SACD

『ヴォヤージュ〜柏木俊夫:芭蕉の奥の細道による気紛れなパラフレーズ』 浦山純子

柏木俊夫(1912-1994)

基本情報

ジャンル
:
カタログNo
:
MECO1011
組み枚数
:
1
:
日本
フォーマット
:
SACD
その他
:
ハイブリッド

商品説明

浦山純子/柏木俊夫:芭蕉の奥の細道による気紛れなパラフレーズ

東京、ワルシャワ、
そしてロンドンからたどりついた「奥の細道」

「奥の細道」から着想され、日本と西洋を見事に融合させた名曲『芭蕉の奥の細道による気紛れなパラフレーズ』。長くロンドンの拠点を置いて活躍し帰国したスタインウェイ・アーティスト、浦山純子が自らライフワークに掲げる本作を、作曲者・柏木俊夫氏生誕生100年の今年(2012年)、満を持してリリース!
 「スタインウェイ・ピアノを愛し、世界各地のコンサート、ステージでスタインウェイ・ピアノを自らの意思で選んで弾くトップ・アーティストであり、ピアノ演奏史に不滅の名を残すアーティスト」の1人として、浦山純子がスタインウェイ・アーティストに指名されたのはロンドンで活躍していた当時のこと。その後、逆輸入される形で2005年より活動の拠点を日本へ移し、以来多彩な活動を行ってきました。長い海外生活ののち、運命的な出会いをしたこの『芭蕉の奥の細道による気紛れなパラフレーズ』は、東北出身の浦山にとって日本人として、そして東北の人間としてのルーツに思い至らせるものであり、以降本作を自らライフワークとして掲げ、演奏を重ねていまする。作曲者・柏木俊夫氏の生誕100年を迎える2012年、ついに念願の全曲録音CDをリリース。(ソニー・ミュージックダイレクト)

【収録情報】
柏木俊夫:芭蕉の奥の細道による気紛れなパラフレーズ
・『草の戸も住み替はる代(よ)ぞ雛の家』(江東区深川)
・『行く春や鳥(とり)啼(な)き魚(うお)の目は涙』(足立区千住)
・『入りかかる日も絲遊(いとゆう)の名残かな』(埼玉県室の八嶋)
・『あらたふと青葉若葉の日の光』(栃木県日光山)
・『野を横に馬ひきむけよほととぎす』(栃木県那須)
・『落ち来るや高久の宿のほととぎす』(栃木県那須)
・『卯の花をかざしに関の晴着かな(曾良)』(福島県白河)
・『風流のはじめや奥の田植えうた』(福島県須賀川)
・『笈(おい)も太刀(たち)も五月(さつき)にかざれ紙幟(かみのぼり)』(福島県飯塚)
・『夏草やつはものどもが夢の跡』(岩手県平泉)
・『五月雨(さみだれ)の降りのこしてや光堂』(岩手県平泉)
・『閑(しづか)さや岩に泌み入る蝉の声』(山形県立石寺)
・『五月雨(さみだれ)をあつめて早し最上川(もがみがわ)』(山形県最上川)
・『暑き日を海に入れたり最上川(もがみがわ)』(山形県酒田)
・『終宵(よもすがら)秋風聞くや裏の山(曾良)』(石川県全昌寺)
・『散る柳あるじも我も鐘を聞く』(石川県金沢)
・『荒海や佐渡に横たふ天の河』(新潟県越後路)

 浦山純子(ピアノ/スタインウェイ)

 録音時期:2012年4月
 録音場所:岐阜県、真鍋記念館クララザール
 録音方式:ステレオ(DSD/セッション)
 SACD Hybrid


【浦山純子と本作品の出会い 不思議な縁、そして共感】
■「芭蕉の奥の細道による気紛れなパラフレーズ」とは
本作品は、東京藝術大学講師、東京学芸大学名誉教授などを歴任し作曲家・音楽研究家・教育者として活躍した柏木俊夫氏が、第二次世界大戦中に防空壕の中で着想を得て作曲した組曲である。それぞれ「奥の細道」の俳句からインスピレーションを受けた2〜3分ほどの短い曲、全17曲からなる。本作品は柏木氏の代表作であり、この作品で1951年毎日コンクール入選、1952年イタリア・ジェノバ国際作曲コンクール2位入賞を果たしている。

