この人を見よ

後藤明生

基本情報

ジャンル
ISBN/カタログNo
ISBN 13 : 9784901998987
ISBN 10 : 4901998986
フォーマット
出版社
発行年月
2012年07月
日本
追加情報
:
492p 19cm(B6)

内容詳細

徹底した批評意識と「小説」の概念をも破砕するユーモアが生み出す、比類なき幻想空間―戦後日本文学の鬼才が、20世紀を総括する代表作『壁の中』を乗り越えるべく遺した、最後の未完長篇1000枚を初書籍化。

【著者紹介】
後藤明生 : 1932年4月4日、朝鮮咸鏡南道永興郡永興邑生まれ。敗戦後、旧制福岡県立朝倉中学校に転入。早稲田大学第二文学部露文学科卒。在学中の1955年「赤と黒の記録」が全国学生小説コンクールに入選、「文藝」に掲載。卒業後、博報堂を経て平凡出版に勤務。1962年「関係」で文藝賞佳作。1967年「人間の病気」で芥川賞候補。翌年、専業作家に。1977年『夢かたり』で平林たい子文学賞、1981年に『吉野大夫』で谷崎潤一郎賞、1990年『首塚の上のアドバルーン』で芸術選奨文部大臣賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)

(「BOOK」データベースより)

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読書メーターレビュー

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  • KAZOO さん

    この作家の作品は昔1冊だけ読んだことがありましたが、何を読んだか忘れてしまっていましたが、読メのお気に入りさんの感想を読んで名前だけは憶えていたので読んでみました。作家の最後に書き続けていた未完の小説のような自分の日記のような感じの小説です。妻以外との関係中にほかの作家の文学作品などの話が入ってきて、読んでいるうちに文学講座を聞いている気がします。これだけ厚い本を読めたということはやはり面白かったのでしょう。

  • ハチアカデミー さん

    B レディース・アンド・ジェントルメン! 太郎さん! 花子さん! 谷崎潤一郎『鍵』における三角関係と本作における単身赴任のサラリーマンたる私、A某先生、R子さんの三角関係が同じ構造であることは明白であります。しかしながら、そこにスケコマ氏Bさんが介入することで、物語の前提であるはずの土台がゆらぎ物語全体の構造は瓦解し、日記形式からシンポジウム形式へ変容をとげるわけです。簡潔ではない本書が完結を迎えるわけないじゃアーリマセンカ。そして私は明生の脳内で行われる横滑りする『鍵』読解の思考を楽んだわけであります。

  • zumi さん

    レィディース・アンド・ジェントルメン、文学講義の開始です。文学的影響を受けた主人公の日記がベースとなり、谷崎潤一郎『鍵』との奇妙な因縁で始まって、詳細な年譜や、様々な論が展開される架空のシンポジウムへとつながる一作となっている。これは批評か小説か。日本文学史への徹底的なアプローチを試み、他の批評への疑問を投げかけ、模倣と反復が絶えず場に召喚されて、明確なジャンルの境界は消える。読む/書くことの表裏一体性と、他の文学作品への誘惑は、まさに最高の批評そのもの。ゆっくり読まざるを得ない、最高の作品だった。

  • フリウリ さん

    一言でいえば、むちゃくちゃ好き。「小説」は比較的新しい文芸ジャンルですが、一般的に小説と考えられているものは、「噺」「物語」などの古来の語りの伝統を加工したものに過ぎないと思います。しかし、小説には「それ以外」の形もあり、そもそも小説が「ドン・キホーテ」や「トリストラム・シャンディ」などから始まったことを考えれば、「それ以外」こそ「本流」といえるかもしれません。後藤明生の実験的・冒険的な方法論・文体は「それ以外」の代表であり、文芸、小説、言葉、創作、人間、社会に関して考える重要なカギがあります。9

  • Cell 44 さん

    正直かなり驚いた。『壁の中』の荷風との対談も大変なものだったが、このシンポジウムは別次元でタイヘンである。小説の中の日記(いつの間にかこの形式は雲散霧消するんだけれども)の中の虚構シンポジウムで司会を務め批評し続ける「私」の姿は後藤の作品の中でも特に象徴的かもしれない。また、付録の『イエス=ジャーナリスト理論、その他』は本作自体の解説として読めるような内容。特に「書く人=書かれる人」は、題名の『この人を見よ』や扉の「――単身赴任者はこう語った」からも注意すべきテーマであろう。いや、それにしても面白かった。

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人物・団体紹介

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後藤明生

1932年4月4日‐1999年8月2日。朝鮮咸鏡南道永興郡(現在の北朝鮮)に生まれる。13歳で敗戦を迎え、福岡県朝倉郡甘木町(現在の朝倉市)に引揚げるが、その間に父と祖母を失う。旧制福岡県立朝倉中学校に転入後(48年に学制改革で朝倉高等学校に)、海外文学から戦後日本文学までを濫読し「文学」に目覚める

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