食魔 岡本かの子食文学傑作選 講談社文芸文庫

岡本かの子

基本情報

ジャンル
ISBN/カタログNo
ISBN 13 : 9784062900409
ISBN 10 : 4062900408
フォーマット
出版社
発行年月
2009年02月
日本
共著・訳者・掲載人物など
:
追加情報
:
16cm,281p

商品説明

かの子の生命哲学に裏打ちされた究極の食文学

毎晩どじょう汁をねだりに来る老彫金師とどじょう屋の先代の女将の秘められた情念を描いた「家霊」。北大路魯山人をモデルにしたといわれる、食という魔物に憑かれた男の鬼気迫る物語「食魔」ほか、昭和の初めに一家で渡欧した折の体験談、食の精髄を追求してやまないフランス人の執念に驚嘆した食随筆など、かの子の仏教思想に裏打ちされた「命の意味」を問う、食にまつわる小説、随筆を精選した究極の食文学。

大久保喬樹
かの子の肯定的な――深い悲哀の感情と背中あわせながらも、強い肯定の意志に貫かれた――食観は、常に彼岸の世界を見据えながらも現世にある限りは与えられた宿命を精一杯受け入れて肯定し、生き抜いていこうとするかの子の仏教思想に特徴的な世界観に発するのであり、その結果として、かの子の食文学は、世にあふれるグルメ文学などとは根本的に異質な、独自の性格を帯びることになるのである。――<「解説」より>

内容詳細

毎晩どじょう汁をねだりに来る老彫金師とどじょう屋の先代の女将の秘められた情念を描いた「家霊」。北大路魯山人をモデルにしたといわれる、食という魔物に憑かれた男の鬼気迫る物語「食魔」ほか、昭和の初めに一家で渡欧した折の体験談、食の精髄を追求してやまないフランス人の執念に驚嘆した食随筆など、かの子の仏教思想に裏打ちされた「命の意味」を問う、食にまつわる小説、随筆を精選した究極の食文学。

目次 : 1 小説(家霊/ 鮨/ 娘/ 食魔/ 女体開顕 抄)/ 2 随筆(食魔に贈る/ 異国食餌抄/ 旅とガストロノム/ 欧洲土産話/ 巴里の食事/ 外国の魚/ 季節のじゅん/ 新茶/ うなぎ、揚げもの、川魚/ 新米/ 粉末食料品時代/ 酒と煙草/ 若菜/ 夏季と味覚/ 初秋におくる/ 野菜料理/ 田家の兎料理/ 国民食、大根礼讃/ 食物に関して男子への注文/ 力を培う餅/ 食餌感想/ 恋人にたべさせたい御料理)

【著者紹介】
岡本かの子 : 1889・3・1〜1939・2・18。小説家、歌人、仏教研究家。本名カノ。東京生まれ。跡見女学校卒。与謝野晶子に師事し「明星」「スバル」に歌を発表し歌人として出発。1910年岡本一平と結婚、翌年太郎出生。この頃「青鞜」に参加、処女歌集『かろきねたみ』出版。一方、一平との個性の対立は熾烈を極め、強度のノイローゼとなり、仏教に救いを求める。29年一家で渡欧、32年帰国後は、仏教研究家として活躍。36年『鶴は病みき』で文壇デビュー。37年から『母子叙情』『老妓抄』など独自の生命の哲学をうちたてた作品を発表(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)

(「BOOK」データベースより)

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読書メーターレビュー

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  • メタボン さん

    ☆☆☆★ 岡本かの子の小説作品には食そのものを題材にしたものが多い。本作品集はそれに加えてエッセイも収録。特にパリにおける食文化の記述が多い。岡本かの子の食についての表現は、美味しそうというよりも、何やら官能的な印象を受けることが多い。まさに食魔(グルメ)という表現は言いえて妙だと思う。長編小説「女体開顕」の食事に関する場面の抜粋も良かった。

  • ふぁるく さん

    図書館本。初読み作家。のはずでしたが、「鮨」はどこかで読んだ気がする。食にまつわる小説と随筆を収録。「家霊」「鮨」の2作品が読めただけでも満足。随筆は当時の健康、栄養学がどういうものだったか知る点で面白かったです。

  • 志波昌明 さん

    「家霊」は、年老いたかんざし職人とドジョウ料理店の女主人の心の交流を描いた短編。これまで何回か読んでるけど、何回読んでもいい。2人の間には何もないんだけど、代金の代わりにできの良いかんざしを女主人に送る職人と大事にとっている女主人の心の動きが魅力的。「鮨」の客と店の跡継ぎの女性との話も良かった。後半は食べ物についてのエッセイだけど、ヨーロッパを贅沢三昧に旅をしていた様子が垣間見られてうらやましかった。

  • fonfon さん

    高校時代に読んだ新潮文庫も、大学の頃1冊ずつ配本を待ち望み買いそろえた全集も持っているけれど、このアンソロジーも面白いと思い購入再読。またもや、ヒリヒリ痺れる。「宿命に忍従しようとする不安で逞しい勇気と、救いを信ずる寂しく敬虔な気持ち」(家霊)かの子の魅力は、これだと思う。ひとは孤独から逃れられないものだが、ひとはひとりではなく、滔々と流れるいのちの連鎖のカケラなのだ、と改めて思わせてくれるどの短編も大好きだけれど、「鮨」はやはり抜きんでいて良い、「すし!すし!」 

  • もなおー さん

    岡本かの子の、食にまつわる小説と随筆を纏めた一冊。小説に関しては今更言い添えることもないけれど、随筆の方は軽い語り口と率直な視点で、かなり印象が変わって見える。

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