■浦山純子とこの曲の出会い
浦山がこの曲と出会ったのは、浦山の後援会会長を務める鈴木達也氏(現・スタインウェイ会最高顧問)が、福島県郡山市に生まれ宮城県仙台市に育った浦山に、「東北出身だから興味があるかな?」とこの曲を紹介したことがきっかけだった。鈴木氏が本作品を知ることになったのは、更にそれより以前、ミューザ川崎シンフォニーホール開館時のスタインウェイ・ピアノ選定に際して、会館担当者とやりとりをしていた当時のこと。「実は私の父の作品にこのような曲があるのです」と、楽譜を手渡したその担当者が作曲者・柏木氏のご子息だったのである。

■不思議な縁、そして曲への強い共感
「1曲1曲は短いけれど、その中に人生のはかなさ、侘び寂びといった日本的な香りと、ラフマニノフやドビュッシーを思わせる西洋的な色彩があり、さらにどこか民族的な響きもあって・・・自由な瞑想の旅へ連れて行ってくれるようでした」
東北に生まれ育ち、東京に学び、ヨーロッパで長く暮らした浦山の、日本と西洋、両方の側面でこの作品は琴線に触れた。以降、浦山はこの「芭蕉の奥の細道による気紛れなパラフレーズ」をライフワークとして演奏し続けることを決める。
「素直に、素敵だなと思ったのです。日本のエッセンスが込められ、たまに筝の響きを思わせる部分もありますが、邦楽という感じはしませんし、フランス音楽のような感じも受けます。安川先生がお弾きになったのも分かるような気がします」
この曲集の中の数曲を世界初演したのが、浦山の恩師である故・安川加壽子氏であったという不思議な縁ものちに分かった。

■日本と西洋、その両方に通じるもの
「11年間ヨーロッパに居て、向こうのことは私なりに理解したつもりでしたが、日本のことはそんなに知らなかった。帰国して、日本の文化、音楽や美術、文学などに接しながら思ったことは、文化や国民性を越えて、人が言いたいことや感じることは日本も西洋も同じなのだということでした」
日本と西洋―その架け橋として、この「芭蕉の奥の細道による気紛れなパラフレーズ」を主軸に据えたリサイタル・シリーズを、2009年にスタート。「心の旅への誘(いざな)い」シリーズと題して、メンデルスゾーンの「無言歌集」やシューマン「子供の情景」、ショパン「別れの曲」などと取り合わせてプログラミングした。その独創的で芸術性の高い企画は、単に演奏会評にとどまらず作曲、文学など各方面から注目を集め、高い評価を得た。

■曲に描かれる舞台、そして故郷としての東北に思いを馳せて
「リサイタル・シリーズの第1回2009年「深川〜白河」の旅、第2回2010年「那須〜平泉」の旅と進んだところで、昨年2011年に東日本大震災が起こりました。私の仙台の実家は、津波には寸でのところで免れましたが半壊の被害を受け、人生や音楽の在り方についてこれ程考えさせられた年はありません。そして、2012年4月に行った全曲レコーディングは、奥の細道の経路でもあった被災地への鎮魂を込め臨みました。」
2012年、柏木氏の生誕100年である今年、本作品のCDをリリースしたいというかねてからの願いが果たされることとなった。併せてシリーズ最終章としての記念リサイタルも7/21(土)浜離宮朝日ホールにて開催予定。日本人作曲家の名曲であり、東北への深い旅情に満ちたこの作品を、誰よりも強い思い入れを込めて浦山純子が演奏する。

