ムッシュー・テスト 岩波文庫

基本情報

ジャンル
ISBN/カタログNo
ISBN 13 : 9784003256039
ISBN 10 : 4003256034
フォーマット
出版社
発行年月
2004年04月
日本
共著・訳者・掲載人物など
:
追加情報
:
15cm,196p

ユーザーレビュー

総合評価

☆
☆
☆
☆
☆

0.0

★
★
★
★
★
 
0
★
★
★
★
☆
 
0
★
★
★
☆
☆
 
0
★
★
☆
☆
☆
 
0
★
☆
☆
☆
☆
 
0

読書メーターレビュー

こちらは読書メーターで書かれたレビューとなります。

powered by

  • 新地学@児童書病発動中 さん

    テスト氏という名の輪郭のつかみづらい男性が登場する思弁的な小説。非常に難解。難しくて読んでいるときに眩暈がした。(苦笑)。それでも、思考の純度を高めて彼岸の世界に到達しようとする試みはスリリング。感傷や感情に溺れないで、どんなことでも分析的に考えようするのは西洋の哲学の伝統だが、案外仏教などの東洋哲学に通じるものがあると感じた。3番目のテスト氏の奥さんの手紙は親しみやすい。堀口大學の『月下の一群』に収められていたヴァレリーの詩の機知とユーモアを思い出した。

  • 踊る猫 さん

    冷徹にして明晰な頭脳が描く、アフォリズムにも似た思索の産物。ヴァレリーの著作を読むのは実はこれが初めてで、だから知識なんてないまま読んだのだけれどその分析力の鋭さに舌を巻いてしまった。ただ、理解が覚束ないところも多々ある。人間は認識することによって自我を持つ。裏返せば自我は認識によってしか生み出し得ない。私たちは既知のものと対峙しており、従って世界ではなく壁と向かい合っているのだという一節が印象に残る。既知のもので出来上がった壁……それをラカンの思想と繋げるとまた頓珍漢に聞こえるだろうか? 難しい本である

  • zirou1984 さん

    オルター・エゴとはまた異なる、ヴァレリーの精神に対する考察の結晶体であるテスト氏を巡る短編/断片群。テスト氏の言動は奇しくも同年に生まれたプルーストの様に内省と観念に対する可能性を突き詰め、その可能性を提示しないという選択肢にこそ可能性を見い出した。それは時に「沈黙しなければならない」とも言われた場所だが、だからといってそれは思弁を止める事を意味しない。語られない場においてこそ思弁は紡がれ、精神は結晶化されるのだ。反転した可能性の存在に対する確信―それはどこか、倫理と呼ばれるものに似ている気がするのだ。

  • 呼戯人 さん

    例えば、ムッシュー・テストは、苦しみについてこう言う。 苦しむというのは、何かあることに極度の注意力を払うことだと。これは苦しみについての最も正確な定義ではないだろうか。息も止まるほどの極度の注意から出て来るもの、予期不安や恐怖を伴う結果の意識。私たちの苦しみでさえ、テスト氏にかかると思考の材料にされてしまう。虚栄心や偉大さの観念や権力、富や名声、そういったものから最も遠い精神を形作るテスト氏。ヴァレリーの精神の危機から生まれたテスト氏は、私たちの精神の最も透徹した洞察に到達したものである。

  • いやしの本棚 さん

    そろそろ意味が解るかと思って通読したが、もちろん解る訳なかった。純粋に面白かったのは「マダム・エミリー・テストの手紙」で、作中の「神なき神秘家」という印象的な言葉が、ヴァレリーをさしてキャサリン・マンスフィールドが言ったことだったなんて!と嬉しくなる。とにかく、ここから読みとれるものは多様で、わたしにとってはまだ不確かなことばかり。アフォリズム好きなので、カイエからの抜粋にはやっぱり惹かれるけれども。想像するんじゃなくて「見る」ことが大事だって、言われてるような気はした。

レビューをもっと見る

(外部サイト)に移動します

文芸 に関連する商品情報

おすすめの商品