失われた時を求めて〈1〉 1 第一篇 スワン家の方へ 集英社文庫ヘリテージシリーズ

基本情報

ジャンル
ISBN/カタログNo
ISBN 13 : 9784087610208
ISBN 10 : 4087610209
フォーマット
出版社
発行年月
2006年03月
日本
共著・訳者・掲載人物など
:
追加情報
:
16cm,495p

内容詳細

語り手が眠りに引き込まれてゆく描写から、小説は始まる。夢現の状態、目ざめ、そのときに思い起こすコンブレーでの幼年時代、母が与えてくれた「おやすみ」のキス…。しかしこれらの記憶は断片的で、本当に生きた過去を返してはくれない。ところが後になって、ある冬の日に、何気なく紅茶に浸したプチット・マドレーヌを口に入れたとたん、幼年時代に味わった同じマドレーヌが思い出され、それと同時に全コンブレーの生きた姿が蘇る(第一篇第一部)。

【著者紹介】
マルセル・プルースト : 1871.7.10‐1922.11.18。フランスの作家。パリ近郊オートゥイユに生まれる。若い頃から社交界に出入りする一方で、文学を天職と見なして自分の書くべき主題を模索。いくつかの習作やラスキンの翻訳などを発表した後に、自伝的な小説という形で自分自身の探究を作品化する独自の方法に到達。その生涯のすべてを注ぎ込んだ大作『失われた時を求めて』により、20世紀の文学に世界的な規模で深い影響を与えた

鈴木道彦 : 1929年生まれ。東京大学文学部フランス文学科卒。一橋大学、獨協大学教授を経て、獨協大学名誉教授。1954年に渡仏。パリにて三年余りの研究生活を送るあいだに、プルーストの自筆やタイプ原稿を検討する機会を与えられる。それらにもとづいて帰国後にフランス語で発表した「プルーストの“私”」(1959)は、語り手の無名性を最初に立証する論文となった。プルースト研究のほかに、サルトル、ニザン、ファノンなどの研究・紹介を行う。また1960年代から70年代にかけて、数年のあいだ、反戦運動、在日朝鮮人の立場を擁護する運動などに従事(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)

(「BOOK」データベースより)

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二十世紀文学の金字塔。鈴木道彦の個人完訳...

投稿日:2019/01/10 (木)

二十世紀文学の金字塔。鈴木道彦の個人完訳だが、本書の個人完訳は、日本では井上究一郎についで二人目。個人的な感想だが、井上訳よりは読みやすい。それと、充実した注釈、登場人物の紹介などがついていることも、この長大な小説を読むことを助けてくれている。 日本の現在のエンタメばかり読んでいる人にはハードルが高すぎるかもしれないが、十九世紀のフランス・イギリス・ロシア文学などに親しんだ人には、本書がそれらの文学の“富”を巧みに継承していることが理解できるはず。“文学”の歓びをたっぷりと堪能できる作品だ。

ねも さん | 兵庫県 | 不明

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読書メーターレビュー

こちらは読書メーターで書かれたレビューとなります。

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  • ヴェネツィア さん

    作中の「私」は、物語ることによって過去を回想しているのだが、それらの過去の空間と時間とはそれがまさに個的な回想であることにおいて、半ば渾然としつつ、まさにたゆたうのである。したがって、ここに描き出されるコンブレーも今では時空の彼方にあるのだろう。そして、回想される「私」も時には寝室でママンのおやすみを待つ幼年のようでもあり、ゲルマント公爵夫人に焦がれる青年のようでもある。ワイルドは「自然は芸術を模倣する」と言ったが、ここでは「書く」行為においてこそ「私」のほんとうの「生」が芸術として生き直されるのだろう。

  • ケイ さん

    最初の50頁を読み比べて、こちらの鈴木氏の訳が岩波版より読みやすいが、解説の関係で岩波版を読了。最初の前書きも端的でわかりやすい。また巻末の人物100人の紹介や、家系図も大変参考になるので、この一巻を手元に置いて、次巻に取り掛かることにする。全七篇のあらすじは一巻ごとに読むことにした。

  • s-kozy さん

    「いつか読んでみたいな」と長い間思いつつも流石に敷居が高く、なかなか踏ん切りがつかずにここまで来てしまいました。それがG1000コミュやその中の派生イベントに参加させていただくことで背中を押され、ついに手に取りました。まだスタートしたばかりですが、まず感じたのは「読んでよかった」ということ。全部でいくつあるかは分かりませんが、この本は読書することの喜びを確実に味あわせてくれます。この「記憶の小説」とも呼ばれる本作の書き出しは幼少期の母親との思い出からスタートします。幼い男の子が持つ母への淡い(続く)

  • 夜間飛行 さん

    寝床で甦る記憶の切れ端から物語は動き出し、幼年期の明るさへうねるように遡る。繊細で神経質な、むせ返るばかりの母への甘え、微かな罪の匂い…たった一言母にお休みをいってもらう為の苦悩は様々な愛の変奏へと引き継がれる。小説家ベルゴットへの傾倒…彼と親しいというだけで語り手はまだ見ぬスワンの娘に恋い焦がれ、ベルゴットが少女を城や聖堂へ連れて行くという夢想が、閉ざされた日常に風穴を開ける。「スワン家の方へ」は、母への愛から美と性に目覚めていく少年の夢であろう。そこに咲くサンザシの白は、時に官能のバラ色を秘めている。

  • たーぼー さん

    ふとしたことからフラッシュバックされる光景に自己との隔たりを感じようか。そして彼らの強い感受性ときたら。行動や想いの一つ一つが反面としてさして美しくもなかった己の記憶の断片を、かつて親しみのあった人々を呼び戻してくれる。全くの他者と割り切れない、ある意味憎らしい物語だ。甘美な言葉達の開花の中に時間の追求、芸術論、社会的階級が及ぼす人間模様等あらゆるテーマが盛り込まれているからぼんやりしていると迷子になるし正直入りこめていない部分もある。只、手探りながら進んでゆく道の先に何か得体の知れぬ快楽がありそうだ。

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