人体 5億年の記憶 解剖学者・三木成夫の世界

布施英利

基本情報

ジャンル
ISBN/カタログNo
ISBN 13 : 9784875253303
ISBN 10 : 4875253303
フォーマット
出版社
発行年月
2017年03月
日本
共著・訳者・掲載人物など
:
追加情報
:
248p;20

内容詳細

私たち人間のからだは、魚であった時代の名残をたくさん抱えている。たとえば、私たちの顔で表情をつくり、口を開いて声や言葉を発する筋肉も、魚だった時代の「えら」の筋肉が変化したものだ。水中で生活する魚類では、顔面に味覚を感じる細胞が集中したが、上陸に伴い、ヒトでは乾燥を避けて口の中の舌でのみ味覚を味わうようになった。東京大学の医学部の学生が特別講義を聞き終わった後、感動の余り拍手したという伝説の解剖学者、三木成夫の話術は、保母さんたちを相手にした一般講演でも笑いが絶えなかったという。そうした絶妙な語り口に、入学したばかりの大学生だった著者も強く惹かれていく。不世出の天才、三木成夫の「人間の見方」の全体像を、ひとつのまとまりのある本として読者に提供すること、これが本書の挑戦である。解剖学は難しくない、人間の体や心の見方が180度変わる。

目次 : 1 三木成夫とは?(奇妙な授業―大学に入学し三木成夫と出会った/ 日本の解剖学における三木成夫の先人たち/ ライフワークは未完だったのか)/ 2 人体の中の「動物」(運動系(骨と筋肉)/ 神経系(脳と神経)/ 感覚系(目、耳、皮膚))/ 3 「こころ」はどこにあるのか?/ 4 人体の中の「植物」(吸収系(胃腸と肺)/ 循環系(心臓と血管)/ 排出系(秘尿・生殖器))/ 5 三木成夫の人間観(「胎児」―個体発生と系統発生/ 「3歳児」―指差し、呼称音、直立、言葉/ 「生命記憶」―ヒトの体には五億年の記憶がある)

【著者紹介】
布施英利著 : 解剖学者・美術批評家。1960年群馬県生まれ。東京芸術大学美術学部卒業、および同大学院美術研究科博士課程修了(美術解剖学専攻)。東京大学医学部助手(解剖学)などを経て、現在に至る(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)

(「BOOK」データベースより)

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読書メーターレビュー

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  • やいっち さん

    三木成夫の本には、図書館で発見し感激した「胎児の世界」を皮切りに大概の本は読んできた(「胎児の世界」は、後日入手し再読。三木の本は殆ど所蔵。1冊だけ読まずに温存してある)。弟子筋の布施氏による本書は総集編と云えるもの。感想を書くか分からない。本書はそつなく三木の世界を纏めてある。三木の世界への入門書として、あるいは再認識の機会として、何より生き物としてこの宇宙に、地球に人間が在ることの素晴らしさを再確認する書としてお薦めする。

  • keroppi さん

    最近、人間の体や心に興味があり、そういう本をよく読んでいる。この本は、布施英利が恩師である三木茂夫の世界を綴ったもの。実に分かりやすく系統建てて論じている。著者は、授業を直接受けただけあって、そこで描かれる三木茂夫の人間性にも惹かれてしまう。「糞が出て屁が出て生きる」「宇宙からの大きな便り」著者は、うんちに心が宿り人体の進化の記憶が見てとれるという論をこのように集約する。人間の体を裏返すと植物が現れるというのは、安部公房「デンドロカカリア」だし、胎児の話は夢野久作「ドグラマグラ」だ。

  • どんぐり さん

    人類の歴史がからだに刻まれていることを「生命形態学」として提唱した三木成夫。初出をたどれば、1966年にM社から出版された『高校看護 看護一般U』の一部として書かれた「解剖生理」にあった。手元にその資料があるので、布施さんのこの本と併せて読んだ。三木の解剖生理の初出は、1章が「人間とはいかなる生物か」にはじまり、次が動物のからだにおける植物性器官と動物性器官に分けて、2章「人体おける植物性器官」、3章が「人体における動物性器官」となっている。聞きなれない用語だが、植物性器官とは「内臓」など、栄養やエネルギ

  • はるわか さん

    からだの基本構造は口から肛門への「一本の管」=消化器(植物的器官)の構造。生の営みの根源は栄養や生殖という「植物的」なものであり、知覚や運動(=動物的)は従属的なこと。植物系とは「吸収→循環→排出」するところであり、動物系とは「感覚→伝達→運動」という体の動きを生み出すところ。一本の管から進化したすべての生き物は、内臓に海辺のカレンダー、生命の記憶が刻まれている。宇宙の根源現象「らせん」状にねじれる内臓は、宇宙のリズムに共鳴している。肝臓、腸。心臓の鼓動。内臓不快(内臓と括約筋の収縮)こそ人間苦の引き金。

  • アキ さん

    東大出身の解剖学者故三木成夫の著作をもとにその人体観をできるだけ忠実にあらわした書。発想が進化と他の生物との比較から成り立っており、新鮮である。人体は餌を求める「動物性器官」(感覚系・伝達系・運動系)と内臓などの「植物性器官」に分けられ、その多くが生物が何億年前から形成されてきた生命記憶を持っている。陸上に上がってから発達した呼吸システムはまだ新しく随意筋で行われている。意識は脳が司っているが、こころは腸管である。人体は1本の管であり、口唇は哺乳をするために発達したが、接吻をするのはヒトだけである、など。

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