川上次郎の"ゴキゲン"としか言いようのないニューアルバムが登場した。
ポップス、レゲエ、ロック、ファンクに小沢健二までが散りばめられ絢爛かつ清々しい楽しさに満ちあふれている。
彼の数多くある魅力の中で、個人的に最も感じる部分をあげるなら、それはズバリ”歌うことのとにかく好きな人間のみが持つ歌力”だ。
まったくこれ程に、歌うことが楽しくて楽しくて仕方が無いと感じさせる歌声を他に知らない。
なんというかもう、やがて大河となって海へ流れ込む水流の、原泉でもあるかのように、歌うことの楽しさがあふれ出るコンディション。それこそが川上次郎というシンガーの歌力を作り出しいてる本質、ということなのではないか。
さらに特筆すべきは、彼がその特別な力を見事にセルフコントロールしているという点だ。
いくらでも放射することの可能な歌声の魅力を、リスナーやオーディエンスが、「ちょうど心地いい」と感じるあたりへと、制御し、自ら誘導し、そして見事に着地させてみせている。
本作はそういった、コンポーザー、プロデューサーとしての彼のプロフェッショナルな力量を知ることのできる好盤という一面も持つ・・・・まぁアレコレ言うより、夏のビーチで聴いたらサイコーだよな〜って一枚ですねこの「Key of life」は!
最近になって二回ほど、次郎氏と共演する機会に恵まれた。
イカ天以来何年振りのことであっただろうか。90年代の頃そのまま、人なつっこい美形の彼はアレコレ思い出話を振ってくれたのだけれど、僕の方がことごとく何も覚えていなくて随分申し訳ないことをした。
唯一覚えていたのが、「北海道で一番の大罪は鮭の密漁だ」という話を次郎氏から昔聞いた、ってことだけだったという・・・・どんな思い出なんだそりゃ。
でも演奏が始まったら思い出したのだ。
『あ、そうそう!昔からこの声、歌うことのとにかく好きな人間の歌力、今オレの横にいるのは、間違いなくあの川上次郎なのだ』と。
(大槻ケンヂ)
川上次郎プロフィール
1990年KUSU KUSUでメジャーデビュー。
アフリカン・カリビアンなどのワールドミュージックを主体とした独特のリズムを作り出し、若者の指示を集めるが、1994年、より広い世界を目指すべく活動停止(冬眠)。
同年ex.KUSU KUSU Dr.宮田誠とMUITO BONITOを結成。
ラテンサウンドが中心であるフルバンドやボサノバ主体のアコースティックデュオなどで勢力的に活動し、定評を得る。1999年MUITO BONITO解散後、ついに川上次郎ソロ活動開始。
現在はレゲエを主体とした独自の甘いメロディを弾き語りからBAND形式まで様々なスタイルで歌う。渋谷・下北沢のLIVEHOUSEを中心に活動中。
エスニックな芸風で人気を博したイカ天バンド、KUSU KUSUのヴォーカリスト、初のソロ作。かわいいヴォーカルは当時と変わらないが、ソウル・ミュージックを下敷きに躍動感のあるポップスを聴かせる。「ラブリー」は小沢健二のカヴァー。大槻ケンヂの愛あるライナー付き。(杉)(CDジャーナル データベースより)