春 新潮文庫

島崎藤村

基本情報

ジャンル
ISBN/カタログNo
ISBN 13 : 9784101055039
ISBN 10 : 4101055033
フォーマット
出版社
発行年月
2007年03月
日本
追加情報
:
16cm,386p

内容詳細

岸本捨吉の教え子勝子に対する愛は実を結ぶことなく、彼の友人であり先輩である青木は理想と現実の矛盾のために自ら命を絶つ。―青春の季節に身を置く岸本たちは、人生のさまざまな問題に直面し、悩み、思索する。新しい時代によって解放された若い魂が、破壊に破壊をかさねながら自己を新たにし、生きるべき道を求めようとする姿を描く、藤村の最初の自伝小説。

【著者紹介】
島崎藤村 : 1872‐1943。筑摩県馬篭村(現在の岐阜県中津川市)に生れる。明治学院卒。1893(明治26)年、北村透谷らと「文学界」を創刊し、教職に就く傍ら詩を発表。’97年、処女詩集『若菜集』を刊行。1906年、7年の歳月をかけて完成させた最初の長編『破戒』を自費出版するや、漱石らの激賞を受け自然主義文学の旗手として注目された。以降、自然主義文学の到達点『家』、告白文学の最高峰『新生』、歴史小説の白眉『夜明け前』等、次々と発表した。’43(昭和18)年、脳溢血で逝去(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)

(「BOOK」データベースより)

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読書メーターレビュー

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  • 翔亀 さん

    漱石「三四郎」や鴎外「青年」のような青春ものかと想像したが大分違う。この青春は破滅的である。藤村20歳代前半の自伝小説は、自ら参加していた若手芸術運動の日々を正確に再現し、リーダー北村透谷の著作が数多く引用され、透谷の青春の激情の果ての自滅に紙数を費やす。花袋「蒲団」に代表される日本的"自然主義文学"、あるがままに描く告白小説のように、藤村自身の恋の告白も痛々しい。透谷は「理想の春」に欺かれ、芸術運動は「芸術の春」に失敗する。藤村は恋の痛手から逃げ、家からも逃げ、「人生の春」にも到達しない。春は遠い。

  • aika さん

    この主人公のこれからに、果たして幸運はあるのか。教え子・勝子への恋に破れ、心も身体も漂泊せざるをえない捨吉。死の影は彼にまとわりつき、仲間たちとは同じくしていた志が次第に異なっていく。そして文芸の夢にも破れ、同時に家運も思わぬ方向へと傾いていく。これでもかという程の苦渋と挫折と共に汽車に乗った彼の、やり場のない人生の非情さに打ちのめされたまま読了しようとしていた瞬間、最後の場面、最後の言葉に、えも言われぬ感情が沸き上がってきました。この言葉が世に出るために、この作品は生れたのだと思わずにはいられません。

  • ケイ さん

    主人公が、恋に悩み放浪しているところから話が始まる。お金もなく、気持ちも定まらない主人公を友人達が実にあたたかく見守っている。その恋した相手とは、何度か手紙のやり取りをしたり、少し顔を合わせただけで、なんという話もしないので、原因となった恋がどの程度のものであったのかわからず、二人の葛藤が想像にしくい、北村透谷がモデルと言われる青木の苦しさと妻とのやり取りの方が、切実さが伝わってきた。結局は、主人口の決心と成長を描いているのだろうが、作者のこれを書いた背景を知らないと、読み取るのが難しい。

  • モリータ さん

    20代も後半になっていつまでもクスブっている自分としては、とても移入しやすい作品だったし、こういうモデルのある群像ものは嫌いでないので、おもしろく読めた。ただ、気になるのが勝子の内面をここまで書けるものだろうかという点で、好意をもたれたまま別れていったのは事実かもしれないが、自分だったらそんなに自信はもてないところ。書簡とかの事実に基づいているんだろうか。同性の透谷や、姉へ移入してその視点から描写するのにはあまり引っかからなかったのだが。

  • Ted さん

    △1908年に新聞連載された青春小説。藤村が37歳の時、自らの20代の頃を振り返り、当時の自分の境遇や交友関係、女性を巡る苦悩などを描く。中でもこの時期に藤村の心に大きな衝撃と影響を与えたのは親しかった先輩・青木こと北村透谷の自死と、嘗ての教え子・勝子こと佐藤輔子の急死であろう。これらのことを冷静に書くには20年近い歳月を要したのかもしれない。性にまつわることを仄めかしや譬えで表現しているので注意深く読まないと分らなかったり、文体が後期に比べてやや硬いが百年以上経っていることを思えば驚くほど古びていない。

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人物・団体紹介

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島崎藤村

1872〜1943。詩人、小説家。詩集『若菜集』を発表後、小説家へ転身。教職を辞し、執筆した長編『破戒』は夏目漱石らの激賞を受け、自然主義文学の旗手として注目された。日本ペンクラブ初代会長(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)

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