トルコ 中東情勢のカギをにぎる国

内藤正典

基本情報

ジャンル
ISBN/カタログNo
ISBN 13 : 9784087816013
ISBN 10 : 408781601X
フォーマット
出版社
発行年月
2016年02月
日本
追加情報
:
237p;19

内容詳細

IS、シリア。イラク、難民問題 混乱を解決できるのは、中東唯一の民主国家トルコしかない!

混迷を極める中東情勢。その中で唯一民主主義を実現した国、トルコ。トルコを知ることで中東の未来が見えてくる。著者は中東政治研究、イスラム系移民研究の第一人者。

「トルコという国は、文字通り、ヨーロッパとイスラム世界の接点に位置しているために、一連の激震から逃れることはできなかった。東からはイラク戦争の余波でクルド問題が再燃し、南からはシリア難民が押し寄せた。アメリカを含めて西からは、テロとの戦争に参加しろ、「イスラム国」に厳しく対処しろと厳しい圧力がかかった。そのさなかに民主化を進め、同盟国の圧力をかわしながら戦争に巻き込まれないために最大限の努力をし、世界の虐げられたムスリムに向けて希望のメッセージを発し続けている。それが二一世紀に入って以降のトルコである。」(本文より)

著者:内藤正典
同志社大学大学院グローバルスタディーズ研究科教授。中東の国際関係、イスラム移民研究。書籍、雑誌、TV、新聞等で幅広く中東情勢と移民問題について論じている。

目次
はじめに いまなぜ、トルコか
 中東崩壊の危機のなかで唯一の民主化に成功した国/イスラム的公正を内外に示す/「イスラム国」を手玉にとる
第一章 トルコの近代化と脱イスラム
 トルコ共和国の誕生/政教分離の難しさ/世界でも稀有なトルコ軍の地位/PKKとの戦い
第二章 トルコの再イスラム化
 イスラムが強くなると、ナショナリズムは弱くなる/支配民族のいなかったオスマン帝国/似て非なるイスラム/公正・発展党の政策のどこがイスラム的だったか/住宅問題の「イスラム的」解決
第三章 ヒズメト運動と現在のトルコ
 草の根型のイスラム互助運動はなぜ政権と衝突したのか/ヒズメト運動とは何か/ヒズメト運動が変えたもの
第四章 トルコと西欧諸国の関係
 西欧化の呪縛/なぜ、アメリカの戦争につきあわないのか/トルコ軍がタリバンの攻撃を受けなかったわけ/イラク戦争にも参戦しなかった軍/トルコは、なぜEUに入ろうとしたか/アジアかヨーロッパか/なぜヨーロッパになりきれないのか/上からの西洋化改革/EU加盟交渉の紆余曲折/九・一一後のEUとの関係/EU加盟の強迫観念は消えた
第五章 トルコと周辺諸国の関係
 エジプトの革命と反革命/アラブ諸国の対応/アサド政権への批判/トルコとシリアの深い関係/イラク分裂はトルコにとってもっとも深刻な危機/「イスラム国」の台頭/邦人人質事件/トルコ総選挙 /エルドアン大統領の強権化に対する批判/HDPの躍進が意味するもの/ついに事態が動いた/トルコ分裂の危機/中東大混乱が、トルコに新たな活力を吹き込む/新たな国家へ
おわりに


【著者紹介】
内藤正典 : 1956年東京都生まれ。東京大学教養学部教養学科科学史・科学哲学分科卒業。博士(社会学)。専門は多文化共生論、現代イスラム地域研究。一橋大学教授を経て、同志社大学大学院グローバル・スタディーズ研究科教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)

(「BOOK」データベースより)

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読書メーターレビュー

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  • Willie the Wildcat さん

    先日の大統領選挙を踏まえて、手に取った一冊。国体の成り立ちと背景を踏まえた現在の立ち位置が、簡潔にまとめられている。近代国家復権の祖・ケマル氏の哲学。現実主義と民族問題に、拍車をかける神上位。西欧化の呪縛も、国家原則。国家と国民の利益が前提、という一貫性。思い通りにならないUS/EUは、苦虫をかみ潰したような気持ちかと推察。一方、日本の政治家もこの一貫性は一考の価値がある気がする。

  • みねたか さん

    1990年代から現在までのトルコの歩みがよくわかる良書。厳格な政教分離からイスラム的公正の価値観を打ち出した緩やかなイスラム化の歩みは成功しつつあるようだ。湾岸戦争以降の中東世界の混乱のなか、世界の架け橋を担いうるこの国の重要性はますます高まっていくだろう。折しもISによるテロで多くの犠牲がでるなど難しい対応を迫られているが、2023年建国100年の時にトルコがムスリムと非ムスリムの希望の国となっていることを願うという著者の思いに強く共感。

  • ntahima さん

    【県図23】懐かしき母校の先生であるという身贔屓がゼロとは言えないが、中東、特にトルコに関しては一番信頼の置ける研究者。著作も勿論為になるが、講演動画などを見ると専門性に裏付けられた客観性と情熱的な語りが印象的。日本でエルドアン大統領というと保守の剛腕政治家という印象しかないが本書を読むと印象が変わる。勿論、二元論の善玉とはとても言えないが、自分の立ち位置を少しばかりずらすと全く別の世界が見えてくる。『欧州諸国対ムスリム社会、もう一つスンニ派対シーア派、そしてもうひとつは、世俗的な政権対イスラム主義勢力』

  • 黒猫 さん

    トルコは泰然自若。臨機応変。これが読後の感想です。日本において、トルコはアジアとヨーロッパの中間でどっち?とか、料理がおいしいとか、ヘレニズム文化だとか、そんな程度。中東イスラム圏とくくられることもしばしばある。この本は、トルコの国際的立場、国内外の問題の所在を示すと共に、建国時からの政教分離政策。国民を守る場合においては、軍事力を行使するという一貫した立場。トルコ、イスラム国、欧米としたたかに渡り合う外交術。移民問題。様々な問題を抱えながらも欧米に頼られる理由がわかる。良書です。

  • BLACK無糖好き さん

    昨年の秋頃、BSフジ「プライムニュース」でシリア難民問題を取り上げた時に出演していた著者が、番組終了間際に、中東一帯のムスリムに強い影響力を与え得る人物としてトルコのエルドアン大統領の名前を挙げていた事が強く印象に残っている。恐らく本書を執筆し終わる時期だったのではと推察する。本書はトルコ共和国の成り立ちからその独特の国家運営制度、ヨーロッパや中東アラブとの関係などが非常に分かりやすく書かれており、混乱を極める中東情勢の理解を深めるのにも大いに役立った。同時に政教分離の難しさも改めて感じた。

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内藤正典

1956年東京都生まれ。同志社大学大学院グローバル・スタディーズ研究科教授。一橋大学名誉教授。東京大学教養学部教養学科科学史・科学哲学分科卒業。同大学院理学系研究科地理学専門課程(博士課程)中退。博士(社会学)。専門は多文化共生論、現代イスラム地域研究(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されて

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