湖の南 大津事件異聞 岩波現代文庫

富岡多恵子

基本情報

ジャンル
ISBN/カタログNo
ISBN 13 : 9784006021924
ISBN 10 : 4006021925
フォーマット
出版社
発行年月
2011年10月
日本
共著・訳者・掲載人物など
:
追加情報
:
15cm,217p

内容詳細

新史料・津田三蔵書簡を読み解きながら、津田の内面を描きつつ、大津事件(一八九一年)の謎に迫る異色作。津田三蔵巡査がロシア皇太子を襲撃した動機とは何か。著者は一人の青年の西南戦争での体験を重視し、同時にその煩悶を見つめながら、明治期社会の深淵の中で事件をとらえなおす。幾多の文学作品で描かれた大津事件像とは異質の視点から、事件を描き、明治期社会の闇とともに現代の闇にも迫る。

【著者紹介】
富岡多恵子 : 詩人・小説家。1935年大阪市生まれ。詩集に『返礼』(H氏賞)、71年から小説に転じ、『冥途の家族』(女流文学賞)、評論には『近松浄瑠璃私考』『中勘助の恋』(読売文学賞)『釋迢空ノート』(毎日出版文化賞、紫式部文学賞、岩波現代文庫)『西鶴の感情』(大佛次郎賞)等がある(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)

(「BOOK」データベースより)

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読書メーターレビュー

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  • chanvesa さん

    「ハヅミハ自分ナガラ分ラヌ次第」(137頁)。これ以上でも以下でもない。西南の役に新政府軍として参加したこととその碑を軽視するニコライのイメージはわかりやすいが、後世の我々が納得したいだけの後付けの理由かもしれない。あるときにふとしたはずみで何かをしてしまう。それで済まされるわけではない。タビト氏が手紙を送りつけてくることも理由はわからない。同じとは言わないがつながっているのか。世間に負けた人々のうごめきは、いつか自分がそちら側に立ち、解釈される可能性を排除しきれないというぼやっとしたイメージを抱かせる。

  • A.T さん

    1891年5月11日滋賀県大津でロシアの皇太子ニコライが警備の警官に斬られた「大津事件」を考察するドキュメンタリータッチのエッセイ。現代の琵琶湖の情景から、事件の首謀者津田三蔵が遺した書簡をひもとくうちに、ゆるゆると明治にさかのぼる。現代の富岡さんと明治の津田三蔵の視点が同時に映されるような描き方になっている。それは明治維新の激動に乗りきれず、挫折する男の姿である。さらに富岡さんは考察を被害者 ニコライの人物像とその後の人生、日本政府と日本国民の狼狽などなど事件関係者への目配りも細かく、読み応えたっぷり。

  • 浅香山三郎 さん

    『釋迢空ノート』や『西鶴の感情』のやうな謎解きかと思つてゐたら、途中から著者のもとに寄せられるタビトといふ人物からの不気味な手紙や、昔居た変な家政婦の話が入つてきて混線していく辺り、やはり上手いなあ、と感じた。私小説が篏入されてくる手法なのか。 大津事件の舞台になる大津や三上山の麓、或いは三蔵の任地だつた石部・水口・三雲辺りは何れも、蒲生野に住んでゐたことがあつたので、土地勘がよくわかつた。さうか、津田三蔵はあの辺りに居たこともあるのか! 犯人になる前の、一人の時代に翻弄された三蔵の生涯を丁寧に追ふ↓

  • COPPERFIELD さん

    大津事件。1891年、警備の津田三蔵巡査によるロシア皇太子襲撃のあの有名な事件。 残された記録(書簡や公判)をたどりながら、津田三蔵の人物像を描き出す。 母親思いであり、働かない兄の存在を憂う真面目な津田青年。決して狂人や攘夷思想に取り付かれた若者ではない。 小説中では、司馬の『坂の上の雲』で描かれた津田像の誤りも指摘されている。 これは完全なルポタージュではと思い出した頃合に、突然謎の人物”旅人(タビト)”から主人公「わたし」に届くようになる、やや変質的な手紙。

  • 駄目男 さん

    この富岡多恵子版は近年見つかった津田三蔵書簡を重点に事件前の三蔵がどのような経歴で、どんな性格の男だったかを浮き彫りにしているような書かれ方をしている。 そこから垣間見えるのは安月給ながら只管、家族、妻と二人の子供と母親への慈愛と几帳面さ。 そんな優しい津田が何故?

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人物・団体紹介

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富岡多恵子

1935・7・28〜。小説家、詩人。大阪市生まれ。大阪女子大英文科在学中に小野十三郎に師事、1958年『返禮』でH氏賞、61年『物語の明くる日』で室生犀星詩人賞。70年代から小説に転じ、74年『植物祭』で田村俊子賞、『冥途の家族』で女流文学賞、77年「立切れ」で川端康成文学賞、97年『ひべるにあ島紀

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