罪の名前

木原音瀬

基本情報

ジャンル
ISBN/カタログNo
ISBN 13 : 9784062209267
ISBN 10 : 4062209268
フォーマット
出版社
発行年月
2018年02月
日本
追加情報
:
239p;19

内容詳細

「あれの味は知っている。羽をむしると、どんな音がするのかも。」
――「衝撃」という言葉以外この作品を表現できない、怪作「虫食い」。
ほか、人間の弱さ、不思議さ、愛おしさを描き出す、4つの鳥肌短篇集。

「罪と罰」
整形外科医の棚田のもとに、深夜、階段から突き落とされた若い男が運び込まれた。爽やかな好青年であるこの患者のために棚田は懸命に治療をするが……。

「消える」
弟を愛してしまった僕。その切なさに距離を置いていたが、弟の運転する車で事故に遭ってしまい、僕の身の回りの世話をする毎日。未来永劫、僕から離れられない。

「虫食い」
幼なじみの隼人だけは、日向が虫を食べることを知っている。そしてそのことに欲情することも。

「ミーナ」
しわしわネームの亀井道代は自分のことを「ミーナ」と呼ばせている。親友の若菜はミーナの華やかさに惹かれているが、なぜかクラスメート達は遠巻きにしている。

目次
罪と罰
消える
虫食い
ミーナ



【著者紹介】
木原音瀬 : 高知県生まれ。1995年「眠る兎」でデビュー。不器用でもどかしい恋愛感情を生々しくかつ鮮やかに描き、ボーイズラブ小説界で不動の人気を誇る。『箱の中』と続編『檻の外』は刊行時、「ダ・ヴィンチ」誌上にてボーイズラブ界の芥川賞作品と評され、話題となった(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)

(「BOOK」データベースより)

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読書メーターレビュー

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  • いつでも母さん さん

    ぞくぞくするよなカバーにタイトル。お初の作家さん、短編4話。これは中毒性がありますね。最初からこの作家の世界にどっぷり嵌る私。いるかも・・、こんなBLは・・、イタイ・・だったのに、最後の『虫食い』で一気に体温が下がる。あゝ、ダメダメ!これはだめ!なのに止められなくて・・えぇ〜そうきたか!恐るべし木原音瀬、この名前が私の心に刻まれた次第。

  • 🐾Yoko Omoto🐾 さん

    木原作品初読み。衝撃的だった。中毒性のある世界観に終始ゾワゾワとした感覚が消えず、私の物差しではとても計りきれない種類の人間の業をまざまざと見せつけられた思いだ。人を見て息を吐くように平気で嘘をつく罪悪感の欠片もない冷酷な人間。印象操作で作られた仮面の下の本性を知った時、信じていたぶん倍増する恐怖感や嫌悪感。そんな心情描写の巧みさに唸る「罪と罰」「ミーナ」、兄弟の複雑すぎる愛憎を構成の巧さで読ませる「消える」、生きたまま食べるという性癖に釘付けにさせられた「虫食い」。名も無きこの罪たちの余韻が後を引く。

  • nobby さん

    読み終わった今の心境は、その言葉通り虫唾が走る想い…明確に我々の倫理に背く人物を描いた不快な短編4つだが、あながち周囲にもいそうなことが最も恐ろしい。邪魔者は殺す・弟への禁断愛・虚言癖・虫を食す、その異常さを罪や悪しきことと捉えない彼らと自分達の違いも紙一重なんだろうか…そうならば、お互いに噛み合うはずもない。まずは自分の価値観が大半と重なっている優位にホッとするばかり…それにしても最終編「虫食い」はキツかった…もう迫り来る最悪の予測事態を目にするのが怖くて、こんなにたどたどしく頁めくったのは初めてかも…

  • ちょろこ さん

    危険な一冊。しれっと当たり前のように吐き出される数々の嘘。誰もが心の奥底に持っていて、一度暴れ出したら手をつけられない悪魔のようなものなのか。最後は吐き気をもよおさずにはいられないぐらい涙目になった。常識から外れた世界。なのに背徳感なるものを感じながらも覗かずにはいられなかった世界。おぞましい…強烈…なのに耳元に美しさを纏ったような息づかいをかすかに感じ、吸い付かれるようなおぞましい感覚にだんだんと溺れ、絡めとられてしまいそうな自分もいたことは否めない。木原作品、自分にとっては危険。

  • あも さん

    すっごい。冷たさに侵食される。サイコパス、弟に執着する兄、虚言症、カエルや虫を食べる異食症。異常性癖の見本市の様な短編集。肌の上をサワサワと蟲が這う。下腹部に靄のような塊が膨らむ。禁忌を覗き見る背徳的な歓び。殆ど性的な描写はないのに仄暗い淫靡さが付きまとう。嫌悪と恐怖が性と深く結びついているのだと実感した。肉食動物が肉を喰らう事に罪悪感を覚えないように、彼らにとっては騙し殺す事も、誰かの人生を壊すことも自然な事なのだ。ただそう生まれついただけなのだ。異常と正常のラインはどう引く?彼らはあなたの隣にもいる。

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木原音瀬

高知県生まれ。1995年「眠る兎」でデビュー。『箱の中』『美しいこと』をはじめとするボーイズラブ作品を多数発表(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)

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