音楽の聴き方 聴く型と趣味を語る言葉 中公新書

岡田暁生

基本情報

ジャンル
ISBN/カタログNo
ISBN 13 : 9784121020093
ISBN 10 : 412102009X
フォーマット
出版社
発行年月
2009年06月
日本
追加情報
:
18cm,237p

商品説明

聴き方は自由だという原則がありながら、私たちは必ず、歴史や社会の文脈上で聴いている。その仕組みを解析し、聴き方のヒントを伝授。

内容詳細

音楽の聴き方は、誰に言われるまでもなく全く自由だ。しかし、誰かからの影響や何らかの傾向なしに聴くこともまた不可能である。それならば、自分はどんな聴き方をしているのかについて自覚的になってみようというのが、本書の狙いである。聴き方の「型」を知り、自分の感じたことを言葉にしてみるだけで、どれほど世界が広がって見えることか。規則なき規則を考えるためにはどうすればよいかの道筋を示す。

目次 : 第1章 音楽と共鳴するとき―「内なる図書館」を作る(音楽の生理的次元/ 相性のメカニズム ほか)/ 第2章 音楽を語る言葉を探す―神学修辞から「わざ言語」へ(「鳴り響く沈黙」とドイツ・ロマン派の音楽観/ 神の代理人としての音楽批評 ほか)/ 第3章 音楽を読む―言語としての音楽(「音楽の正しい朗読法」―一八世紀の演奏美学/ 音楽/言語の分節規則 ほか)/ 第4章 音楽はポータブルか?―複文化の中で音楽を聴く(再生技術史としての音楽史/ 演奏家を信じない作曲家たち ほか)/ 第5章 アマチュアの権利―してみなければ分からない(音楽は社会が作る/音楽が社会を作る?―パウル・ベッカーのテーゼ/ 音楽は政治的にうさんくさい?―「感動させる音楽」の恐怖 ほか)

【著者紹介】
岡田暁生 : 1960年(昭和35年)、京都市に生まれる。大阪大学大学院博士課程単位取得退学。大阪大学文学部助手、神戸大学発達科学部助教授を経て、京都大学人文科学研究所准教授。文学博士。著書に『オペラの運命』(中公新書・サントリー学芸賞)、『ピアニストになりたい!』(春秋社・芸術選奨文部科学大臣新人賞)など(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)

(「BOOK」データベースより)

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タイトルと概要説明と実際の内容に乖離があ...

投稿日:2021/07/01 (木)

タイトルと概要説明と実際の内容に乖離があるように思える。「聴き方」もしくは「聴き型」といううたい文句から音楽を聴くための「フォーマット」としくは具体的なノウハウを期待して本書を購入したが、タイトルが表すよりむしろ音楽の「語り方」に重点があるように感じた。もちろん語るからにはその前段階の聴き方の解説や分析もあるのだが、他文献からの引用が多発してその記述に丸投げしている感があり、理解しやすい内容とは思えなかった。また著者は西洋音楽(クラシック)の専門家らしく、後書きに「ジャンルにとらわれないよう配慮した」とあるものの、内容としては西洋音楽寄りの感は否めず、普段ポップスやロック、ジャズを聴く者としてはあまりピンとこない内容も多かった。タイトルは内容に沿った適切な言葉を選ぶべきだと思う。

青のサボイア さん | 東京都 | 不明

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 岡田暁生さんの「目から鱗が落ちる」本の...

投稿日:2021/04/18 (日)

 岡田暁生さんの「目から鱗が落ちる」本の中の1冊。「音楽は好みだ、好き嫌いだ」「好みは感性だ」「どう聴こうが人の勝手だ」とよく言われ、好みや感性を共有する人との会話は楽しいものだが、他人と本当の意味で音楽を共有し合うのは難しい。自分の音楽との接し方も、気分次第で一定しない。しかし、と氏は言う。「紅茶を楽しむ習慣を持たない人にとっては、ひとつの銘柄は他と似たり寄ったりの味に思える。しかし、洗練された味を探すだけの暇と意思と機会を持てば、本当の鑑定家になり得る」といった例を出して。「ワイン」や「日本酒」などもそれに近いのかもしれない。  そのための「音楽の聴き方=聴く型」や「音楽を語る言葉」「音楽を読む(その音楽の背景や作られ方など)」、さらには「再生して聴く」というだけの受動的な態度だけではない「音楽をする」(自分で演奏する、積極的に聴きに出かける、参加するなど)という能動的な行動様式などにも触れている。  自分はどのように音楽に相対しているのか、どのように接したいのか、接していけばよいのかなど、いろいろなことを考える良いきっかけになった1冊である。  あなたも、自分の音楽の聴き方、接し方、自分にとって音楽とは何なのかを、この本をきっかけに一度振り返ってみてはいかがでしょうか。

Tan2 さん | 神奈川県 | 不明

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読書メーターレビュー

こちらは読書メーターで書かれたレビューとなります。

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  • ヴェネツィア さん

    音楽の「聴き方」というよりは「語り方」を語った本。そもそも著者によれば、音楽を語ることは、すなわち聴くことでもあるのだが。引用も含めて随所に卓見。構成も語り方も上手い。なるほどと思ったのはハンスリックの「(音楽美学は)我々を圧倒する感情の描写に終始している」との言。また、第2次大戦末期、フルトヴェングラーによる第9のコンサートが聴衆に圧倒的な感動を与えたことの両義性と、近代音楽(演奏を含めた)の終焉を語る辺りは圧巻。他にも音楽を語る際の「わざ言語」など有効な指摘に溢れる。

  • やっさん さん

    ★★★★☆ 一貫して音楽の営為は演奏・享受・批評の三観点から成る≠ニいうスタンスで語られている。僕は、演奏者でも愛好家でも指導者でもあるから、三つの観点がいずれかに傾倒しないような努力が常に必要だ。

  • ジョンノレン さん

    著者2冊目。素朴に聴く段階から、語る楽しみに導く道案内の書。とはいえ内容には中級から上級レベルも。多様な切り口で、その構造と内実が展開図の様に開示され、目から鱗ポイント多数。初耳の挿話も多くそちらも存分に楽しめる。最後に音楽鑑賞等に関わる数多くの注意事項が示されるが多過ぎて散漫。結局人生同様自ら対峙して、引き受けて取り込む事に収斂かな。

  • 禿童子 さん

    音楽を単なるサウンドとして楽しむか、歴史的背景や演奏者の意図を読み解く行為(=言語化)まで深く掘り下げるのか。私は前者の楽しみ方が主ですが、著者は言語化を重視しているようです。最後の章の中では著者の個人的な聴く作法が紹介されますが、こちらの方が共感できることが多かったですね。音楽史研究者としてのプロ目線でのクラシック音楽鑑賞スタイルとして読みました。餅は餅屋。他のジャズや邦楽などにも言及していますが、最後は好き嫌いという個人的な話になると思います。同好の士のあいだで音楽をどう評価し表現するかがテーマです。

  • 魚京童! さん

    とにかく聴いて、勉強して…。

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人物・団体紹介

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岡田暁生

1960年、京都市生まれ。音楽学者。大阪大学大学院文学研究科博士課程単位取得満期退学。京都大学人文科学研究所教授。『オペラの運命』でサントリー学芸賞、『ピアニストになりたい!』で芸術選奨文部科学大臣新人賞、『音楽の聴き方』で吉田秀和賞、『音楽の危機』で小林秀雄賞受賞

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