東京の昔 ちくま学芸文庫

吉田健一(英文学)

基本情報

ジャンル
ISBN/カタログNo
ISBN 13 : 9784480093479
ISBN 10 : 4480093478
フォーマット
出版社
発行年月
2011年01月
日本
共著・訳者・掲載人物など
:
追加情報
:
15cm,242p

内容詳細

幾千年かの歴史の中で、人間というものはどれだけ進歩し、どれだけ洗練することができたのだろうか。下宿先のおしま婆さん、自転車屋の勘さん、帝大生の古木君、実業家の川本さん。いずれも味のある登場人物を相手に、おでん屋のカウンターや、待合、カフェーで繰り広げられる軽妙洒脱な文明批評。第二次大戦に突入する前の、ほんのわずかなひととき。数寄屋橋が本当に橋で、その下を掘割の水が流れていた頃の、慎ましやかで暮らしやすい東京を舞台に、人間と人間の社会を論じた、吉田健一最晩年の珠玉の一篇。

【著者紹介】
吉田健一 : 1912‐1977年。東京生まれ。吉田茂元首相を父とし、幼少時代を、イギリス、中国などで過ごす。ケンブリッジ大学に学び、帰国後、文筆生活に入る。ヴァレリー、ロレンス等の翻訳、および文芸評論の分野で活躍し、自身も珠玉のエッセイや小説を多数残した(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)

(「BOOK」データベースより)

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読書メーターレビュー

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  • syaori さん

    主人公が本郷信楽町に住んでいたころの話。近くの自転車屋の若主人と酒を飲んだり、渡欧を夢見る帝大生とプルーストなぞを語ったりという筋はここでは些末なことのように感じます。彼のそんな生活を通して描かれるのは西洋と日本の文化がゆったりと混じり合い始めた時代、「もう大部分は焼けてなくなってしまった」という東京の昔。時間の流れの中で少しずつ変化していく愉快で豊かな日々。その回想は、ゆるゆると銚子を重ねるのに似たリズムがあってとても気持ちがよく、ほろ酔いに似た良い気分で今は失われたその時代を寂しく楽しく味わいました。

  • 踊る猫 さん

    『時間』を読んだ時にも感じたことなのだけれど、吉田健一という人はほんとうに鋭利な知性を持った書き手だと感服させられる。この『東京の昔』でも、その知性の持ち主だからこそなしうるダイナミズム溢れた思考を繰り広げ、狭い日本や人間の一生といったスケールを軽々と飛び越えた発想でこちらを魅せる。吉田健一自身が国際派だったからなしえたことと言われればそれまでだが、それ以上に彼にとってどこか(日本という島国・自分という肉体)に縛り付けられる発想はリアルではなかったのではないか。ゆえにこの本は読んでいてこちらを相対化させる

  • たまきら さん

    東京っ子の、粋。頑固さ、照れ、素朴でそっけなく、外も中も変わらない気性。けれども、この人の文章にいぶし銀のように輝く知性は、生まれだけのものじゃない。東京なのになんだか東京じゃない。特権?そうかもしれない。けれども、彼の文章の中で輝く東京は、祖母の良く語っていた大正時代の浅草のように、夢のような魅力に満ちているのだ。

  • jahmatsu さん

    初の吉田健一。酒飲みのフリートークがゆるやかに続く感じ心地良し。味のある登場人物達にホッコリさせられる。ただ、、独特な、なんとも言えない文体に最後まで慣れなかったー

  • 三柴ゆよし さん

    なにで食っているのかも定かではない高等遊民の主人公、自転車屋の勘さん、帝大で仏文を学ぶ古木君、下宿屋のおしま婆さん、お金持ちの川本さんといった、いわゆる普通の人たちの生活と交流が描かれる。おでん屋で、バーで、カフェーで、流れるというよりは、おだやかに、気持ちよく淀みゆく時間のなかで交わされる友人との会話、そして酒。限定されたある時代を懐古しているというよりは、むしろ変化の過程を描いた小説であり、吉田健一の小説らしく、特筆すべき山場があるわけではないのだが、なぜだか忘れがたい一篇になりそうな予感がする。

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