿が辛かった。だから当時の書評家の絶賛の言葉を読むと「これが真実の愛だって?エゴイストでしかない親の諍いに巻き込まれて壊される子供や人々はどうした?当事者でもない手前が語るんじゃねぇよ」と虫唾が奔る。この書評を読んでもやっぱり、二人はどうしようもなく、互いを通した自分しか見ていなかった事が苦い。救いは『死の棘』によって存在を貶め、消されてしまった「彼女」を気にかけてくれる稗田宰子さんやマヤさんとも親しかった埴谷雄高氏がいた事

  • どんぐり さん

    作家・島尾敏雄の私小説『死の棘』の謎を解くノンフィクション。序章では、中断されたミホへのインタビュー、二人の出会いが紹介され、島尾が付けていた日記とミホの遺した手紙などから『死の棘』をめぐる解説に話が及ぶと、読むのが次第にしんどくなる。これは作品から二人の現実世界の出来事を検証するものであった。 昭和19年12月に鹿児島県奄美群島の加計呂麻島で出会った二人は、海辺で逢瀬を繰り返す。この時、ミホは押角国民学校の代用教員、島尾は特攻艇「震洋」部隊の隊長(中尉)。本土決戦の前哨地で、「隊長さま」と島の人々から慕

  • harass さん

    島尾敏雄「死の棘」の妻ミホの評伝。狂った妻との生活を描く私小説が有名だが、その神話と実像をミホ本人や関係者や日記などの資料から浮き彫りにする。曖昧なままの愛人の正体や小説の内容はどこまで実際のことかなど。敏雄の作家の業やエゴがむき出しで痛々しい。短編集「死の棘」というものがあるのを初めて知った。島の旧名家の一人娘と赴任した27歳の島尾特攻隊隊長は恋に落ち、極限状態のまま出撃を待つが終戦を向かえてしまうという、神話のような出会いはどこまで本当なのかが知りたかった。労作。良作。

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梯久美子

ノンフィクション作家。1961(昭和36)年、熊本県生まれ。北海道大学文学部卒業後、編集者を経て文筆業に。『散るぞ悲しき 硫黄島総指揮官・栗林忠道』(新潮社・のち新潮文庫)で2006(平成18)年に大宅壮一ノンフィクション賞を受賞。同書は米、英、仏、伊など世界8か国で翻訳出版されている。16(平成2

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