死者の書 角川ソフィア文庫

折口信夫

基本情報

ジャンル
ISBN/カタログNo
ISBN 13 : 9784044002046
ISBN 10 : 4044002045
フォーマット
出版社
発行年月
2017年07月
日本
追加情報
:
386p;15

内容詳細

「した した した」水の音と共に闇の中で目覚めた死者・滋賀津彦(大津皇子)。一方、藤原南家豊成の娘・郎女は千部写経中のある日、二上山に見た俤に誘われ女人禁制の万法蔵院に足を踏み入れる。罪を贖う間、山に葬られた滋賀津彦と彼が恋う耳面刀自の物語を聞かされた郎女の元に、「つた つた つた」滋賀津彦の亡霊が訪れ―。魂の神秘的な交感を描く折口の代表的小説。詳細な注釈で物語世界が鮮やかに蘇る。挿画『山越阿弥陀図』『當麻曼陀羅』をカラー口絵で収録。

【著者紹介】
折口信夫 : 1887(明治20)年〜1953(昭和28)年。国文学者、民俗学者、歌人、詩人。歌人としての名は「釈迢空」。大阪府木津村生まれ。天王寺中学卒業後、國學院大學に進み、国学者三矢重松から深い恩顧を受ける。國學院大學教授および慶應義塾大学教授となり、終生教壇に立った。古代研究に基を置き、国文学、民俗学の域に捉われることなく、広く学問研究と表現活動を続けた。没後、全集にまとめられた功績により日本芸術院恩賜賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)

(「BOOK」データベースより)

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読書メーターレビュー

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  • HANA さん

    読友さんとの間で話題になったので何度目かわからない再読。あまりに有名な冒頭の一文から、魔術にかかったように内容に引き寄せられる。呪言のように語られる独特の言葉使いとそのリズムにはひたすら酔わされ、冥界から帰り来る大津皇子と郎女の魂の交感に引き寄せられる。やはりこの文体あってのこの物語であるし、文章の魔力というものをまざまざと思い知らされるなあ。本書は注釈も極めて詳細で、作品の理解を助けられる。ただ惜しらむはそれが章ごとに付いているため、文章のリズムが中断させられる事。出来るならば巻末にまとめて欲しかった。

  • 井月 奎(いづき けい) さん

    当麻寺に伝えられる中将姫の物語に着想を得たこの世の宝です。星の煌めき、鶯の音、蝶の羽の美しさを言葉で伝えられるのが詩人でのみ可能なように私の筆ではこの清い水のごとき物語を言い表すことはできはしません。亡くなった人、生きている人、涅槃に向かう人たちの存在があるところで交わい、ある所では遠くはなれて行きます。その律動が目に、心に響き音楽のように私を酔わせるのです。一読したのち、ただただ日の落ちる西へと目を向けるばかりでした。

  • すみれ さん

    天平十三年、南家の藤原郎女お生まれになる、前後しての物語。賢しくなり過ぎた世に語部の嫗の語りは姫の耳へは届く。姫の祈りは、貴なるゆえ聡きゆえ純なるゆえに、ただひたすらに一途で美しい。俤人は、滋賀津彦、隻別、天若彦であり、仏であり神であり、中将姫の時空を超えた祈りと恋とはどちらがどうとも分かち難く感じられる。「おいとおしい、お寒かろうに」と。そのお気持ちは月の光を受けた清らかな曼荼羅に顕現したのだろう。今まさに聴こえる鶯の声は、「ほほきほほきい」と美しく尊く胸に響く、姫の一筋の涙に万感の思いを寄せると共に。

  • もえ さん

    映画『かぞくわり』を観て、この本に行き着く。文体が古語調で歴史的背景も知らないとかなり難解だが、注釈とさらに詳しい補注があるので、ある程度理解することができる。私はさらに近藤ようこさんの漫画も読んでから原作のこの本を読んだため、すんなり入って行けた。解説にもあるが、大津皇子と中将姫の恋物語を同性愛者でもあった折口信夫が恋する乙女の気持ちで書き上げた傑作である。難解なため、生前は受け入れられなかったらしいが、その世界観は素晴らしく、読後も余韻を残す究極の恋愛小説である。

  • イタロー さん

    奈良が舞台の、中将姫伝説などをモチーフにした古代奇譚。読んでいるとき、なぜかもののけ姫を連想していた。時代などはちがうけれども。冒頭描かれる、死に対する根源的な恐怖。それはわれわれが死者に対する恐怖でもあり、死者の死に対する恐怖でもある。恐ろしき死者は同時に畏れるべき佛身となり、阿弥陀図を顕現させる契機となる。名もなき者たちや、仲麻呂や大伴家持をはじめとする力ある人々をたくみにそして謎めいて織り込んだ因果の糸は、ともすれば異様ともいえる文体と記述とによってそれ自体が妖しく神々しく見事な曼荼羅をなしている。

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折口信夫

1887年、大阪府西成郡木津村生まれ。天王寺中学を経て國學院大學卒業。のち國學院大學教授、慶應義塾大学教授。国語学・国文学・民俗学・芸能史を研究し、独自の学風を築く。また釈迢空の名で歌人・詩人としても知られる。1953年没(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)

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