オリガ・モリソヴナの反語法 集英社文庫

基本情報

ジャンル
ISBN/カタログNo
ISBN 13 : 9784087478754
ISBN 10 : 4087478750
フォーマット
出版社
発行年月
2005年10月
日本
共著・訳者・掲載人物など
:
追加情報
:
16cm,531p

内容詳細

1960年、チェコのプラハ・ソビエト学校に入った志摩は、舞踊教師オリガ・モリソヴナに魅了された。老女だが踊りは天才的。彼女が濁声で「美の極致!」と叫んだら、それは強烈な罵倒。だが、その行動には謎も多かった。あれから30数年、翻訳者となった志摩はモスクワに赴きオリガの半生を辿る。苛酷なスターリン時代を、伝説の踊子はどう生き抜いたのか。感動の長編小説、待望の文庫化。

【著者紹介】
米原万里 : 1950年東京生。59〜64年、プラハのソビエト学校で学ぶ。元・ロシア語同時通訳。02年「嘘つきアーニャの真っ赤な真実」で大宅壮一ノンフィクション賞、03年本書でBunkamuraドゥマゴ文学賞受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)

(「BOOK」データベースより)

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息もつかせぬストーリー展開で、面白すぎて...

投稿日:2021/07/06 (火)

息もつかせぬストーリー展開で、面白すぎて一気に読めました!!と、書くと軽すぎるでしょうか?20世紀ソ連史の暗い面もたっぷり書かれていますが、ミステリー仕立ての話の進め方もあって、ぐいぐい読めます。暗くて辛い話が出てきても、ソビエト学校時代の回想が明るい彩りを添えて、全体を決して重苦しい雰囲気にしません。小説の舞台になった時代の世相描写も含めて、全編興味津々で読んでました。これだけのスケールの大きな小説を日本人女性が書いたという事実が驚きですし、巻末の参考文献の量にもびっくりです。米原万里さん生涯唯一の小説で、傑作なのですが、紫式部が「源氏物語」、マーガレット・ミッチェルが「風と共に去りぬ」という、生涯一つの小説作品しか残さなかったのと、何か共通する所があると感じるのは大げさでしょうか。

ぷーにゃー さん | 不明 | 不明

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読書メーターレビュー

こちらは読書メーターで書かれたレビューとなります。

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  • ヴェネツィア さん

    プラハのソヴィエト普通学校の舞踊教師オリガ・モリソヴナ。反語法を駆使する彼女は、年齢も不詳なら過去も謎に包まれていた。20年後に志摩(主人公)がそれを解き明かしてゆくのだが…。フィクションではあるが、これは著者の米原万里さんにとっての青春の熱い回想記である。そして同時にそれは「ソ連とは何だったのか?」を問う総括記でもあった。彼女は自身の体験や伝聞を客観化する必要があったのであり、巻末の参考文献群はそのためのものである。本書を経て、同世代の、そしてオリガたちの世代をも含むソ連の人々に真に連帯できたのだろう。

  • absinthe さん

    オリガ=モリソヴナは口が悪いけど皆に愛されたダンスの先生。でもその来歴には悲しい秘密があった。ラーゲリ、クラーグ。血も凍るような恐ろしい強制収容所。米原万理さんの自伝に近いと思われる、実話エピソードから作られたフィクションだが、その描写の上手さから共産圏の生活の裏側の恐ろしさが伝わる。少女時代の微笑ましいエピソード、スターリン体制化の息苦しい現実、ソ連と日本の教育の違いなどさまざまなエピソードが織り交ぜられながら、スリリングに核心に近づいていく。

  • buchipanda3 さん

    著者のプラハの学校時代を描いた「嘘つきアーニャ…」の別版とも言える小説。こちらもがっつりと読み応えがあり、魅力溢れる物語を堪能した。中身はかつてのソ連の体制が絡む話で重い内容も多い。特に中盤以降はあまりにも理不尽な悲しみに呆然。それでもこの本はそれに挫けない力強さがあった。それが読み手に乗り移ってくる。当時、子供の自分には見えていなかった大切なものを追い求めるシーマチカの姿も印象的。オリガやエレオノーラの告白に強く胸を打たれたが、改めて授業の様子を読み返すと、人が持つ尊いものを感じずにはいられなかった。

  • ゆいまある さん

    こんな面白い本を今迄読まずにいたとは。寝る間も惜しんで昼寝する勢いで読み耽った。米原さんがプラハで出会った人々がモデルになったそれは壮大な物語。オリガ・モリソヴナは70過ぎだがセクシーで凄く強い。だが彼女には悲惨な過去があり(ここからはフィクション)、その謎を解く内にスターリン時代沢山の人が殺され、ラーゲリ送りにされた歴史が出てくる(勿論物凄く調べて書かれていてその熱量たるや)。引き裂かれた恋人、引き裂かれた親子、ウクライナを追われてラーゲリで死んでいった人達。泣いたし笑った。もっと書いて欲しかった。

  • ちょろこ さん

    生きるってこういうこと…の一冊。夢中になって読んだ。この作品を読めて良かったという思いに満ち溢れた。30数年前のソビエト時代の学校の強烈キャラだった恩師達の半生を辿っていく謎解き物語はそれぐらい自分の心を掴みかき乱した。スターリン時代の粛清、背負わなくて良い罪を背負い、それでも生き抜く女性たちの姿に圧倒された。絶望の中、ささやかな生きる希望を見出し、道を選び生き抜く。生きるってこういうこと…そんなことを教えられた気がする。そして謎解きと共に咀嚼し噛み締めるあの時のあの言葉、最高の拍手気分で本を閉じた。

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