【収録曲 〜Voyage=旅〜俳句とともに松尾芭蕉の旅を追う17曲】
月日は百代(はくたい)の過客(かかく)にして行きかふ年も又旅人也−。
芭蕉の俳句に詠まれた情景を、一台のピアノが巧みに描き出す。

■1.「草の戸も住み替はる代(よ)ぞ雛の家」 <江東区深川>
■2.「行く春や鳥(とり)啼(な)き魚(うお)の目は涙」 <足立区千住>
■3.「入りかかる日も絲遊(いとゆう)の名残かな」 <埼玉県室の八嶋>

■4.「あらたふと青葉若葉の日の光」 <栃木県日光山>
日光東照宮に参拝した際、山全体の新緑がざわめき日の光に輝くさまに、芭蕉は神々しく荘厳な気分に包まれた。曲は、左手の動きがゆったりと景色に目を向けながら歩む芭蕉の足取りを表す。

■5.「野を横に馬ひきむけよほととぎす」 <栃木県那須>

■6.「落ち来るや高久の宿のほととぎす」 <栃木県那須>
高久で宿を取った芭蕉は、夜通しほととぎすが降るように鳴き続けることに詩情をかきたてられ、夜通し筆をとったという。
曲は、静かな夜のようすを描く夜想曲(ノクターン)の形式をとる。

■7.「卯の花をかざしに関の晴着かな(曾良)」 <福島県白河>
白河は古来由緒ある関所で、通る者は正装し冠をつけたといわれる。
晴れ着を持たない芭蕉が、いちめんに咲く卯の花をかざし晴れ着に見立てたユーモアを、曲はスケルツォ風の行進曲によって表している。

■8.「風流のはじめや奥の田植えうた」 <福島県須賀川>
白河の関を通り、「奥州(陸奥)」に入った芭蕉。その土地の田植え歌を聴いて、初めてみちのくの風流に触れた気持ちを詠む。
曲は、田植え歌らしい田舎風の主題を2つ導入したのちにぎやかに盛り上がって終る。

■9.「笈(おい)も太刀(たち)も五月(さつき)にかざれ紙幟(かみのぼり)」 <福島県飯塚>
飯塚の里である寺で、芭蕉は弁慶の笈と義経の太刀が飾られているのを目にする。折りしも五月の節句、力強く男児を激励した句。
曲は、活発なリズムと歯切れの良いスタッカートを反復し、男子の祝いを祝福している。

■10.「夏草やつはものどもが夢の跡」 <岩手県平泉>
奥州藤原氏が頼朝によって滅ぼされたという平泉の城跡で、血を流した「つわもの」が今は跡形もないことと変わらぬ山河をくらべ、人の世のはかなさを感じた芭蕉。曲は、瞑想的に悲しく空しい歴史を懐古する心境を表す。

■11.「五月雨(さみだれ)の降りのこしてや光堂」 <岩手県平泉>
藤原氏が威信をかけて建立した中尊寺金色堂。長い年月の風雨がそこだけ残したのかと思うほどお堂が変わらず輝いて立つのを見て詠む。曲は、雨中にひっそりとたたずむ光堂を思い描き、静かに瞑想する。

■12.「閑(しづか)さや岩に泌み入る蝉の声」 <山形県立石寺>
山形・立石寺は高い岩山の上にあり、夏木立は蝉の鳴く声のほかは夏の物音ひとつしない。
静寂のなかにピアノのCシャープの音が鳴り続き、ひとすじ鳴き続ける蝉の声を象徴的に表す。

■13.「五月雨(さみだれ)をあつめて早し最上川(もがみがわ)」 <山形県最上川>
■14.「暑き日を海に入れたり最上川(もがみがわ)」 <山形県酒田>
■15.「終宵(よもすがら)秋風聞くや裏の山(曾良)」 <石川県全昌寺>
■16.「散る柳あるじも我も鐘を聞く」 <石川県金沢>

