石の来歴・浪漫的な行軍の記録 講談社文芸文庫

奥泉光

基本情報

ジャンル
ISBN/カタログNo
ISBN 13 : 9784062900706
ISBN 10 : 406290070X
フォーマット
出版社
発行年月
2009年12月
日本
共著・訳者・掲載人物など
:
奥泉光 ,  
追加情報
:
16cm,364p

商品説明

現実と非現実の交錯を描く
芥川賞受賞作他1編

太平洋戦争末期、レイテで、真名瀬は石に魅せられる。戦後も、石に対する執着は異常にも思えるほど続くが、やがて、子供たちは死に弄ばれ、妻は狂気に向かう。現実と非現実が交錯する芥川賞受賞作「石の来歴」。兵士たちのいつ終わるとも知れぬ時空を超えた進軍、極限状況の中でみたものは……帝国陸軍兵士の夢と現を描く、渾身の力作、「浪漫的な行軍の記録」所収。

前田塁
過去・現在・未来それぞれの位相での決定的な“遅れ”を宣告することになる妻のその言葉以降、主人公は「かつて自分が家庭を持ったことこそが、なんだか考えられない、遠い彼方での架空の出来事のように」思うと共に、「レイテの洞窟で上等兵が語った言葉を頻繁に聴くように」なる。それもまた狂乱などでなく、作品構造の導く必然なのだ。積み重なってゆく“遅れ”は相互に違う時間を共存させ、そこから逃れる術はない。――<「解説」より>

内容詳細

太平洋戦争末期、レイテで、真名瀬は石に魅せられる。戦後も、石に対する執着は異常にも思えるほど続くが、やがて、子供たちは死に弄ばれ、妻は狂気に向かう。現実と非現実が交錯する芥川賞受賞作「石の来歴」。兵士たちのいつ終わるとも知れぬ時空を超えた進軍、極限状況の中でみたものは…帝国陸軍兵士の夢と現を描く、渾身の力作、「浪漫的な行軍の記録」所収。

【著者紹介】
奥泉光 : 1956・2・6〜。小説家。山形県生まれ。国際基督教大学大学院比較文化研究科修了。1993年『ノヴァーリスの引用』で野間文芸新人賞受賞。94年『石の来歴』で芥川賞受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)

(「BOOK」データベースより)

ユーザーレビュー

総合評価

☆
☆
☆
☆
☆

0.0

★
★
★
★
★
 
0
★
★
★
★
☆
 
0
★
★
★
☆
☆
 
0
★
★
☆
☆
☆
 
0
★
☆
☆
☆
☆
 
0

読書メーターレビュー

こちらは読書メーターで書かれたレビューとなります。

powered by

  • yumiha さん

    『「吾輩は猫である」殺人事件』(奥泉光)とは、全く雰囲気の違った表題作。自らに宇宙を凝縮しその歴史を感得させる石に心奪われた真名瀬は、レイテ島の苛酷で悲惨な戦いからの引揚者。姿を変えながらも膨大な時間を生き続ける石に比べて、人間はなんて儚い生なのだろう。特に10歳で亡くなった裕晶。その亡くなった場所は、なぜかレイテ島の洞窟に繋がっていた。戦争で強いられた命令にやむなく従うことは、巡り巡って我が身へ還ってくるのか?「浪漫的な行軍の記録」も、戦場と現在が繋がっていて、夢か?現か?生者も死者も入り混じる小説。

  • りー さん

    生と死が、虚と実が、彼と此が、隣り合わせでも表裏一体でもなくいわく分かちがたい望洋としたひとつのものとして描かれる世界に思わず引きずり込まれた。希望を順々に削ぎ落としてゆくような物語ながら悲壮感が無く、悲劇も喜劇も淡々と語られる。その語り口は『浪漫的〜』に描かれる戦地の行軍の様で、読んでいるこちらも催眠にかかったかの如くただ黙々と頁をめくり続けることを余儀なくされるのだ。しっかりと纏まった印象の『石の来歴』と、とりとめのない『浪漫的〜』の対比と相似を感じるのも面白く、極めて濃密な読書体験だった。

  • 出世八五郎 さん

    【石の来歴】読了後、TwinPeaksのテーマ曲が頭に鳴り響いたのは私だけかも。んな結末。【浪漫的な行軍の記録】道化役緑川が登場することで、回想、死の世界または眠りながら行軍する夢の世界へ頻繁に場面が移り変わる。その繋ぎ方に違和感なく、戦場なのか幻想なのか分からずに浪漫的な行軍は“ひたひた”と行軍の足音を響かせる。死者の恨み、生き残った者の飢え、狂気の旧日本軍を描き、陰惨な表現なのにそれを感じさせないのは場面展開が巧みだから?初の文庫化が高額な文芸文庫であるのは勿体ない。安価ならもっと知られていたと思う。

  • 泉を乱す さん

    悪夢なのか現実なのか、どれが悪夢でどれが現実なのか。誰が死人で誰が生きているのか。 戦争におけるこの不確実さを「遅れてきた」作家が見事に書き、もっともっと「遅れてきた」私が読む。

  • Fondsaule さん

    ★★★★☆ 戦場で石についての話を聞かされた帰還兵の真名瀬剛。ふとしたことから石の採集を始める。標本も50種、100種と本格化していく。異常な趣味ではなくアマチュアからセミプロになりかけた程度。でもそれが悲劇の始まりだった。最初に長男が事件に巻き込まれ・・・  現実と過去の記憶が混ざり合いながら狂気へと進む様が、ごく平然と書かれているあたりがすごいと思った。『著者から読者へ「来歴の来歴」』が同載されている。「執筆の事情」は読者には余計なことと断りがあるが、こういうのが面白かったりする。

レビューをもっと見る

(外部サイト)に移動します

文芸 に関連する商品情報

おすすめの商品