死者の奢り/飼育 新潮文庫 改版

大江健三郎

基本情報

ジャンル
ISBN/カタログNo
ISBN 13 : 9784101126012
ISBN 10 : 4101126011
フォーマット
出版社
発行年月
2007年11月
日本
追加情報
:
16cm,270p

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読書メーターレビュー

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  • ヴェネツィア さん

    表題作『飼育』は1958年上半期芥川賞受賞作。鮮烈な抒情が作品の全編を覆う。かつて、これほどに衝撃的な作品があっただろうか。これこそが「我らの時代の文学」だと確信した。大江と同時代を生きることの幸福を思ったのだ。世代は親子ほどにも違うのだが、それでも強い共感性を持って読むことのできる文学がここにあった。少年であることの震え、再び還ることのない(本当はそうではないのだが)無垢がここにはあった。僕たちはもはやそこには還れない。強烈な渇仰と郷愁がそこにはあったのだ。僕たちは大江と共に何かを失くしてしまった。

  • absinthe さん

    『飼育』悲しい。人は羊の皮を被った狼なのか。あの無残な結末は人間が互いを野獣と認識していたからなのか。あの黒人には兵士としての側面と子供たちと楽しく交流していた両面があったはず。『死者の…』死体洗いのアルバイトの様子に関する都市伝説の元ネタと言われる話だが。人間が生まれて死ぬというサイクルを、ふと傍観すると突然に陥る虚無感。表題作以外も面白かった。『他人の足』どこかエロい話でもある。『人間の羊』壮絶な話。目をそむけたくなる。モーパッサンの『脂肪の塊』を思い出す。

  • 遥かなる想い さん

    大江健三郎の初期の作品。「飼育」は正直怖かった。黒人兵と寒村の子供たちの閉ざされた状況におびえていた。大江健三郎にしては、普通の読める小説集で、それが不思議に感じていた。監禁されている状態、閉ざされた壁の中で生きる状態をうまく描いている。

  • まふ さん

    追悼で読んだ久しぶりの大江をまた読む。初期の6篇の短編集。どれも懐かしく面白かった。「死者の奢り」をほぼ60年前に読んだときは驚いたが、今でも匂い立つ(?)ほどよく書けていて上手い。「飼育」四国の山奥に墜落した米軍の黒人捕虜が少年を捕虜にされ、それを鉈で殺して救う。これはすごかった。「不意の啞」山間の村に来た進駐軍の通訳の靴が消え、部落の責任者の父が銃で撃たれて死ぬ。その夜通訳が川で溺れて死ぬ。他に「戦いの今日」。進駐軍と四国山間僻地民との邂逅的設定が大江の物語をひときわユニークにしていると改めて思った。

  • yumimiy さん

    ヒジョーに読みづらいのに面白い。例えて言うなら苦痛を伴う痒みをボリボリ掻いたら気持ちいいみたいな。大江健三郎初読みだが本書を選んで本当にラッキーだった。でも、短編集だから読み切れたんだと思う。6話すべてに共通しているのは奇妙な感覚、異質な感覚、無機質な感覚で1話1話読むごとに非日常体験ができる。個人的お気に入りは「他人の足」だ。脊椎カリエス患者の療養所の未成年病棟、粘液質の厚い壁の中、そこは快楽に満ちた場所だったが、外部から一人の大学生が入院したことによって空気が変化してゆく。オチが素晴らしく残酷だった。

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人物・団体紹介

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大江健三郎

作家。1935年愛媛県生まれ。東京大学文学部仏文科卒業。在学中の57年、「奇妙な仕事」で作家デビュー。94年にノーベル文学賞を受賞。主な著書に『飼育』(芥川賞)『個人的な体験』(新潮社文学賞)『万延元年のフットボール』(谷崎潤一郎賞)など。2023年死去

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