■17.「荒海や佐渡に横たふ天の河」 <新潟県越後路>
越後路を旅し、日本海に面した宿にたどり着いた芭蕉は、荒れる波の彼方に佐渡島、その上に冴える天の川を見る。
絶え間なく魂を削るように激しく響く波音を聴きながら、芭蕉は胸を打たれ涙を流したという。曲は、その心中の荒海を率直に表現している。
※曲目解説:柏木俊夫氏ご本人執筆の解説より

【浦山純子 プロフィール】
4歳よりピアノを始め、桐朋女子高等学校音楽科、桐朋学園大学音楽学部ピアノ科卒業後、ポーランド国立ワルシャワショパン音楽院に留学。
1995年ラジヴィーウ国際ピアノコンクール優勝、及び最優秀ショパン賞(ポーランド)、1998年ポリーノ国際ピアノコンクール最高位(イタリア)をはじめとする数々の賞を受賞。
 1996年よりロンドンを本拠地とし、名門ウィグモアホールにてデビュー。ヨーロッパ各国でソロリサイタル、コンチェルトから室内楽に至るまで幅広く活動し、2002年には、ウラディミール・アシュケナージ指揮フィルハーモニア管弦楽団とグリーグのピアノ協奏曲を共演。同年フィルハーモニア管弦楽団に再び招かれ、チチェスター音楽祭にて演奏。

2005年秋より東京に拠点を移し、銀座・王子ホールにてデビュー。雅楽師・東儀秀樹氏とのジョイントコンサート、ホロヴィッツのピアノによるスタインウェイ・ガラコンサート、お話音楽館など、多彩な企画を含めた演奏活動を展開中。スタインウェイ・ジャパン鰍フ“Young Virtuoso Series”のアーティストとしても全国各地でコンサートを行うほか、国内外で教育・福祉関係のためのチャリティ活動にも力を入れている。

また、2009年よりスタートさせたリサイタル・シリーズ「心の旅への誘(いざな)い」は、「奥の細道」から着想された『芭蕉の奥の細道による気紛れなパラフレーズ』を取り上げる独創的な企画として注目を集めている。今年2012年6月には、念願であった本作品の全曲録音CDとして〈VOYAGE ヴォヤージュ〉をソニー・ミュージックダイレクトより発売。CDはこれまでに、2003年〈Piano Recital ピアノリサイタル〉、2005年〈Fantasie ファンタジー〉、2007年〈Soiree ソワレ〉(いずれもイギリス・シンフォニカレコード)をリリースしている。

浅野繁、奥村洋子、故・安川加壽子、アンジェイ・ステファンスキ、スラミタ・アロノフスキ各氏に師事。
スタンウェイ社認定「スタインウェイ・アーティスト」。

内容詳細

浦山の日本デビュー・アルバム。浦山はヨーロッパで高い評価を得た後、日本に拠点を移している。柏木は信時潔ほかに師事した作曲家兼教育者で、本作は柏木の代表作のひとつ。「奥の細道」の句にインスパイアされた曲集で、さまざまな曲想に満ちあふれた聴きごたえある作品となっている。初の全曲録音。(T)(CDジャーナル データベースより)

収録曲   

  • 01. 草の戸も住み替わる代ぞ雛の家
  • 02. 行く春や鳥啼き魚の目は涙
  • 03. 入りかかる日も絲遊の名残かな
  • 04. あらたふと青葉若葉の日の光
  • 05. 野を横に馬ひきむけよほととぎす
  • 06. 落ち来るや高久の宿のほととぎす
  • 07. 卯の花をかざしに関の晴れ着かな(曾良)
  • 08. 風流のはじめや奥の田植うた
  • 09. 笈も太刀も五月にかざれ紙幟
  • 10. 夏草やつはものどもが夢の跡
  • 11. 五月雨の降りのこしてや光堂
  • 12. 閑さや岩に沁み入る蝉の声
  • 13. 五月雨をあつめて早し最上川
  • 14. 暑き日を海に入れたり最上川
  • 15. 終宵秋風聞くや裏の山(曾良)
  • 16. 散る柳あるじも我も鐘を聞く
  • 17. 荒海や佐渡に横たふ天の河

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